モノを売らないでコトを売る
JECCICA特別講師 中谷 昌弘(通称:トントン先生)
バームクーヘン屋さんが
「バームクーヘン」を売る。
当たり前のことですネ。
でも、この当たり前が顧客の頭打ちを招くことになってしまいます。
なぜなら「モノ」を売るということは、強力な口コミやメディアの力とそれを裏付ける信頼と実績が永続的に必要だからです。
「モノ」を売らないで「コト」を売る
どういうことかというと、「新築祝い」「出産祝い」「結婚祝い」こういった売り方を増やしていくことにより、新しいバームクーヘンの顧客が増えていくことになります。
もちろんその「バームクーヘン」は真摯誠実に作られたものでなければならないのは、リピートの観点からも明白ではあります。
さらに顧客単価を上げたいならば、「新築祝い」「出産祝い」「結婚祝い」から「新築内祝い」「出産内祝い」「結婚内祝い」と進化させれば、1対1の消費関係から1体多の消費関係に変化し、当然にして売上は伸びていきます。
「そういった進物に向いた商材を持ているショップはそんな風にできるでしょう」
「ウチみたいな型番商材を売るショップなんかそんなことなんかできるわけない!」
よく自分のショップだけを特別視してしまうオーナーさんとでくわします。
そうじゃないんです。
考える視点を変えるだけでいいんです。ここでよく考えてみてください。
型番商材・・・これまでのショップはすでに訪問者が購入する商品を理解しているという前提で作られていたため、商品名や型番での検索、商品種別のカテゴリ分けが中心的なサイト構成が多いです。
つまり、「知ってるありき」での集客をしているわけです。
「電動ドライバー」で検索してくるユーザーは、上述「バームクーヘン」で検索してくるユーザーと同じ属性です。
リョービ充電式ドライバドリルは、BD-715KTという型番です。
この型番や電動ドライバーで検索しないで、かつ、この商品がほしいユーザーはどのようなユーザーでしょうか?
上述、バームクーヘンを買うために達成したかった目的は「新築祝い」「出産祝い」「結婚祝い」などでした。
では電動ドライバーを買うために達成したい目的はなんでしょう?
目的は、“厚みのある木材に穴をあける”ということです。
その目的の先に商品があれば、新しい消費が生まれるということなんです。
「モノ」を販売するサイトで「コト」を提案するサイトです。
何をしたいかのカテゴリーで穴あけを選択、何にあけたいのかのカテゴリーで薄い木材を選択、どんな穴をあけたいのかのカテゴリーで貫通穴を選択。
つまり、 穴あけ > 薄い木材(~140mm) > 貫通穴 という目的の先に、スターエムという商品への誘導をしています。
これはどういうことかというと、実店舗に行って、「薄い木材に貫通穴を作りたいのですが、それができる商品はどこの売り場にありますか?」と、ありがちな来店質問にウェブショップ内で回答した上で商品陳列棚に誘導をしているということなんです。
こういった型番商材を販売するサイトでも、「新築祝い」「出産祝い」「結婚祝い」などのカテゴリーと同様、買う目的である「切る」「締める」「穴あけ」「削る」「たたく」「打つ」「塗る」などなどたくさんの目的カテゴリーで用途に応じた商品検索を可能にすることで需要喚起することができるんです。
食品販売ショップや調理器具販売ショップではその需要喚起のためにレシピコンテンツを充実させているショップを多くみかけます。
確かに冬にあったか体に優しいクリームシチューレシピというコンテンツがあれば、食材サイトであれば鶏肉やジャガイモへの販売導線や調理器具サイトであれば、ルクル―ゼの鍋への販売導線を作ることができます。
「そういった食べ者に向いた商材を持ているショップはそんな風にできるでしょう」
「ウチみたいな型番商材を売るショップなんかそんなことなんかできるわけない!」
よく自分のショップだけを特別視してしまうオーナーさんとでくわします。
そうじゃないんです。
考える視点を変えるだけでいいんです。
前述のDIYツールドットコムさんは、DIYツールを販売しているにもかかわらず、レシピコンテンツがあります。
「作りたいものがあるけど、作り方がわからない…」
そんな方のために、毎月レシピをご紹介というコンテンツ。
まさにクリームシチューの作り方がわからないユーザーにアピールしているサイトと同様のコンテンツです。
たとえば「壁に物を取り付ける方法」でのコンテンツではその方法を解説し、
- 下地探しツール
- ドリルドライバー
- マスキングテープ
への商品導線を作っています。
「調湿・脱臭・耐火・空気清浄効果がある珪藻土の塗り方」では同様にレシピの解説とともに、
- 珪藻土
- スコップ
- コテ板
への商品導線を作っています。
レシピコンテンツというのは、その商品を使ってどんなことができるか?ということを開設し、需要喚起を起こすコンテンツなのです。
JECCICA特別講師 中谷 昌弘(通称:トントン先生)
ハム・ソーセージのウェブショップ通販:北海道トンデンファームウェブショップの開設者。著書には「笑う豚の生活」がある。現在、茨城県および茨城県水戸商工会議所はじめ全国の商工会議所において地域IT戦略の講演を年間200本以上を行い抜群の講座リピート率と満足度を誇っている。全国のネットショップの個別コンサルタントとして20社を超えるサイトプロデュースに活躍中。