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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.60 顧客はコンセプトを買っている②

人がワクワクするコンセプトが大切
前回のコラムで、世の中でヒットしているモノやサービスは、必ずコンセプト「顧客に対する価値」要素が明快でユニークとお伝えしました。
●誰が使う?⇒どんなニーズを持つ人?
●どんなTPOで使う?⇒どんな時、どんな場所、どんな状況で使う?
●どんな価値?⇒どんな恩恵を受ける?どんなハッピーがある?
そこで、今回はユニークなコンセプトで大ヒットした事例、ビックビジネスになった事例を「私の見方と解釈」で幾つかご紹介します。

サントリーセサミンEX
【コンセプト】
若々しく居たい人(50代)が、「トキメキを得られる」サプリメント。サントリーセサミンEXはその前身であるセサミンEとして2021年から通信販売されています。その後22年が経過して顧客層も年齢が上がり、イメージキャラクターの「三浦雄一郎さん、加山雄三さん」を支持する60代~70代に向けたコンセプトは「生涯元気でいられるサプリメント」で、健康に不安がある顕在層に訴求を行っていました。

そこで新たに50代を獲得するため、俳優の上川隆也さん54歳と同年齢の女性モデルを起用し、35年振りに再会した同級生を15秒CMで演出。最後のコピーが「若々しさをいつまでも」でした。つまり50代は健康不安がまだ少ない潜在層ですが、「セサミンEXを今から使い続けることで若々しさが維持され、トキメキが得られるかもしれない・・」という価値を伝えました。同じセサミンEXでも、まったく異なる価値として50代に伝わり、ブルーオーシャンの潜在市場を開拓したコンセプト事例です。

メルカリ
【コンセプト】
オークションが面倒な人が、「簡単に不用なモノを販売出来る」フリマサイト。モノが豊かな今日、どの家庭でも不要なモノが多く、「断捨離」とか「リユース」という時代の流れもあり、リアルなフリーマーケットやオンラインでのフリマサイトが人気になっています。これまでも不用なモノをオンラインで販売する「ヤフオク」がありましたが、ヤフオクはオークションの仕組みが難しかったり、出品するまでの作業が大変だったりで、オンラインに疎い人は使いこなせない感じがありました。

そこで、この不満を解消したのが「メルカリ」です。メルカリはスマートフォンで簡単に出品ができるプラットホームをつくり、大々的な広告キャンペーンにより、リリースから1年半で、1日あたり10万品超が流通する巨大フリマサイトに成長、誰でもフリマサイトが利用出来るよう、使いやすさと親しみという価値を顧客に与えた事例です。

ウイダーinゼリー
【コンセプト】
朝食の時間もない人が、「10秒でしっかり朝食を摂ることができる」ゼリー飲料。忙しいビジネスパーソンや学生を中心に、出勤や登校前の朝の時間はとても貴重です。「少しでも寝ていたい、出かける準備に時間がかかる」こんな人も多いでしょう。そうすると、朝の食事は後回しにされ、食べずに出かける人も増えていきます。

そこで「ウイダーinゼリー」は、朝食代わりのゼリーをスプーンや容器も不要で「歩きながらでも摂れるよう」に考案し、ユニークなパッケージに必要な栄養素を凝縮しました。そして「10秒チャージ」というキャッチフレーズを広告展開で訴求。チャネルもコンビニや駅の売店、自動販売機などで買いやすい環境を整えたのです。「朝食を摂る時間がない」という不満と不自由を解消するため、それまではお菓子などで利用されていたゼリーの使用目的を変えて、片手で持てるパッケージを開発したことで、10秒で摂取できる朝食という価値を顧客に与えた事例です。

サントリー伊右衛門特茶
【コンセプト】
体脂肪は気になるけどお茶は美味しく飲みたい人へ、「脂肪を『分解』燃焼する、美味しい伊右衛門の特茶」。お腹周りが大きいことに加えて、血圧の上昇、空腹時の高血糖、脂質の異常値のうち2つ以上当てはまる状態を「メタボリックシンドローム」といい、中高年層を中心に「メタボ検診」が広く認知されました。こうした社会背景のもと、花王が「ヘルシア緑茶」という体脂肪を減らす特保の緑茶飲料を発売してヒットしました。その後発商品として発売され、ヘルシア緑茶を抜いて、更には市場を拡大して大ヒットしたのが、サントリー伊右衛門特茶です。伊右衛門特茶は、メタボが不安なヘルシア緑茶ユーザーや潜在ユーザーの声から顧客の「不の字(ニーズ)」を洗い出し、それを見事に解決したところにヒットの要因が見られます。

それは、ヘルシア緑茶に対して「ヘルシア緑茶は苦くて容量が少ない(=不満)」、「ヘルシアって本当に効果あるの?(不信)」、「ヘルシアって何かイメージ良くない?(=不信)⇒花王って洗剤の会社でしょ?」という不の字です。これらを解決するため、「脂肪は分解しないと燃焼しない!」というメカニズムを機能訴求し、一方で「飲料はやっぱりサントリー、お茶はやっぱり伊右衛門」というブランドを情緒訴求した点です。それがキャッキコピーの「脂肪を『分解』燃焼する、美味しい伊右衛門の特茶」に表現されて、30代から50代の男性メタボ不安ユーザー、更には女性にも支持されていきます。

コンセプト2つの要素を明確に
一見難しそうなコンセプトですが、こうして事例を見るとコンセプトは「誰に?(どんなニーズを持つ人に?)どんな価値があるのか?(どんなハッピーがあるのか?)」が、分かりやすい言葉で表されています。コンセプトが明確であれば、コミュニケーションで「誰に?何を伝えるか?」がシャープに導かれ、クリエイティブで表現した際に、顧客の注意関心や興味をひき、レスポンスに繋がりやすい導線が出来ます。

以前により多くのレスポンスを獲得する法則で「4:4:2の法則」をお伝えしましたが、最初の4割はターゲット、次の4割は訴求要素が該当しますので、このセオリーでもコンセプトの重要性が論証されている訳です。

ヒットの要因やレスポンスが取れる要因には、こうした明確な理由があるんですね。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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