一般社団法人ジャパンEコマースコンサルティング協会

トップページ JECCICA記事 初めてのGEO対策 〜通販サイト担当者が今日から始められること〜
シェア
ポスト
メール

初めてのGEO対策 〜通販サイト担当者が今日から始められること〜

検索エンジンに代わって、AIに直接「おすすめ」を尋ねるお客様が増えています。この変化に気づいていない通販サイトほど、知らないうちにお客様の選択肢から外れているかもしれません。

こんにちは。JECCICA(ジャパンEコマースコンサルタント協会)で客員講師を務めております吉田です。通販・Eコマース業界に20年以上携わり、アパレルや化粧品、越境ECなど業種を横断しながら現場を回してきました。前職の再春館製薬所では海外事業部に所属し、越境ECおよびタイチームの管理をしていました。現在は株式会社FIDで、通販事業者向けのCRMツールやカートシステムのマーケティングに携わりながら、自社が展開するGEO対策プラットフォーム「Genview」のPM(プロダクトマネージャー)も務めています。

今回のコラムでは、最近ご相談をいただくことが増えている「GEO対策」について、通販・CRMという現場に長く関わってきた立場から、特に通販サイト(ネットショップ)の運営に携わる担当者の方に向けて、商品ページの改善という視点でお話ししたいと思います。

GEO対策とは何か

GEOとは「Generative Engine Optimization(生成エンジン最適化)」の略で、自社や商品の情報をAIに正しく理解してもらい、回答内での言及・引用・推薦につなげる取り組みを指します。ChatGPTやGemini、Google のAI検索機能などが回答を作る際に、自社のサイトの情報が参照されることを目指す取り組みです。

これまでのSEOでは、検索結果の一覧で上位に表示されることが重視されてきました。GEOでは、これに加えて、AIが生成する回答の中に自社の商品やお店の名前が登場することも重要な観点になってきます。たとえばお客様がAIに「敏感肌向けのオーガニック化粧水のおすすめは?」と尋ねたときに、自社の商品名やお店の名前を回答の中に挙げてもらえるかどうか、という話です。

順位を競うSEOとは少し性質が異なり、「選ばれる情報源になれるかどうか」が問われる点が、通販サイトの担当者にとって新しい視点になると感じています。

この違いは、お客様の行動に例えるとイメージしやすいかもしれません。SEOの世界は「自分でお店を見て回りながら商品を探す」お客様への対策です。一方でGEOの世界は、「店員さんに『おすすめはどれ?』と聞いて、教えてもらう」お客様への対策だと考えてみてください。前者は自社サイトが検索結果の棚に並べば良かったのですが、後者は、AIという“店員”に自社の商品や強みを正しく理解してもらっていなければ、そもそもお客様に紹介してもらえません。

なお、GEOはSEOと全く別物というわけでもありません。分かりやすい見出し構成や、構造化データ(サイトの情報をコンピューターが理解しやすい形式で整理しておくこと)、信頼できる情報発信といったSEOの土台の多くは、そのままGEOにも活きてきます。GEOは、これまで積み上げてきたSEOの資産を「AIが読み取れる形」に一段階翻訳し直す作業、と捉えるとしっくりくるのではないでしょうか。

実際、私が携わっているGenviewを導入いただく際も、「SEO対策と切り離して新しく始める」というよりは、「今取り組んでいるSEO対策と一緒に、GEOも並行して手をつけておきたい」という理由で始められる方が多い印象があります。GEOだけを単独で考えるのではなく、既存のSEOの取り組みに上乗せしていく感覚で始めるのが、現実的で無理のない進め方だと思います。

なぜ通販サイトにこそGEO対策が必要なのか

通販サイトの集客は、これまで検索エンジンからの流入や広告に大きく依存してきました。しかし、お客様が商品を探すときの行動そのものが変わりつつあります。検索窓に何かを打ち込んで一覧から選ぶのではなく、AIに相談するようにおすすめを尋ね、その回答を参考にする方が少しずつ増えてきています。

この変化は、これから店舗を運営していく方にとって軽視できないポイントです。検索結果の一覧に並ぶための対策だけでなく、「AIに商品や店舗のことを正しく理解してもらい、回答の中で紹介してもらう」という発想を持つ店舗と、そうでない店舗とでは、今後の見え方に差が出てくると考えられます。

特に通販サイトは、商品数が多く、商品ページごとに情報の粒度がバラバラになりがちです。だからこそ、情報を整理して伝えるGEO対策との相性が良いとも言えます。

『〇〇とは』だけでは、商品名の言及につながりにくい

ここで一つ、押さえておきたい前提があります。それは、AIに聞かれるすべての質問で自社の名前が挙がるわけではない、ということです。

たとえば「オーガニックコスメとは?」のような一般的な定義を尋ねる質問には、AIは自分の持っている知識だけで答えを完結させてしまい、特定のお店の名前を挙げる必要がありません。ここでどれだけ頑張っても、AIの回答に自社が登場する余地はあまりないのです。

一方で、「敏感肌向けのオーガニック化粧水のおすすめは?」「〇〇と△△、どっちがいい?」といった、比較や具体的な推薦を求める質問では、AIは具体的な商品名やお店の名前を挙げて答える傾向があります。通販サイトにとって本当の勝負どころは、まさにこの「比較・おすすめ」を尋ねられる場面です。ここで自社の名前が挙がるかどうかが、これからの指名買いや売上に直結してきます。

AIはどうやって商品情報を集めているのか

AIは、あらかじめ学習した知識だけで答えているわけではありません。質問の内容によっては、必要に応じて検索エンジンや各種データソースを通じてWeb上の情報を取得・参照しながら回答をつくっています。

ここで押さえておきたいのは、AIは商品ページを人間のように隅から隅までじっくり読むわけではない、という点です。質問の内容に近い情報の「かたまり」を抜き出して回答の材料にするため、結論や要点が埋もれてしまっているページは、参照される可能性が下がってしまいます。逆に、FAQ、比較記事、用語の定義文、導入事例や購入者の声のように、質問への答えがそのまま抜き出しやすい形で書かれているページは、参照されやすくなる傾向があります。

今日からできる3つの実践ステップ

初めてGEO対策に取り組む場合、大がかりなシステム改修は必要ありません。まずは以下の3点から着手することをおすすめします。

① 商品ページの冒頭に「結論」を書く

商品ページの説明文が、お店の想いやこだわりから始まっていないでしょうか。もちろんその想いは大切ですが、AIにとって理解しやすいのは、まず「この商品が何であるか」が端的に書かれている文章です。

例えば「〇〇(商品名)は、△△な方向けの◇◇です」というように、商品ページの一番上に一文で商品の要点をまとめておくと、AIがその商品を把握しやすくなります。こだわりやストーリーは、その後にじっくり書けばよいのです。

② よくある質問(FAQ)を充実させる

「サイズ選びに迷ったら」「返品はできるか」「賞味期限はどのくらいか」など、お客様からよく聞かれる質問と回答を、商品ページや専用ページにきちんと整理して掲載しましょう。

質問と回答という形式は、AIにとって非常に読み取りやすい情報の並びです。カスタマーサポートに日々寄せられる質問は、そのままGEO対策のヒントの宝庫でもあります。

③ 自社だけが持っている情報(一次情報)を明記する

産地、製造工程、素材、開発の背景、実際の購入者の声や利用実績など、他店にはない自社ならではの情報を、具体的な言葉で書き残しておくことが重要です。

どこにでもあるような一般的な説明だけでは、AIも「他の情報源と代わり映えしない」と判断してしまいます。逆に、自社でしか語れない具体的な情報が明記されていれば、AIが引用する際の材料になりやすくなります。

これら3つは、一度整えて終わりというよりも、新商品の追加や情報更新のたびに見直していく、継続的なメンテナンスが前提の取り組みです。またあわせて、メディアへの掲載や口コミサイトでのレビュー、SNSでの言及など、第三者が自社について語ってくれる場を地道に増やしていくことも、GEO対策の重要な一部になります。第三者による紹介やレビューも、商品評価を補足する情報になり得ます。社名や商品名の表記が媒体によってバラバラになっていないか、情報の一貫性を保つことも合わせて意識してください。

私たち自身の取り組みでも、同様の課題を感じています。私自身が携わっているGenviewはまだ新しいサービスで、もともとは「AIにどう見られているかを計測し、改善案を提案する」という、比較的一般的な機能からスタートしました。そこに「AIに『正しく』理解され、『選ばれる』ブランドを目指す」という理念と、それを実現するための機能を加えていったところ、AIの回答の中でGenviewについて言及されるケースが少しずつ増えてきた、という手応えを感じています。まだ大きな実績として語れる段階ではありませんが、一般的な機能の説明だけでなく、自社ならではの理念や取り組み方を具体的に打ち出すことが、AIに拾われるきっかけの一つになり得ると、自社の運用を通じて感じているところです。

商談でよくいただくご質問

通販サイトの担当者の方とGEO対策について商談やお打ち合わせをしていると、よくいただく質問がいくつかあります。ここでは、よくいただく質問と、その場でお答えしている内容をまとめてみます。

Q. GEO対策とSEO対策、どちらを優先すべきですか?

A. 優先順位をつけて片方をやめる、という考え方はおすすめしません。SEOは検索結果の順位を上げるための施策、GEOはAIの回答の中で紹介してもらうための施策で、目的が異なります。すでにSEOに取り組んでいるなら、その資産を土台にしながらGEOの視点を追加していく進め方が現実的です。

Q. 商品数が多い通販サイトでも、GEO対策はできますか?

A. できます。むしろ商品数が多いサイトほど、情報の粒度がバラバラになりやすいため、GEO対策の効果を実感しやすい傾向があります。すべての商品ページを一度に整えるのではなく、主力商品や問い合わせの多い商品から着手し、順にページの型を揃えていくのが現実的です。

Q. AIに聞かれる質問であれば、どんな内容でも自社の商品名やお店の名前が挙がるのですか?

A. いいえ、質問の種類によって挙がりやすさが大きく異なります。「オーガニックコスメとは?」のような一般的な定義を尋ねる質問では、AIは自分の知識だけで回答を完結させてしまい、特定のお店の名前を挙げる必要がありません。一方で「敏感肌向けのオーガニック化粧水のおすすめは?」「〇〇と△△、どっちがいい?」といった比較・具体的な推薦を求める質問では、AIは具体的な商品名やお店の名前を挙げられる可能性が高くなるため、通販サイトにとってはこの「比較・おすすめ」の場面こそが本当の勝負どころになります。

Q. AIは商品ページのどの部分を参照して回答を作っているのですか?

A. AIは商品ページを人間のように隅から隅まで読むのではなく、質問の内容に近い情報の「かたまり」を抜き出して回答の材料にしています。そのため、結論や要点が本文の奥に埋もれているページは参照されにくくなる一方、FAQ、比較記事、用語の定義文、導入事例や購入者の声のように、質問への答えがそのまま抜き出しやすい形で書かれているページは参照されやすくなる傾向があります。なお、AIは必要に応じて検索エンジンや各種データソースを通じてWeb上の情報を取得・参照しながら回答をつくっています。

Q. 専任の担当者やシステム開発がないと、GEO対策はできませんか?

A. 必ずしも必要ではありません。今回ご紹介した「結論を先頭に書く」「FAQを整理する」「一次情報を明記する」といった取り組みは、既存の商品ページの文章を見直すだけで着手できます。まずは自社でできる範囲から始め、必要に応じて専門的な支援を検討する、という進め方で問題ありません。

Q. 何から手をつければ良いか分かりません。最初の一歩は何ですか?

A. まずは主力商品のページを1つ選び、AIに「〇〇(自社の商品ジャンル) おすすめ」のように質問を投げてみて、今どのように扱われているかを確認することをおすすめします。そのうえで、そのページの冒頭に結論を書き、よくある質問を整理するところから始めてみてください。

Q. 競合はもうGEO対策を始めているのでしょうか。うちは出遅れていますか?

A. 業種にもよりますが、私が商談や支援の現場で接する範囲では、まだ試行段階の企業が多い印象です。だからこそ、今の時点で着手しておくことに意味があると考えています。AIの回答に安定して登場するようになるまでには時間がかかるため、早く始めた事業者ほど有利になりやすい領域です。焦る必要はありませんが、後回しにする理由もあまりないというのが正直なところです。

まとめ

GEO対策と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、根本にあるのは「お客様やAIに対して、自社の商品やお店のことを、分かりやすく、正直に、具体的に伝える」という、通販サイト運営における本質的な姿勢そのものです。

この姿勢は、前職の再春館製薬所で培った「お客様中心」の考え方とも重なるものだと感じています。誠実に、正直に情報を伝えることは、通販事業者にとって当然求められてきたことです。ただ、これからのGEOの時代には、その誠実さを社内やお客様との接点だけにとどめておくのではなく、AIにも正しく伝わる形できちんと外部発信していくことの重要性が、これまで以上に強くなっていると感じています。

まずは自社の主力商品のページを1つ選び、冒頭の一文、FAQ、一次情報の3点を見直すところから始めてみてください。小さな一歩からで構いません。この積み重ねが、これからのAI時代における「選ばれるお店」への近道になるはずです。

シェア
ポスト
メール
客員講師

吉田 清登

得意分野/GEO対策・CRM

株式会社FID CMO。再春館製薬所ほか通販業界20年。「お客様第一」の哲学とAIを掛け合わせ、GEOを探求。「GEOの本質はAIの先の”お客様”への接客」が持論。

関連記事

客員講師

吉田 清登

得意分野/GEO対策・CRM

株式会社FID CMO。再春館製薬所ほか通販業界20年。「お客様第一」の哲学とAIを掛け合わせ、GEOを探求。「GEOの本質はAIの先の”お客様”への接客」が持論。

AIエージェントで加速する
小売・ECの顧客接点改革
実装への道筋を探る