楽しく誰にも分かるマーケティング：Vol㊲バーやスナックに行きたいニーズをテクノロジーで解決！

コロナ禍で大打撃の飲食業
昨年からのコロナ禍で、様々なビジネスが大きな影響を受けています。飲食店もその中の一つですが、年明けに再び発令された緊急事態宣言、そして４月に入ってからの感染再拡大のあおりを受け、お酒を出す料飲店「クラブ・バー・スナック」などは大打撃で、業態的に個人営業のお店も多く、閉店する店舗が後を絶ちません。

そもそも馴染みのお店に行くニーズとは？
そんなお店に行くのが、はばかられる今、お店の雰囲気だけでも味わえるＷｅｂサイト「ＩＭｉｓｓＭｙＢａｒ」が人気を得ています。このサイトでは、「バーデンダーの作業音、ドリンクが注がれる音、お客さんの声、混雑したガヤガヤ音」などの効果音が雰囲気を醸し出し、宅飲みがちょっと楽しくなるサイトです。

馴染みのお店に行くニーズ（欲求）は、お酒を飲むというよりも、お店のマスターやママ、あるいは常連さん達との他愛無い会話で、仕事や家庭の時間を開放したいというニーズがベースにあると思います。音声だけのＳＮＳ「Ｃｌｕｂｈｏｕｓｅ」が流行る理由もそこにあると思います。お酒はそれを活性化するコミュニケーションツールですが、こう考えるとテクノロジーを生かし、オンラインのお店を営業することは物理的に可能です。

オンラインで営業が出来たなら・・
例えば飲料メーカーが料飲店支援目的に、オンラインバーを名乗ったＷｅｂサイトを立ち上げます。サイト上では全国の「クラブ・スナック・バー」が紹介され、自宅をはじめインターネットがあれば、どこからでもお店にオンラインで入ることが出来ます。
お店に入るには、サイト上でメーカーからＥコマースでお酒を購入します。そのお酒にはポイントが一緒に付与されてきます。例えば「１，０００円で１ポイント」とルール化し、お店も銀座のクラブから、地元のスナックまで価格はまちまちですので、銀座のクラブは「１時間５ポイント」、地元のスナックは「１時間１ポイント」で入れるなど、顧客は購入したお酒とポイントを使い、お店に入ってオンライン上でマスターやママ、あるい他の常連のお客さんと会話が出来ます。
実施するメーカーは、一旦顧客にＥＣで直販しますが、システム上で使用したお店が分かりますから、１か月で清算を行い、お店はもとより、間に介在する卸売店や酒屋さんに、商流のルールに沿って利益を分配します。こうした仕組みを使えば、「メーカー・顧客・飲食店・卸売店・小売店」全てがハッピーになります。

テクノロジーの進化が可能とする
コロナ禍になり、「Ｚｏｏｍ飲み」が普及しました。私も数回行いましたが、同じ画面上で複数の人の顔が見える環境は、「一次元」的に感じて、コミュニケーションの広がりや深み、温かみを感じませんでした。
私の親しいエンジニアに聞いたところ、アバターがオンライン店舗に入店して、リアルなお店と同様に、アバターを自分で移動させることで、距離に応じて声の大きさが変わったり、顔が見える見えないが変わったり、こうしたリアリティある仕組みが可能ということで、これからはお店に行けなくても、「家に居ながら、あたかもお店に居るような時間と空間」を楽しむことが可能な時代になりそうです。

固定観念を払拭したチャレンジを！
新しいオンラインの仕組みは、様々な楽しみが可能となります。例えば料飲店がオプションで利用できるアトラクションを用意し、オンラインで訪れる「バーチャルながし」があったり、東京のＡ店のお客さん５人と、札幌のＢ店のお客さん５人がオンライン上で、「フィーリングカップル５対５」のようなお見合いパーティーを行うこともできます。
国内のみならず、海外のＢａｒを訪問することも可能です。

またアフターコロナでは、リアルとオンライン、「ハイブリット型営業」で収益の拡大が期待出来ます。更には店主の高齢化で、惜しくも閉店を余儀なくされるマスターやママは、生涯現役で営業が出来ますし、同じように年齢を重ねたお客さんのコミュニティも末永く続きます。こうした流れは、健康寿命の延伸にも寄与するでしょう。

このように思いつくアイデアも、日進月歩のテクノロジーを駆使すれば、いずれも可能な時代になっています。しかし、現実を考えると幾つか乗り越えないといけないハードルがあると思いますが、これまでの常識をいい意味で疑い、より人間社会が豊かになって人々の笑顔が増える。こうしたビジネスは、やはり固定観念をなくし「チャレンジするか、否か」だと、最近の私はつくづくそう思います。