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「伝える」と「伝わる」のあいだに Vol.39 おじさん話聞いてない問題

俺の話を聞け

先日SNSで「おじさんは話を聞いていない」と嘆く画家のを読んだ。展覧会で来場者に作品の説明をするのだが、おじさんはそれを聞き流した後で全く無関係の話(息子の自慢など)をしてくるそうだ。展覧会なのに…。
そういえば誰かしらの講演会や研究発表の後に用意される質疑応答の場でも、質問ではなく「俺の意見」を延々話し始めるおじさんの話というのはよく流れてくる。

私もこれには頷く。タクシーの運転手さん、飲み屋で話しかけてくるおじさん、そして身内のシニア数人など、すぐ思い浮かぶ。
「お喋り好きなおじさんだな」と思う場合はたいてい「俺の、俺の、俺の話を聞け〜!(by横山剣)」に帰結するのでわりとしんどい。
「わかります!それって…」など関連のネタを振っても、こちらの話は完全スルー。私が口を閉じるや否や自分の話の続きを始める。私に求められているのは「えーそうなんだ」「すごいですね」など感嘆の相槌のみ。なんで無料で(タクシーなら金まで払って)ホステスやらなアカンの…?

おじさん同士でお喋りしたい

いっぽう、SNSでバズッた40代男性の「おじさんはおじさんと他愛ない会話がしたいのだ。仕事や金や女以外の」という呟きも見た。男同士で話す場ではそれらの話になりがちだそうで、そこに辟易している男性も多い。

二つの呟きからはおじさんは「誰かに話を聞いてほしい」または「誰かと平穏にお喋りしたい」という思いがあると分かる。
ただ、前者の「話を聞けおじさん」は後者の「お喋りしたいおじさん」とはマ
ッチングしない。なぜなら前者の姿勢は後者にとって絶対避けたいものだからだ。ざんねん。

おばさんの場合

私自身は充分におばさんの年齢なので「おばさんはどうなのか」と自問する。話聞かないおばさんもいることはいる。しかし男性のそれとは根本が違う気がする。
おばさん同士のお喋りは、各々好き勝手に話しているように見える。でも女の集まりの根っこには基本的に「共感」がある。長年培った「あなたの言うこと分かるわー」がしっかりとお喋りの土台を支えているのだ(本当は共感してなくてもフリだってできる)。男たちとはお喋りの年季が違う。さらに言えば、男たちの聞き役にさせられてきた経験も違うのだ。

権威と価値

男たちの「話が聞けない・他愛ないお喋りができない」原因は、私が思うに以下の二つだ。

①ビジネス文脈から抜け出せない

仕事漬けの男性は、肩書きがつくと皆が気を遣って話を聞いてくれる。一方自分は部下からの報告や相談を聞き、アドバイスや指示を渡す立場になる。それに慣れすぎると、いざ仕事から離れた時に「相手とフラットな立場で他愛ない会話をする」ことができなかったりする。自分のしたい話(主に仕事と金)を延々したり、リアクションが全部アドバイスや説教になったり。

②勝手な価値づけ

①と地続きだが、会話の内容に「情報として価値がある・オチがある」ことを重視してしまい、それ以外の世間話はするのも聞くのも無意味、と思ってしまうクセがある。相手との間に自然に勾配を作ってしまうクセもね。オンナコドモの話は真面目に聞かないおじさん、いるでしょ。
古くからの「男は無駄口を叩くな、感情を気安く口に出すな」という日本男児教育の弊害も根深いと思うし、ホモソーシャルな仲間内では「強さの話題(仕事・金・女の話)」が良しとされる、というのもある。

「お茶する」から始めよう

では、嫌がられずに話を聞いてほしい・平穏にお喋りをしたいおじさんはどうしたらいいだろう。それにはまず「カフェや公園でお茶する」ことをおすすめしたい。
酒が介在すると「仕事・金・女」の話やマウント合戦に結びつきやすいのでノンアルで。さらに聞き役に徹してくれそうな人(部下や女性)を相手に選ばないこと。

できれば肩ひじ張らずに済むような同世代男性(同級生とかご近所さん)と、美味しいスイーツやドリンクを嗜みながら、または共通の趣味にいそしみながら、会話してみてほしい。茶飲み相手がいないなら今後のためにも見つけてほしいが、まずはパートナー相手でもいい。

会話はキャッチボールだ。勝手に自分をピッチャー、相手をキャッチャーに設定してはだめ。相手に球を受け止めさせ続けないこと。自分が話したら次は相手のターンと心得ること。相手が話し出したらきちんと聞く。相槌をうつ。質問などもしてみる。
目の前にいてくれる人に興味を持つこと。向こうだってこちらのしょうもない話を聞いてくれてるのだ。こちらもちゃんと聞きましょう。

ひとを大事に

お喋りが面白いか、価値があるかどうかは実は自分が「知りたいという姿勢を持つどうか」にかかっている。つまらんと思ってれば誰と喋ってもつまらんし、周りからもつまらんおじさんと思われて終わる。
でも、権威やいらんプライドを捨て、相手の話をフラットな態度で聞く姿勢があり、少しでも相手に興味を持とうという姿勢があるおじさんは、間違いなく慕われるようになる。世界ももう少し面白くなる。

もっと話したければちゃんと聞く。孤独になりたくなければひとに興味を持つ。それが大事だ。

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コピーライター

近藤 あゆみ

Lamp代表

博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。

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