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今年はSMB向けのECサービスがアツい

最近のEC業界で私が最も注目しているのは、ずばり中小企業をターゲットとしてSMB(Small to Medium Businessの省略表記で、中小企業を指す)向けECサービスの登場と進化です。
最もホットなニュースと言えば、「メルカリShops(メルカリショップス)」ではないでしょうか。メルカリShopsはメルカリのグループ会社であるソウゾウが7月28日にプレオープンしたECプラットフォームです。本格提供は9月に予定しているそうですが、それに先駆けてクリエイターや生産者・小規模事業者などを対象とした先行出店の受付を開始しました。幸運なことに私の知り合いのショップ「山西牧場」が早々にメルカリShopsの先行出店に選ばれたということで、早速購入してみました。使い心地などの感想は後述したいと思います。

次に注目するSMB向けECプラットフォームは「Shopify」です。このサービスを知らない人はEC業界の人ではない、と言えるくらいの知名度を短期間で日本でも得ました。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのあるサービスです。こちらのShopifyは6月29日に 「Shopify Unite 2021」というイベントを昨年に引き続きオンラインで開催しました。米国時間での開催のため日本は深夜でしたが、Twitterで実況をしたり、翌日にはnoteでまとめ記事が公開されるなど、国内においても熱狂や期待を感じることができました。
今回のコラムでは主にこの2サービスを軸に、SMB向けのECサービスについて考えたいと思います。

「かんたんで、売れる」メルカリShops

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メルカリShopsは「かんたんで、売れる」をコンセプトに掲げています。販売者側の画面を使用したことがないのですが、友人によるとメルカリに出品するのと同様の操作でとても簡単で円滑だったそうです。メルカリShopsのポイントは、PC不要でスマートフォンだけでネットショップを開設できるという販売者側のハードルを下げる一方で、購入者側の買いやすさもメルカリそのままに実現しています。メルカリといえば、「値下げ交渉」や「コメントのやり取り」などのコミュニケーションというか一種のメルカリ経済圏でのお作法を学ぶ必要があり、そのために利用を躊躇しているユーザーも多いかと思います。しかし、メルカリShopsではそのような煩雑なコミュニケーションは一切不要で、メルカリの良い部分だけをうまく抽出したサービスとも言えるのではないでしょうか。もちろん値引き交渉などを醍醐味に感じる方もいらっしゃるとは思いますので、あくまで私個人の感想です。

メルカリはUI/UXへのこだわりがすごいことで有名で、著名なUXリサーチャーの方なども在籍する会社です。そのような企業が運営するメルカリのノウハウを余すことなく活用しているのが、メルカリShopsだと感じました。
私の購入経路は、山西牧場のTwitter投稿からそのままメルカリShopsに遷移し、ポチッとボタンを押すだけで購入完了でした。というのも私は普段メルカリを利用しているので、住所が登録されており、さらにメルカリの売上金が残っていたので、ほとんど操作する手間がなかったのです。この体験はとても驚きでした。

1,900万人を超える利用者にすぐアプローチ
メルカリShopsの強みはUI/UXの優秀さだけでなく、1,900万人を超える既存ユーザーを有していること。さらに今後はアプリ外、つまりインターネット上にもストアを開設できるようになるそうです。「かんたんで、売れる」がアプリの内側だけでなく、外側でも実現できるのは、個人のクリエーターだけでなく、今後事業を発展させていきたいと考えている事業者にとってもメリットでしょう。

Shopifyは“Coding commerce. Together.”
冒頭で紹介したShopifyのイベントのテーマは“Coding commerce. Together.”。前半で紹介したメルカリShopsとは正反対のテーマにも聞こえそうなテーマですよね。「コーディング」という言葉を聞くと、苦手意識を抱く人もいるかと思いますが、Shopifyが伝えたいことは実にシンプルで、「加盟店企業がいかにクリエイティブな買い物体験を創出できるECサイトを、簡単に作ることができるか」ということです。機能性や表現性のレベルには差はあるものの、ShopifyもメルカリShops同様、「簡単に」をテーマにしており、その対比が興味深いなと思いました。

Shopifyの使命はクリエイターを応援すること
Shopify Uniteのプレゼンテーション中によく耳にしたのが「Shopifyの使命はクリエイターを応援すること」という言葉です。Shopifyは、小売こそクリエイティブであるべき(“make commerce creative”)と考えており、それをいかに実現できるかどうかに重きを置いて、プロダクトを作っています。ネットさえつながっていれば物が買える時代に、クリエイティブを重視するからこそ、名だたるD2Cブランドたちが利用するのだなと実感しました。ShopifyはメルカリShopsとは異なる「クリエイティブを簡単に実現できるもの」を追求しているのだと私は考えます。

「オンラインストア 2.0」UI/UXに優れたショップを構築
仮に自分が小売事業を立ち上げることになった場合を想像してみてください。ECサイトやビジネスを立ち上げる工程は、おおよそ同じものではないでしょうか。ハウツー本も世の中には多く出回っています。しかし、既存の機能や設定だけで顧客を引きつけるクリエイティブなサービスを展開できるのでしょうか。答えは、おそらくNOです。Shopifyは基本機能だけでは限界があることを実感し、拡張性が高いものを簡単に提供したいと述べていました。

ShopifyでのECサイト構築経験者は分かると思いますが、今まではLiquidをいじるのも、アプリを導入するにも、ある程度の知識が必要でした。いわゆる玄人にとっては簡単にサイトが構築できるけれど、きめ細やかな機能やUIを提供するには新しく知識を学ぶ必要がありました。「Shopify=簡単にECサイトが構築できる」というイメージが先行し、現実とのギャップに苦戦した人も多かったのではないでしょうか。そんなイメージを払拭、改善するようなリリースが「オンラインストア 2.0」と称される大規模改善です。

以下はShopifyで構築されたUI/UXに優れたショップとして紹介された5店舗です。商材も幅広く、また表現の自由度の高さも参考になると思うので、ぜひのぞいてみてください。きっとShopifyのクリエイティブの幅の広さに驚くことでしょう。

Shopifyで構築されたUI/UXに優れたショップ
●OffLimits − シリアルショップ
●Yolélé − フォニオを用いた食品を販売
●ZSA Moonlander − 次世代の人口工学に基づいたキーボード
●オールバーズ − サスティナブルで快適なシューズ
●ComplexLand 2021 − ComplexConのバーチャルイベント

SMB向けECサービスと一口に言っても多種多様
今回はSMB向けECサービスとしてメルカリShopsとShopifyをご紹介しました。たまたま6月、7月に話題になったサービスを取り上げただけなのですが、特色に大きな違いがあり、とても興味深いなと想いました。また、その他競合にはSTORESやBASEなど既存サービスも多く存在しています。このコロナ禍でECという販路の重要性に気づいた事業者も多く、ECの出店数は伸びています。当然のことですが、これらECサービスにもサービス提供者側の理念や想いが込められ、開発されています。そのため、ECサービスを選定する際には、自分自身の事業規模・将来像だけでなく、各サービスの世界感を理解し、整理し、ECを始められることをおすすめします。世の中は大変な状況下ではありますが、ECがSMBの事業者の方々のビジネスに貢献できることを願っております。

muraishi

JECCICA客員講師 村石怜菜

株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。

日本女子大学被服学科卒。大手専門店企業で接客販売・店舗運営を経験した後、Eコマース支援企業で数々のファッションブランドのECサイトの構築や運用に携わる。現在は、ファッション専門店や商業施設へのECコンサルティングを得意としている。また、クライアント企業のオムニチャネル戦略の計画・実行を支えている。


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