スマートスピーカーの普及と会話型コマース
Amazon Alexaデバイスを筆頭に、アメリカではスマートスピーカーの普及が順調に進んでいます。
Voicebot.aiとVoicifyが2019年3月に発表したレポート”Smart Speaker Consumer Adoption Report”によりますと、スマートスピーカーを所持しているアメリカの成人は、2018年1月の4,730万人から2019年1月には約40パーセント増の6,640万人に達しました。
これは、成人人口2億5,300万人の26.2パーセントがスマートスピーカーを所持していることになります。スマートスピーカーの総数は約1億3,300万台で、一人あたりの所持数で見ますと、2018年の1.8台から2019年には2.0台と微増しております。
また、より多くの音声アプリが公開されており、Amazon Alexaは前年から2.2倍増の約60,000、Google Assistantは2.5倍増の約4,000となっております。
テクノロジーの標準的な採用ライフサイクルは、ユーザー人口の約16パーセントがイノベーター/早期導入者、34パーセントが初期多数派ということから、スマートスピーカーは現在その初期多数派の段階と言えます。
また、製品やメーカーの視点でみると、Amazonが牽引した第1段階は2018年秋に終了し、現在は新しい製品、新しいメーカーの参入が特徴となる第2段階に入っていると言われております。
スマートディスプレイの出現、Bose、Bang & Olufsen、Klipschなどオーディオ大手企業の参入などがその理由です。マーケットシェアは、Amazonが6割強と引き続き圧倒的な位置におりますが、Googleのシェア拡大、AppleやSonosなどの新規参入により、実は1年前から10ポイントほどシェアを縮小させております。
スマートスピーカーの用途として、次のグラフにあるように、”何か質問する”、”ストリーミング音楽を聞く”、”天気の確認”がトップ3となっています。
音声アシスタントを利用した商品やサービスの購入を行う”ボイスコマース”は、まだまだ利用者が多いとは言えませんが、41.2パーセントが商品情報検索を、26.1パーセントが購入を行ったことがあるようです。アメリカのWalmartやStarbucksやCapital One、フランスの化粧品会社Sephora、イギリスのオンラインスーパーマーケットOcadoなどは、Amazon AlexaやGoogle Assistantなどと提携し、商品の購入、クレジットカードの支払い、ビューティセッションの予約などできるサービスをすでに提供しているように、ブランド側はボイスコマースへの対策がもはや必須となるでしょう。
Eコマースは、メッセージングサービスとチャットボットの利用やこのボイスコマースに代表される”Conversational Commerce -会話型コマース”という新しい時代にはいってきていると考えられます。
この会話型コマースは、次の売上予測グラフにあるとおり、今後さらに成長する市場となるでしょう。
JECCICA客員講師 渡辺 泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。