2020年 年頭所感 小林厚士
新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはお健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
旧年中は、一般社団法人ジャパンイーコマースコンサルタント協会(JECCICA)への格別のお引き立てを賜わり誠に有難うございました。皆様のご支援のもと、無事に新春を迎えることができ心から感謝申しあげます。
2019年のEC業界を私の視点で振り返りますと、オムニチャネル戦略の再浮上が目立ち、決してECだけで解決させるのではなく、リアルとネットを複合化させた様々な導線を一元化するような新たな販売モデルや、最新のテクノロジーを本格的に活用した形のリテール戦略が目立ったように思います。
その理由の一つとして、先のコラムでも触れましたが2019年5月に経済産業省が発表した、2018年の商取引に関する市場調査内容からも推測できます。 2018年のBtoC-EC流通額は17兆9,845億円、EC化率は6.22%であり、その内訳としては物販系分野9兆2,992億円で前年伸び率は8.12%、サービス系分野、6兆 6,471億円で前年伸び率は11.59%、デジタル系分野2兆382億円で前年伸び率は4.64%といった数字が発表されています。 一概にBtoC-ECの市場規模は17兆9,845億円で、前年伸び率は8.96%であり、BtoC-EC市場は拡大しつつあるという解釈をしていEC企業が多いにも関わらず、大手企業の参入によって市場が奪われつつあることを実感しているEC事業者も少なくありません。
BtoC-ECの市場規模の3つの内訳の中で最も伸び率が少ないものが物販系分野であり、一番の伸び率であるサービス系分野の拡大は、今後も拡大の一途をたどっていくでしょう。
ここで改めて再浮上した次世代オムニチャネルという概念により、売り手も買い手も実小売とECの境界線がなくなってくるという感覚となり、過去にはない市場環境が生まれつつあるのだと考えます。
2019年はメーカー直販ECサイトも多く出現し、同時にショールーム開設や実店舗展開が目立ちました。
今後はDtoC型オムニチャネル展開にフォーカスするとともに、EC事業者がライブコマース、ポップアップショップ、ガイドショップ、実店舗展開などを意識し新たな市場環境の創出に意欲を燃やしていく中、過去にあったガラケーのように日本のEC市場に適合した日本独自のオムニチャネル確立されていくのではないかと考えます。
私自身、2019年は中小企業庁からの委託事業で経営支援のコーディネーターとしても活動を行いましたが、WEBマーケティング、EC戦略関連の相談案件が非常に多く、その中でも特にオムニチャネル戦略を意識、必要とする経営課題が多かったように思います。
2020年は更に実小売とEC展開の境界線の定義が様々な形で変化し、日本独自のオムニチャネル戦略が大きく進化していくことで、今までに無いEC販売戦略が出現してくるかもしれません。
最後となりますが、2019年も、毎月開催する定例セミナーの出席者の皆様からは多くの賞賛を頂く事が出来、また交流会の参加者間では多くの情報交換やコミュニケーションを生むことが出来ました。
当会は本年も引き続き、常に最新の業界動向や様々な視点から市場の動きを睨みつつ、より優秀なECコンサルタントや企業内のEC事業部リーダーを多く輩出できる様、昨年以上に邁進していく所存でございます。
本年も皆様方の益々のご隆盛とご健勝を心からお祈り申し上げます。
理事【小林厚士のプロフィール】
地方型Eコマース経営・運営総合的アドバイザー
主な経歴
1996年:建設業にてCADとの出会いによりPCへの可能性に目覚め転職を決意
1997〜99年11月:自作PC制作、販売、環境構築、法人向けトレーナー
サービスを展開
1999〜05年3月:ネット販売会社設立 2箇所の海外支店をハブに、最大7店舗のネットショップ運営展開を行う
2005年4月〜:アイズモーションウェブコンサルティング設立
2007年6月:株式会社アイズモーション設立
2013年:WEB・EC及び経営コンサルティング支援を行い現在に至る
・99年より楽天市場出店を期に、最大7チャネルのECサイトを運営
楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞
・長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)
長野商工会議所経営革新支援アドバイザーセンター 登録専門家
経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家
物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。