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「クッキーレス時代」の問題を放置しないために

ほとんどのデータは即日、あるいは7日までしか計測できていない現実
前号では、iPhoneユーザの多い日本では大きな影響を受けている「クッキーレス時代」における、テクノロジーに頼らない対処方法をご紹介しました。
しかしアクセス解析や広告計測の現場で、もし原因不明の以下の様な現象が起こっていたとしたらすぐに対処が必要です。

・広告経由のコンバージョン数が減少した
・アシストコンバージョンが取れなくなった
・購入までの訪問日数がほとんど1日になった
・direct/noneやダイレクトなどの経路不明ユーザが増えた
・リピートユーザが減り、新規やユニークユーザーが増えた

など、標準的なサイトであれば70%前後を占めるiOSのセッションは、即日、あるいは7日までしか計測できていないためにこうした現象が発生しているのが現状です。

気づいていない、放置している、が多くのECの実態
こうした現象を薄々感じていても、なんとなく「クッキーレス時代だから」の一言で問題を放置すると、ECでは経営状態の悪化を引き起こしかねない状態になっています。特に、Googleアナリティクスやアドエビス、FacebookやGoogle広告のレポートなどで、前年対比のデータが異常に変化していたら要注意です。クッキー問題を正しく理解していないと現場はパニックになったり、誤った判断で売上を落とす原因につながりかねません。
それどころかこうした現象がクッキー問題によって引き起こされていること自体を把握できていない現場やセミナーの存在も見聞きするようになりました。クッキー問題の理解については本連載を見直していただくとして、EC売上改善のキモでもある「計測データ」を少しでも正しく取得できるよう努力している現場で行われているポイントをご紹介します。

初歩的な対処法
おさらいになりますが、本連載でご紹介しているごく基本的な対応としては
・Facebook広告
 ドメイン認証設定(合算イベント測定)
 https://developers.facebook.com/docs/sharing/domain-verification
・Google広告
 サイトワイドタグ設定(自動タグ、コンバージョンリンカー、GA連携 等)
 https://support.google.com/google-ads/answer/9148089?hl=ja
 オーディエンス拡張
 https://support.google.com/google-ads/answer/10417364
・Yahoo広告
 コンバージョン測定の補完機能(自動タグ、サイトジェネラルタグ 等)
 https://s.yimg.jp/images/promotionalads_edit/pdf/202008_yahooad_tags.pdf

は必須対応となりますので、まだ着手されていないケースは少ないと思いますが念のため広告担当者やサーバ担当者に確認が必要です。
ファーストパーティデータの活用
リマーケティングの成果が悪化している場合は、以下の対処方法が有効です。
・中間コンバージョンの設定
 LINEクーポンやアンケート、ホワイトペーパーダウンロードなど、購入コンバージョンの一歩手前となる中間コンバージョンを設定して、クッキーに頼らない自社リストを増やし、それらを以下の手法でリマーケティングや機械学習によるコンバージョンしやすいユーザの特定に役立てます。詳細は本連載のバックナンバーを参照下さい。
・カスタムオーディエンス
 https://www.facebook.com/business/help/112061095610075
・カスタマー マッチ
 https://support.google.com/google-ads/answer/6379332?hl=ja

ITPを回避するクッキー手法
例外的にITPを回避するクッキー手法があります。それは「サーバサイド・ファーストパーティクッキー」で、外部サービスのクッキーを発行してしまう方法です。100%は期待できませんが、広告管理画面上のコンバージョン測定をより精度を高くして、正解に近いコンバージョン数を計測したり、それにより機会学習系の最適化テクノロジーの精度をアップさせることができます。ITPによるクッキー制限を受けないため、冒頭で列挙した問題が改善が期待できる手法が以下となります。

Facebook:コンバージョンAPIゲートウェイ
https://www.facebook.com/business/help/387152639648383
Google広告:拡張コンバージョン
https://support.google.com/google-ads/answer/9888145?hl=ja
Googleアナリティクス:サーバサイドタグ
https://developers.google.com/tag-platform/tag-manager/server-side?hl=ja

※その他の解析ツールやサービスなどへの対処方法もありますが、ここでは割愛します。

一方で注意点もあります。これらの手法の導入には初期開発が必要だったり、毎月1〜3万円程度の追加料金が発生する外部クラウドサーバの契約が必要だったり、そもそも使用しているECカートが非対応などで実装が不可能な場合もあり、一定のスキルと実装経験が必要となります。
またこうした手法もあくまで「今のところ」はITPのクッキー制限を受けない、という限定的な手法になります。つまり、プライバシーを保護する、という観点からは根本的な解決に至っていないため、今後制限を受ける可能性もあります。たとえば、サブドメインを利用したサーバサイド・ファーストパーティクッキーの発行手法でも、CNAMEによる方法はアップルが追加で制限を加えました。このため、上記でご紹介した手法も同様の制限を受ける可能性があるわけです。しかしながら、いくつかのハードルはあるものの、売上をブーストしたい積極的なECプロモーションを実施されているサイトであれば、現時点では残された唯一の計測方法となるため、大小の規模を問わず積極的に取り入れたいところです。

※弊社ではこうした導入サポートも行っています。もし上手く実装できない、という場合はお気軽にご相談ください。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 宮松 利博

得意分野/Eコマースの立ち上げ・販売拡大
1998年に公開したフリーウェアがヒット。その知見で開発した商品が大手ECコンテストで12部門受賞、3年で年商20億円に(現ライザップ)。上場と同時に保有株を売却し、ECコンサルティング会社を立ちあげ、業界No.1クライアントを多数抱える。日本イーコマース学会専務理事。


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