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WEB広告の「AIで成果を出す」を考える

AIの登場によって、各仕事の基本となる「正解の型」を捉えるまでのコストは、これまでとは桁違いに下がりました。マーケティングの分析はその代表例で、チャットに聞けばそれっぽい分析はすぐに出てきます。それが本当に使えるかは別として、「一定水準のアウトプット」に到達するまでのハードルはほぼ消えたと言ってよいでしょう。

その結果、何が起きているのか。
それは「正解の大渋滞」です。

WEB広告の正解が渋滞する

WEB広告の世界では、成果が出やすい広告文やキーワードはAIによって瞬時に生成されます。本来であれば競争優位になっていたはずの「正解」に、多くの広告主が同時にたどり着くようになりました。似たような訴求、似たようなコピー、似たようなキーワードに入札が集中し、結果としてクリック単価や獲得単価はじわじわと上昇していきます。

つまり、AIを使うこと自体には、もはや差がありません。
むしろ「誰でも同じものが作れる」という前提で、どう一歩先に出るかが問われています。

ここでよく見かけるのが、「AIに広告ノウハウを学習させ、アウトプットの質を高める」という使い方です。一見すると効率的で、それなりに整った文章が出てきます。しかし実態は、LPの内容を要約し、少し言い換えただけの“無難な広告文”にとどまることがほとんどです。読みやすくはあるが、差別化にはつながらない。結果として、競合と似たような土俵で消耗戦をすることになります。

どう突破するか

一つの答えは、「広告ごとの目的を具体化すること」です。

たとえば「栗を売る広告文を考えてください」とだけ指示すると、「秋になると、毎年ちゃんと思い出す味があります。それが、この栗です」といった、どこにでもある表現が出てきます。これはAIが悪いのではなく、与えられた指示が抽象的すぎるため、平均的な最適解に収束しているだけです。

一方で、「CPAを2,000円から1,500円に下げたい」といった目的を与えると、出力は変わります。「これを逃すと次のチャンスは6ヶ月後」といったように、購入を急がせる方向に寄ったコピーが生成されます。また、「スクロール率を上げたい」という課題を伝えれば、「栗は“寝かせると甘くなる”って知っていましたか?」のように、続きを読みたくなる問い
かけが出てきます。

ここで重要なのは、これらのコピーが正しいかどうかではありません。
重要なのは、「AIの出力は、与えた課題に強く依存する」ということです。

つまり、差がつくポイントは「良い広告文を出せるかどうか」ではなく、その手前にあります。なぜ売れていないのか。どこで離脱しているのか。どの指標を優先して改善すべきなのか。その課題をどれだけ具体的に言語化できるかが、そのままアウトプットの質に直結します。

じゃあ、そこの分析もAIに任せればよいのでは?と思われがちですが、商品写真の「シズル感」などの感覚の問題や、サイト上で計測出来る情報の限界などから、「良質な問い」をAIが作ることはまだ難しいという印象です。

まとめ

AIは「正解の型」を高速で提示してくれます。しかし、その型をどこに当てはめるべきか、どの課題を解くべきかまでは決めてくれません。だからこそ、AIを使う人間側に求められるのは、解像度の高い課題設定じゃないかと思います。

結局のところ、AIで成果を出すというのは、AIに答えを出させることではありません。何を解かせるのかを設計し、その前提となる課題を言語化することです。言い換えれば、AIの価値は「答え」にあるのではなく、「問いを増幅する装置」であることにあります。

人間にできることは、飽くなき好奇心と探求心で「問い」を作り続けることなのかもしれません。「問いがなくなり」満足したものから振り落とされる恐ろしいゲームが始まったようにも思えますが、「問い」がどこかにある限り人間の仕事はなくならないのではないかと、絶望と希望を感じている今日このごろでした。

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客員講師

矢崎 宏一郎

(株)ISSUNチーフマネージャー

得意分野はWEB広告、EC販売支援。WEB広告のなかでもAI系広告を得意とし、事業規模に合わせた集客戦略でD2Cの売上を2年で10倍にするなどで、日本上位3%の代理店であるGoogle Premier Partner認定に貢献。

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