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「伝える」と「伝わる」のあいだに Vol.40 おじさん勝手に審査員問題

前回は「おじさん話聞いてない問題」を書いたが、今回はそこから少し派生したお話をします。

図らずもシリーズになってしまったけど、別におじさんを憎んでるわけじゃない。むしろ同世代だから仲良くやりたいし、おじさんの魅力もよく知ってるつもり。

「でも主語がでかい!すべてのおじさんがそんなではない!」…そう言いたくなりますよね。でもちょびっとだけ我慢して聞いて下さい。

なぜにそんなに上から?

例えば若者や女性がSNSで意見を言ったとき。例えば会社で部下がアイデアを出したり、飲み会で愚痴をこぼしたとき。例えば家族(子や妻や老齢の両親)が何かしようとしたとき。
「何だそれ」「意味あんの?」「お前は何もわかってない」「なぜこうしないんだ」「こうすべきだろ」「ああすればよかったのに」と、頭ごなしに言う人がいる。

なぜか高みに立つ。門外漢のくせに専門家みたいな顔をする。または、当事者なのに外野みたいな顔をする。そうして偉そうに言いたいことを言うだけで、自分は何もしない。
私はこういう人を「勝手審査員」と呼んでるのだが、こういう人は圧倒的に中年〜熟年の男性…つまりおじさんが多いのだ。

SNSだと直接対峙しないせいかさらに強気になり、女性の服や生理の話題にまで入ってきて「俺は女性より女性のことが分かってる」といった風情で女たちに説教じみた意見を言う男性が後を立たない。謎すぎる。

納得させる義務など誰にもない

誰も彼を審査員席に座らせた覚えはない。なのに「誰より冷静で知識があり、大局が見えている俺」というポジションを取りたがるのはなぜなんだろう。

「アドバイスありがとう♪」とは誰にも思われない最大の原因は「見くびり」の姿勢だ。
勝手審査員は部下だろうが女だろうが家族だろうが、基本的に相手を見くびっている。そこがスタート地点。なので相手が“いっちょまえに”意見を言ったりするのはうっすら気に食わないし、あれこれ悩んでるのは「しょーもな」と思ってる。それゆえ相手の話はあんまり真剣に聞いてない。そして自分が知らないことは「ないこと」と決めつける。

さらに相手が反論して議論になった時、勝手審査員の姿勢は「俺を納得させてみろ」になる。
俺は“分かってる”からちゃんとしたことを言っている。納得させられないならお前の意見は無効だ、という感じ。
ただ先ほども述べたように相手の言葉は真面目に聞いてないし「俺が知らない=この世に無いこと」なので、ハラ落ちすることはほぼない。真実かどうかも関係ない。
そういう人に真面目に反論や弁明をするうちにふと「なぜ私はコイツを満足させるために必死にプレゼンを…?」とバカバカしくなる。

「俺は分かってる」から降りよう

こんなおじさん、かなりひどい人ですよね?でもパートナーがいる方は試しに「俺ってどう?」と聞いてみてほしい。「あなたそーゆーとこある」って返ってくる確率は、低くはないと思う。

おじさんは豊富な人生経験がある。仕事の知識だってある。社会で必死に頑張ってきたことは間違いない。「俺はアイツらよりは分かってる」と思いたくなるのは仕方ない。
だけどそれは真実なのだろうか。若者には若者の、女性には女性の、老齢の親には年を重ねた人間の、「その人にしか分からない世界」「経験した当事者にしか見えないもの」というのがある。そこに優劣はまったくない。社会的地位の高い男性だろうと、見えていないものは山ほどあるのだ。

「しょーもない」ものなどどこにもない。話を聞かなくていい相手などどこにもいない。だから、どんな相手でもまず「見くびらない」ことはものすごく大事だ。
己の頑張ってきた人生を活かしたい、この知見を教えたいと思うのは悪いことではない。でも「相手にはそれがない」と思い込むことはあまりに傲慢ではないだろうか。
審査員席というのは「ぜひそこに座ってほしい」と誰かに望まれて座るものだ。勝手に座っていいものではない。

何か物申したくなった時はまず最初に「相手の話をきちんと聞く」こと。そして「相手にきちんと敬意を持ち、気づかいながら話す」こと。年を重ねれば重ねるほど、肝に銘じたい。

覚えておきたいワード

最後に、勝手審査員になりがちな(または予備軍の)男性に覚えておいてほしい用語を挙げて終わりにしたい。こういう造語が生まれているということは、当てはまる人がたくさんいるということなので、気をつけましょう。

【ガスライティング】

相手の記憶や感情を言下に否定し、認識をゆがめて自分の判断に自信が持てなくなるよう仕向けること。「俺はそんなこと言ってない」「お前の勘違いだ」「考えすぎだ」などとたたみかけ、相手を不安に陥れる。モラハラの手口でもある。

【マンスプレイニング】

「女性は無知」と決めつけた上で(女性が説明を求めているわけでもないのに)男性が上から目線で説明や説教をすること。実際には相手の知識量の方が上であろうとお構いなし。

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コピーライター

近藤 あゆみ

Lamp代表

博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。

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