先日、高知のクライアント「四万十ドラマ」様のお菓子「ひがしやま。」が、JALファーストクラスの茶菓に採用されたことを広く知っていただくため、SNSで「7日後にファーストクラスに乗るお菓子」という企画を7日間連続で実施しました。
当初の予想では「初日の再生数が最も高く、徐々に下がり、最終日に再び伸びる」と考えていたのですが、予想に反して最も再生数が伸びたのは5日目の投稿でした。
原因を分析したところ、他の動画にはない要素が1点だけありました。 5日目の動画にのみ、プロの撮影担当が同行できず、営業担当(正直なところ、カメラの腕はそれほどでもない人物)が撮影したカットが差し込まれていたのです。
https://www.instagram.com/reel/DXqMqjTAhop/

他のシーンは、お菓子の材料となるお芋の栽培風景や、地元の方との交流の様子が高画質なカメラでしっかりと撮影されていました。そのため、突如差し込まれた素人カットの「違和感」は相当なものでした。しかし蓋を開けてみれば、この「違和感」こそが再生数を押し上げる一因になったと分析しています。
マクドナルドの巧みな「違和感」作り
規模は異なりますが、マクドナルドも公式X(旧Twitter)で「違和感」を活用して大バズりを生み出しています。
https://x.com/McDonaldsJapan/status/2051934993945960602

サムライマックのPR動画で、佐々木舞香さん(=LOVE)が勢いよく食べる「フリ」をしている(実際には食べていないように見える)動画です。これがコラム執筆時点で6,877万回再生という驚異的な数字を叩き出しています。
もちろん、これはマクドナルドの企業体力、認知度、タレントの影響力があってこその話であり、中小企業のSNSとは前提が違います。ただ、ここで注目したいのは「マクドナルドだからバズった」という点だけではありません。
本来「おいしそうに食べる」はずの食品PRで、実際には食べていないように見える。その一瞬のズレが、視聴者の中に「ん?」という疑問を生みました。
「今、食べた?」 「いや、食べてなくない?」 「もう一回見てみよう」
この“確認したくなる違和感”が、SNSにおいては非常に強い力を持つのです。
「何かを発見した」感覚が投稿を「自分ごと」にする
SNSで強いのは、完璧に完成された広告ではなく、見ている人が「何かを発見した」気になれる投稿です。
こうした小さな引っかかりが、再視聴やコメントのきっかけになります。SNSのアルゴリズムは、視聴維持率や再生完了率、コメント、保存、シェアなどの反応を高く評価します。つまり、違和感によって生まれた一瞬の「確認行動」が、結果的に投稿の伸びにつながるのです。
ただし、ここで大事なのは、違和感を「雑に作る」ことではありません。画質を落とせばいい、変なことをすればいい、炎上しそうな表現を入れればいい……そういう話ではないのです。この違いを見誤ると、SNS運用は一気に危ういものになります。
企業SNSで狙うべきは、炎上ではなく「余白」
完璧な説明ではなく、少しだけ考えさせる。整った映像の中に、少しだけ現場感を残す。予定調和のコピーに、少しだけ本音をにじませる。美しいブランドイメージの中に、人間の手触りを少しだけ出す。
特に地方企業や中小企業の場合、大企業のように完璧な映像制作を目指す必要はありません。むしろ、完璧ではないからこそ出せる強さがあります。
- 社長が少し不器用に話している。
- 現場のスタッフが慣れないカメラで撮っている。
- 農家さんの言葉が少し聞き取りづらい。
従来の広告制作の文脈では「直すべきもの(ノイズ)」とされがちな要素が、SNSにおいては信頼や親しみにつながることがあります。
もちろん、最低限の見やすさは必要です。「何を言っているか分からない」「商品が見えない」「音が悪すぎる」といった状態は、ただの見づらい投稿になってしまいます。しかし、すべてを綺麗に整えすぎると、SNSという人間臭い場では「よくある企業広告」としてスルーされてしまうのです。
これからの企業SNSに必要なのは、完璧な広告や意図された投稿を作る力だけではありません。完璧にしすぎない勇気。現場の手触りを残す判断。そして、違和感を不快感ではなく、確認欲求に変える編集力。
これからのSNS運用では、その感覚がますます重要になっていくはずです。