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Shopifyの動きにAmazonとは違う小売業の発展を見た

AmazonとShopifyは何が違うのか
 最近、何かとShopifyが話題になっており、どうしてもAmazonとの対比で紹介されることが多い。Shopify自体は小売ではなく、小売をするための仕組みを提供している会社である。なぜに対比されやすいかというと、Amazonが入り込めない領域で成長しているからなのである。

 Amazonというのは、徹底した顧客第一主義であり、それはそもそもAmazonが巨大な店で、多くの出品を促すことが前提となっていて、そこで、顧客が最も買いやすい環境を整えている。いわゆる「フライホイール理論」と言って、まず最初に「品揃え」を徹底させると、顧客体験が良くなり、顧客満足度が向上するから、トラフィックが増える。すると今度は出品者が増えてくるので、品揃えが徹底して、と同じサイクルをこなす度、成長していくというものなのだ。
 
 ちなみに、同じ商品の中では価格と物流環境を徹底した企業が顧客第一のもと、優先的に商品が表示されるので、そこでの競争に拍車がかかれば、一層、顧客満足度が向上していくという、見事なメカニズムである。

 ところが、最近、Shopifyがやっているのは、パートナー(出店ストア)第一主義であり、自らは裏方に徹して、自社ドメインのオンラインストアが、徹底してブランディングできるところに価値があるわけだ。

 具体的には、数多くのプラグインが用意されている。それらは簡単に個々で自由にそれを取り入れることができ、自らのブランドの姿勢に合わせて、カスタマイズできるので、出来上がった際には、オリジナリティを発揮しているというものなのである。

Shopifyは個を重視する時代にマッチしている
 これは最近の時代のニーズにもあってきている。というのも、思えば、インターネットは、検索やSNSなどにより、マスの考え方では通用しない様な小さな「個」の単位も拾い上げてきたからだ。

 検索は大手メディアを通さずとも、情報を得ることを可能にしたし、発信者はその情報を発信することで、大手メディアにない価値を持つことができるようになったし、SNSは自らの感性を発揮することで、同じ価値観を持つ人との接点を生み出し、コミュニティを生み出すことに成功した。

 だから、誰もが知っているお店でなくとも、当たり前に小売をする時代になってきていてもおかしくないわけで、Shopifyは、まさにそれを後押しする流れにあるから、今の時代に相応しいあり方を提示している、ということになる。

 今言った通り、Shopfyはそんな意味で、Amazonが自らのお店で効率よく売上が上がるメカニズムとは、全く違うベクトルで、この領域にはどうやっても入り込むことができないというわけなのだ。

今後、オリジナリティを追求していくとどんな未来が?
 さて、そんなShopifyであるが、最近、新機能の発表を行った。注目したのは、金融の側面である。銀行で口座を作れず、個人名義でお金の出し入れをやっている事業者に対して、自らが銀行の代わりになる。

 口座も専用のカードも作って、その事業が正確にどれだけ利益を生んでいるのか把握しやすい様にして、少しでもブランディングできている、個人ないし企業に対して、ショッピングでビジネスをしようと促しているのだ。

 しかも、システム面での進化に関しても、Facebook Shopの展開なども発表。SNSで力を得てきたその力をそのまま、より小売に生かすプラグインも今後用意していくことで、オリジナリティを追求する動きに拍車がかかる。

 これに関連して、つい先日、ウォルマートが面白い発表を行った。ウォルマートはAmazonを意識してか、最近、オンラインストアや物流などeコマースへの投資を強めている。結果、先日の決算によればeコマース成長が74%増で、成果につながっている。そこで、ウォルマートが仕掛けてきたのは、このShopifyとの連携である。

 ウォルマートはオンラインサイトとしてブランディングに成功したところで、Shopifyと連携して、ウォルマートのオンラインサイトに中小企業の商材を出品できる様にしたのである。まさにAmazonのビジネスモデル。つまり、ウォルマートはオンラインストアのブランディングに成功した結果、自らAmazon化することで、Amazonに対抗しようとしたわけである。

 また、今、店を運営している事業者においては、今までであれば、モールなどに顧客第一主義を任せて、自分が商品を用意して、陳列さえしていれば良かったところから、自社オンラインストアなどで、顧客第一主義のもと、顧客とどう接点を持って、自らのコミュニティを形成していけるかが大事な時代なのである。

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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