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トレンドを読む~パパの育児休暇取得(2000W程度)

SDGsやエシカル消費など、社会の構造や思考の大きな変化を読むのと同時に、身近な社会トレンドを読んでいくこともビジネスにとっては欠かせない視点です。

例えば、今年大流行の「マリトッツォ」は、昨年から火が付き始め大ブームとなりました。食業界は毎年ブームが起こりやすく、みなさんもタピオカなどをすぐに思い浮かべるのではないでしょうか?点だった消費が面になり、ビッグトレンドになっていくのですが、その理由は「誰もがすぐにマネしやすい」ことにあります。毎年毎年追いかけっこの消耗戦であり、企業体力または機動力にすぐれた店舗に軍配があがりますが、トレンドを追いかけすぎると会社としてのコンセプトが崩れてしまうケースもあります。

こういった一過性のブームがある一方で、ビジネスとしてはもう少し大きな社会トレンドを読んでいくことがとても重要です。会社としての戦略も立てやすく、事業としての確度も上がっていく…では、今注目すべきは何でしょう?

イクメンプロジェクトと男性社員の育休・産休制度
厚生労働省が令和元年7月に発表した「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について(「https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/meeting/consortium/04/pdf/houkoku-2.pdf)」によると、女性の育休取得率はこの10年、80%以上であるのに対し、男性の育児休暇の取得率は2018年6.16%、2019年7.48%とこの差は依然大きく開いています。男性育児休暇取得率の向上に向け、国の目標は2020年13%、2025年30%と設定。2020年はコロナ過もあり12.65%と目標数字に近づくほど大きく伸びましたが、その実態は取得期間5日未満が28%となっています。

実際に子育てをしてみるとわかりますが、母親1人でのワンオペレーション育児は体力的にも精神的負担、ストレスも多いのが現状です。なかなか制度が整い切らず、女性に負担がかかっている今、これらをもっと見直し、真のジェンダーフリーに向かっていこうという動きが具体化しています。

2022年4月春から施行される改正育児・介護休業法により男性の育休制度が大きく変わっていこうとしています。出産を届け出た労働者に対し、会社は育休の取得を個別にはたらきかけるよう義務付けを行います。また、22年10月からは、父親も生後8週までに最大4週の「産休」をとれる制度が新設され、23年4月からは育休所得率の公表が義務付けられます。これらをビジネスチャンスととらえた様々な動きが出始めています。

会社としての取り組み~CSRを超えてビジネスへ
例えば「食を通じて子供の成長を応援する」がキャッチフレーズのグリコグループでは、2017年4%だった男性社員の育休でししたが、2020年に100%を達成。期間も1か月を必須としました。第13回ペアレンティングアワードを受賞し、社内外の評価が高まる一方、「社会のための子育て支援」をコンセプトとした子育てアプリ「こぺ(https://www.glico.com/jp/csr/coparenting/copeapp/)」の開発・運用、ファンサイト「with glico」など、内外に自社の取り組み姿勢を伝えています。同時に、父親の育児を支援する商品として常温保存が6か月可能な「乳児用液体ミルク」の開発・販売をスタート。こちらの販売も好評だといいます。
このように「男性の育休」を自社の事業の柱に据え、社会ニーズと連携して新たなマーケットを開拓していくことで商品(サービス)価値の構築を図った好例と言えます。

ロジカルとスペック
では、EC業界に目を向けるとどうでしょうか?
「男性の子育て」という点にフォーカスすれば、私は「ロジカルさ」と「スペック」が重要・有効であると考えます。

例えば博報堂BaBUプロジェクトにおける母親向けの調査では「投資型ロジカル育児」という子育てスタイルが紹介されています。特徴は母親の年齢が34.1歳とやや高め、家族のみならず、幅広くネットワークを構築して情報を収集。習い事への意欲が高く、子供の将来に対する投資を惜しまず、ファッションなどの外見より中身を重視する傾向が高いといいます。
(2018年博報堂BaBUプロジェクト調査サマリーhttps://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2011/09/20080820.pdf
これは母親を対象とした調査ですが、父親になればさらにこの「ロジカル型育児」への関心が高まると予想されます。

弊社では日本味育協会という「味覚教育」を柱とした教育コンテンツを提供しています。3年前から通信教育大手のユーキャンの中に「離乳食・幼児食コーディネイター講座」を開講していますが、年々人気が高まり受講生・卒業生も増えています。味覚の基本は3歳までで決まるといわれ、子供向けの食育講座を多くやってきたこともから、「子供の脳の発達と食・栄養素」に関する講座+サービス開発や、eラーニング+食材の販売、幼児食や塾弁の開発などの仕事依頼が増えており、「子育て・育児に関する学び+商品開発」の波はここ数年続いていきそうです。

また男性が育児に参加してくることで余裕が生まれ、知識欲の高い層への多様なアプローチが求められてくると考えられます。

例えば、行事食は子供の情緒を育てる大きな役割を果たします。季節の食材がもつ意味と役割は子供の体と心にアプローチをしてくれるでしょう。月齢と必要な栄養素は子供の発達・成長にとって大切な要素です。もちろん食だけではなく、核家族化が進む中、様々なサービスやアドバイスなどのコンテンツも重要になってくることでしょう。従来ワンオペレーションで行われていた育児が2人体制で行われることになれば、情報消費量は2倍になり、サブスク型、アプリ型など様々なニーズ開発が可能なこの業界。男性育児休暇制度の変化は2022年4月から、本格化するのは2年後です。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 北村 貴(きたむら たか)

株式会社グロッシー 代表取締役


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