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「AIで〇〇ができる」の先にあること

AIの登場によって、コンサルタントの仕事の多くが効率化されてきました。情報収集や分析、資料作成といった業務は、これまでと比べて圧倒的に短時間で処理できるようになり、「AIに代替される」という言葉も現実味を帯びています。

一方で現場を見ると、悲観的な空気ばかりではありません。むしろ、AIを前提にした働き方によって、自分の価値をさらに発揮できると感じている人が多い印象です。

その理由は、コンサルタントという職種そのものではなく、「個人としての価値」がAIによって増幅されている点にあります。特に少人数で回している代理店や個人コンサルタントほど、この恩恵は大きいのだと思います。

今まで手がつけられなかった「やった方がいいこと」

これまで現場には、「やった方がいいこと」が常に積み上がっていました。仮説検証、クリエイティブの量産、データ分析の深掘りなど、本来やるべきことは明確でも、予算や時間の制約によって後回しにせざると得ない部分が常にありました。

AIの登場によって、このボトルネックは一気に解消されました。これまで数時間かかっていた作業が数分で終わり、低コストで様々な施策を試すことができるようになっています。

結果として、改善の試行回数が増え、意思決定の精度が上がる。単なる効率化ではなく、「改善のスピードそのもの」が変わったことで、アウトプットの質も引き上げられています。

競争のスピードはさらに早くなる

しかし、この変化は同時に競争環境も変えています。誰もがAIを使える時代では、改善スピードは強みではなく前提条件になります。

これまで差別化になっていた「速さ」や「試行回数」は標準化され、相対的な優位性は作りづらくなります。

「テセウスの船とブランド」

こうした状況の中で思い出されるのが「テセウスの船」です。部品を入れ替え続けた船は、果たして同じ船なのか。

AIによって高速で改善できる一方で、その積み重ねによって「自分たちは何者なのか」が曖昧になるリスクも高まっています。短期的な成果を追うほど、一貫性が崩れる構造があるためです。ECサイトで商品ページをウリウリにした結果、ブランドの大事にしているものが薄れてしまう。あるあるですよね。

だからこそ、「ブランドをどう定義するか」「やらないことを決める」といった判断の価値が高まっています。

これらは多くの場合、短期的には不合理に見えます。目の前の成果を優先すれば、より効率的な選択肢はいくらでもあるからです。

地に足をつけることの大切さ

それでも長期的な価値を守るためには、あえて非効率な判断を選ぶ必要があります。その意思決定を周囲に納得させるためには、データやロジックだけでなく、一貫した思想と言語化が求められます。ここはAIでは代替しづらい領域です。

さらに重要なのは、「何をやるか」よりも「何をやり続けるか」という視点です。AIによって試せる施策が増えた分、短期的な成果に応じて方針を頻繁に変えてしまうリスクも高まっています。

しかし、ブランドや信頼は反復によってしか積み上がりません。一定期間やり続けることで初めて意味を持つ施策も多く、途中で方針を変え続ければ、どれも中途半端に終わります。

AIは選択肢を増やしますが、その分だけ「選び続ける難しさ」も増幅させます。だからこそ、短期の最適化と長期の一貫性を切り分けて考える視点が不可欠です。

まとめ

AIの進化によって、コンサルタントの業務は大きく効率化しました。「やった方がいいこと」を実行できる環境が整い、改善のスピードは飛躍的に向上しています。

しかし、そのスピードが当たり前になった今、競争の本質は別の場所に移っています。何をどれだけ速くやるかではなく、「何をやらないか」「何をやり続けるか」を決める力が問われています。

AIによって選択肢が増えたからこそ、選ばない勇気と、続ける覚悟がより重要になりました。短期的な成果に流されず、長期的な価値を見極める。その積み重ねこそが、これからのコンサルタントの価値を決めるのだと感じています。

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客員講師

矢崎 宏一郎

(株)ISSUNチーフマネージャー

得意分野はWEB広告、EC販売支援。WEB広告のなかでもAI系広告を得意とし、事業規模に合わせた集客戦略でD2Cの売上を2年で10倍にするなどで、日本上位3%の代理店であるGoogle Premier Partner認定に貢献。

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