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「伝える」と「伝わる」のあいだに

「きちんとする」「短くまとめる」は危ない。
こんにちは、コピーライターの近藤あゆみです。前回は「伝える・届ける」が難しい時代に大事なこと」について書きましたが、今回から連載をスタートさせていただくことになりました。広告とECのすみっこを歩いてきた風来坊にスペースを与えてくれたJECCICAさんありがとうございます!

前回の重複になりますが、私の仕事は主に企業のMVV、企業サイトのコピー、ネーミング、サイトディレクションなどです。共通しているのは「ひとに何かを伝える」ものを作っているということ。「どうしたら伝わるのか」は誰もが悩み、苦戦しているポイントでもあります。

この連載では、そんな「伝えると伝わる」の間にあるもの、そこにのせる思いやことばについて思うことなどを書くつもりです。「上手い文章テクニック」や「売れる宣伝文句のコツ」ではないのでビジネスのお役には立たないかもしれませんが、ひと息入れたい時に読んで頂けたら幸いです。

上手に話せる、でも書けない
仕事柄、企業のトップの方から直接お話を聞くことが多いのですが、いつも感嘆するのが皆さんのトーク力・プレゼン力。ご自身の考えや企業のサービスや理念などを、端的に分かりやすく伝える力がすごい。己の中で明確にまとまっていて、発表の場数も踏んでいるのが大きいのでしょう。我らトーク素人が繰り出しがちな「あー」や「えーと」などもほぼなく聞きやすく、説得力があります。

でも興味深いことに「ではいまのお話を『代表のことば』としてHPに載せましょう」となった時、ほとんどの方が「話すのは得意だけど文章にするのが苦手で…」とおっしゃるのです。「自分の思いを書いてみました」という方の文章を見ると、さっきのお話の魅力はどこへやら…です。

皆さん「文章力がなくて」と苦笑いするのですが、メモを見ることなくあれだけ上手に自分の考えを組み立てて話せる人に文章力がないわけがないんですよね。

文章の魅力を失う「あるある」
そういう方に共通してるのは、話したことを文章にする時、「うまくまとめよう」としてしまうところ。より端的に短く、経営者らしいきちんとした文章にしなければ…という力みが必ずあります。そうすると、お話ししてくれた時の個性豊かで生き生きしたことばたちはどこかにすっ飛んでしまい、いわゆる「ビジネス文書」的な、味もそっけもないまとめになってしまうのです。

情緒の入る必要のないものは簡潔・端的であるべきですが、「私(たち)にはこういう思いがある」ということを広く伝えたい場合ほど、「きちんとしよう、うまく短くまとめよう」という力みがいちばんの敵になります。
例えばこんな「あるある」には気をつけたいとこです。

●テンプレート的な言い回しを多用する
→血が通ってる感がなくなる。本音が伝わりづらい。

●ありがちなワードを使ってしまう
→他の人や他の企業と区別がつかず、個性が失われる。

●敬語や謙譲語を駆使しすぎる
→読みづらい。文章の目的がズレてしまう。

●短くまとめすぎる
→「なぜ」が分からないので真意が伝わりづらい。

危険なワード例は「私共といたしましては」「ご愛顧賜り」「所存であります」「致します」「ご指導ご鞭撻」「夢や感動を与える」「社会貢献する」「〜の時代に備え」「絆」「輝く」「新たな価値の創造」etc…。

言葉自体が悪いわけじゃないけど、本来なら唯一無二な思いがどんどん「例文集」みたいになっちゃうワードなので、もったいないんですよね。

顔顔を思い浮かべて書く
思いを書く時は「経営者として世間に発表する」という気張りではなく、大切な誰かにプライベートでお手紙を書くような心持ちの方がいいかもしれません。例えそれが全社員や何万人のお客さま、という規模であっても、届けたい相手の具体的な顔や日常をなるべく想像することが大事。「きちんと」よりも「優しく、易しい」を心がけましょう。

ちなみに私は「無理に書かなくて大丈夫です。いま話したいことを、まとまってなくていいのでとにかくありったけ聞かせて下さい。それをまるっと飲み込んで咀嚼して文章にしますんで!」とクライアントに言います。はみ出た言葉、余談、声のトーン、にじむ雰囲気。そこから伝わるものもあるから。なので困ったら近藤までご依頼下さい(笑)!

JECCICA客員講師

コピーライター 近藤あゆみ

Lamp 代表
博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。


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