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「PAY」がなぜにそれだけ叫ばれる?

Origami Payの素晴らしき着眼点と挫折
 最近、ネット通販に絡んで「PAY」という言葉がよく聞かれる。勿論、リアルも含めたこの動きではあるが、ある意味、ネットショップもショッピングモールとの向き合い方を考えるべき時に来ていると思っている。

 その話をする前に、最近のニュースでOrigami Payがメルカリに買収されたという話があるが、これをどう受け止めただろうか。これはスマホ決済に求められる内容がわずかこの数年で変化していることを表している。

 Origamiは元々、ネットのショッピングモールをやっていて、思うにそれは何よりもリアルでの決済のプラットフォームを狙っていたからに他ならない。まずはネット通販で決済のノウハウを積み重ねて、むしろリアルでのスマホ決済で稼ぐためにここへ進出した筈であり、他より遥かに早く動いていた。

 その内訳はおそらくこうである。スマホ決済を使えば、どこで買ったか明確になる。だから、その近所でかつてスマホ決済を使った形跡があれば、プッシュ通知でそれを知らせることができて、そこに新たな商機を生み出すことができる。そのプッシュ通知をしたいリアルな店や企業からお金を取れば、ビジネスを構築でき、今までにない貢献の仕方ができると思ったからではないかと。

経済圏がスマホ決済に乗り出したことで情勢が変わる
 しかし、Origamiは経済圏の波に飲まれた。多くのユーザーを抱え、そのユーザー情報を活用して、自らのリアル、ネットと問わず経済圏の中で回遊させていけば、新たな商機を生むことができる。つまり経済圏のインフラにしようと各社が考え、このスマホ決済に注力し始めた。そこで勝負はあった。全てが資本力による戦いへと変わったからだ。

 PayPayはユーザーが日常でスマホ決済をする環境を整えるべく、加盟店への積極的な営業とCM投下して、しかもそこに還元キャンペーンを持ち込んだ。更に、攻勢は続いていて認知度を背景に、今や吉野家や日高屋などの外食に照準を定め、2月1日から40%還元のキャンペーンを仕掛けている。

 これは軽減税率の関係で、外食が減ったところに目をつけたもので、このキャンペーンを武器に集めましょうと飲食チェーンに呼び掛けたわけだ。今やこういう大規模な仕掛けの成果もあり、総ユーザー数は2300万人と発表している。

なぜ各経済圏はそれだけ「PAY」を急ぐのか?
 ここまで急いで強化する理由にはわけがあり、それはこの還元キャンペーンはいずれも自分たちの会社から持ち出してやっている以上、永久に続くものではないからなのだ。

 そこで重要な要素になってくるのは何か。実は「ポイント」であって、その経済圏でたまった「ポイント」を結果的に、このスマホ決済の土壌で換金して貰えば、そのメリットは享受できる。そしてその各経済圏は拡大することで、その土台を通じてお金が流れやすくなるのでこぞってこのタイミングに自ら自腹を切ってでも経済圏の囲い込みを、このスマホ決済を通じてやっているのである。

 KDDIもまたauが携帯電話のキャリアではなく、ライフスタイル全般をカバーするブランドと話していて、その中心にau PAYを据えた訳だ。au Wowma!すら、au PAYマーケットと名前を変えるほどだ。

 全てがau PAYに直結するための土台を作っておいて、ポイントを付与する環境を作って流通させてお得さを作っていく。だから、先日の記者会見でもそこまで注目されていなかったが、auは「ポンタ」と「au WALLETポイント」を統合する方向で動いているのは注目に値する。

ドコモとメルカリが連携した理由
 それが今という時代を象徴するものであることはニュースが証明してくれている。例えば、ドコモがメルカリとポイント連携するというニュースは、このような背景があると考えれば、うなづける訳だ。
 メルカリはdポイントの顧客層、ドコモはdポイントの使い道の幅を広げるということなのだ。2月24日からは「メルカリでd払いを使うと+10%還元キャンペーン」を実施するなどして、dポイントがメルカリで使える様にすれば、ここで経済圏が形成される。

 このタイミングで携帯電話のキャリアが頑張る理由は、国内でほぼ一人一台、スマホを持っているからである。そこには必ずポイントが発生するわけで、埋蔵されたポイントを世の中の消費の活性化につなげて、関連する企業の収益につなげることができるのだから、やらない手はないというわけだ。

ネット通販はこの事態に何を備えるべきか
 さて、まとめであるが、この様にして、スマホ決済とポイントと経済圏は一つのセットになった。すると、何が起こるかと言えば、決済なりポイントの利用はネット通販で行われることとなるわけで、今までよりは密接な関係を持ってくるだろう。

 もし経済圏の中のネット通販のプラットフォームに出店するお店があるとすれば、それはこれまでのネットの急成長を支えてきた新規顧客の獲得を追い求めることなく、継続顧客を生み出す流れにすることに切り替えていく姿勢こそが急務となるわけである。果たしてその備えはできているだろうか。

今日はこの辺で。

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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