2026年、ECコンサルタントの立ち位置は静かに変わり始めている。これまでShopifyなどのEC構築は、制作会社主導で進むケースが多く、コンサルタントは戦略支援や部分的な関与にとどまることが一般的だった。しかし、AI導入補助金およびIT導入補助金の進化により、その構造に変化が生まれている。
その鍵となるのが「コンソーシアム型支援」である。
補助金活用におけるEC構築の前提
まず押さえておくべき前提として、補助金を活用したEC構築は、誰でも自由に請け負えるものではない。
制度上、導入されるITツールおよび支援体制は、あらかじめ登録・認定された枠組みの中で提供される必要がある。
つまり、単純な制作受託ではなく、制度に適合した体制の中で提供される“事業”であることが求められる。
この制約があるからこそ、多くの事業者にとって参入障壁となっている一方で、正しく活用できれば強力な提案手段となる。
コンソーシアムという選択肢
コンソーシアムとは、幹事会社(ITツール提供者)と構成員(コンサルタントや販売パートナー)によって構成される共同体である。
この枠組みを活用することで、コンサルタントは制度対応の大部分を幹事会社に委ねつつ、顧客への提案・設計・導入支援に集中することができる。
ただし、ここには実務上の重要なポイントがある。
コンソーシアムへの参画は、単なる口約束では成立しない。
幹事会社との正式な協議・合意書の締結が前提となる。
さらに、コンソーシアム自体が認定され、かつITツールが正式に登録されてはじめて補助金スキームとして運用が可能になる。
このプロセスを経ずに案件を進めることはできない。

審査は確実に“厳格化”している
ここは現場の実感として強く伝えておきたいポイントである。
過去、IT導入補助金の一部運用においては、不正や形式的な申請が問題視された経緯がある。その影響もあり、近年は制度全体として審査の厳格化が進んでいる。特に昨年度以降は、
- 事業計画及び導入ITツール(特に販売価格)の妥当性
- 導入内容と業務改善の整合性・効率アップの数値化
- 実態としての具体的な運用可能性
といった観点がより細かく確認されるようになっている。
以前のように「形だけ整えれば通る」という感覚で取り組むと、確実に壁にぶつかる。
導入希望の事業者が現れたとしても、制度要件を満たしていなければ採択には至らないという前提で設計する必要がある。
では、この領域に参入する価値はどこにあるのか。
それでも参入すべき理由
ここまで読むと「ハードルが高い」と感じるかもしれない。
しかし見方を変えれば、正しく理解しているプレイヤーが少ないブルーオーシャン領域でもある。
EC構築自体はコモディティ化が進んでいる一方で、
- 売上設計
- 導線設計
- データ活用
- AI活用
といった領域は、依然として専門性が求められる。
補助金という仕組みは、これらの価値を「投資として正当化できる」点に本質がある。
ECコンサルの役割は“設計者”へ
これからのECコンサルタントに求められるのは、制作そのものではない。
売上を生み出す構造の設計者である。
- 誰に売るのか
- どの商品で勝つのか
- どの導線で成約させるのか
- どのように継続的に改善するのか
さらにAIの活用を組み合わせることで、
- レコメンド最適化
- 接客自動化
- 需要予測
といった領域まで踏み込むことができる。
ここにこそ、コンサルタントとしての価値がある。
コンソーシアムは、単なる制度対応の手段ではない。
ECコンサルタントが「下請け」から脱却し、事業の上流を担うためのポジションを確立する仕組みである。
ただし、その裏側には
- 正式な体制構築
- 厳格な審査
- 制度理解
といった現実がある。
この現実を理解したうえで取り組むかどうか。
それが、これからのECコンサルタントにとっての分岐点になるだろう。
AI導入補助金だけでなく、今後のECコンサルのスタイルで定着すると思う。
選ぶ側に回るのか、選ばれる側にとどまるのか。
それは貴方次第だと思います。