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Amazonは「EC」、楽天は「ネット通販」

Amazonと楽天のGMVは?

私の推計では、2026年のAmazonのGMVはAmazon6.17兆円、楽天4.05兆円です(※共にサービス、デジタル分野は除く)。グラフの通りコロナ禍ではほぼ同じレベルでしたが、コロナが明けてからAmazonの勢いが強まっている一方で、楽天は横ばいとなっています。予めお断りしておきますが、私は決してGMVが大きければよいということを言いたいわけではありません。消費者によって好みは分かれていますし、また事業者側もどちらが適しているかといった選択はあると思います。それはさておき、Amazonと楽天の違いについて、私なりに思っていることを書かせて頂きます。

Amazonと楽天のGMV推移(単位:億円)<br>出所:株式会社デジタルコマース総合研究所による推計
Amazonと楽天のGMV推移(単位:億円)
出所:株式会社デジタルコマース総合研究所による推計

「通販」の発展形としての「ネット通販」

ところで1970年代には既に「テレビ通販」が始まっていましたので、「通販」には長い歴史があります。通販とはそもそも何なのかですが、実店舗を主体とした一般的な買い物に対するオルタナティブな手法として発展してきたと私は理解しています。その後1990年代にネットが登場したことでECのことをその発展形として「ネット通販」と呼ぶようになりました。しかし現代のようにネットでの買い物が一般化、定着化することで、いつしかオルタナティブ感は薄れているかと思います。つまり「ネット通販」は「通販」の延長線上とは必ずしも言い切れない存在かと思います。

Amazonと楽天の違い

ここで少し視点を変えてみましょう。Amazonと楽天それぞれの売上の中身について、Nint Ecommerceを用いて細かく見ていると、両社には販売トレンドに明確な違いがあることに気付きます。Amazonは日常的に使用するものがとても売れている一方で、楽天も同様のトレンドは見られるものの、母の日や父の日といったイベント系ではAmazonよりも楽天の方がよく売れているようです。おせち料理についても楽天の方が販売額は上です。つまりAmazonでは日常的な買い物の第一想起が楽天よりもやや強い一方で、楽天は日常的な買い物については若干Amazonよりも低いながら、その代わりに“こだわって何か買いたい”という消費者の想いの受け皿になっているような気がしています。

Amazonは「EC」、楽天は「ネット通販」

EC業界の方で「EC」と「ネット通販」を区別している人はまずいないでしょう(もしいたら是非一度ディスカッションしましょう)。このふたつの単語は同義語として扱われており、誰も気にせずにふたつの言葉を使っていること思います。しかし私は「EC」は「日常の買い物手段の一種」であり、「ネット通販」はオルタナティブな手段というニュアンスとは少し異なるのですが「こだわった買い物をする手段」だと自分なりに定義づけしています。その観点に基づけば、Amazonは「EC」、楽天は「ネット通販」、私はそのように捉えています。

両者がさらなる高みを目指すためには

話を両者のGMVに戻します。コロナが終息して以降、Amazonと楽天でGMVに差が生じていますが、その理由として、日常的な買い物手段に消費者はECを選んでいることの証左ではないでしょうか。なお繰り返しますが、私は決してGMVが大きければよいということを言いたいわけではない点にご留意ください。とは言いつつ、楽天のGMVがさらに伸びるためには、楽天の良さである「こだわりをもった買い物を実現する場」を維持しつつ、日常的な買い物に関してもさらに一段高いレベルを追求することかと思います。一方でAmazonについてですが、楽天の良い点をAmazonでも同等レベルに引き上げるようになればよいと思います。そのようなことを目指すうえで、AIは重要なツールとして欠かせないでしょう。

消費者から見てどのような特徴がある存在に見えるか

さて今回はAmazonと楽天の違いに関し、「EC」と「ネット通販」という言葉を絡めながら私なりの見解を書かせていただきました。今回の主題とは異なりますが、Amazon、楽天といったEC界の巨頭に対し、他のECモール、自社EC(DtoC-EC)、TikTok Shopに代表されるソーシャルコマースは、消費者から見てどのようなポジショニングを目指すべきなのか、とても興味が湧いてきます。EC市場はAmazon、楽天が全てではありませんので、消費者から見てどのような特徴のある存在なのか、客観的な視点で考えていただければ嬉しいです。

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客員講師

本谷 知彦

システムエンジニア、IT系研究員、システムコンサルタントを経て2013年よりECを中心としたリサーチ・コンサル業務に従事。EC業界のスタンダードとなっている「経済産業省の電子商取引に関する市場調査」を2014年度~20年度にかけて7年連続で責任者として担当。自称「Mr.EC化率」。

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本谷 知彦

システムエンジニア、IT系研究員、システムコンサルタントを経て2013年よりECを中心としたリサーチ・コンサル業務に従事。EC業界のスタンダードとなっている「経済産業省の電子商取引に関する市場調査」を2014年度~20年度にかけて7年連続で責任者として担当。自称「Mr.EC化率」。

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