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コロナ禍を救うは、ネット通販の顧客主義か

ロケーションありきの商売
遡ると、過去の商売はロケーションが大事だったように思う。ファッションジャンルで調べてみると、1970年代でいえばメーカーが先進的なデザイナーを抱えて、マスメディアが取り上げ、人の動きを促し百貨店で買えるようにして、購買行動を生んでいたわけだから、人が集まる百貨店はその時が全盛期であったわけだ。
 しかし、今や百貨店のそれはみる影もない。時代が変わって、小売がお客様のニーズに合わせて、商品を作るようになって、いわゆる製造小売業が浸透してくると、百貨店の存在価値が薄れてきたわけだ。自らの顧客がどこにいて、小売の現場で察知し、お客様のトレンドを早く反映して、ものづくりに活かすやり方は、ZARAやユニクロという世界企業を生んだのだ。

場所問わず顧客の感性と小売が直結
 そして、今度はネット通販を巻き込んで、極端な話、ロケーションにすらとらわれない。自分達はお客様から何を求められ、そして何を提供すればいいのかを、データ分析に基づいて、的確に応えて、ダイレクトにそれを届けてしまう仕組みこそが、今の時代の主流になりつつある。テクノロジーの進化故のことである。
 そのような時代の中、今の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請の世の中を、突如迎えることとなった。間違いなく言えるのは、経済においても影響は甚大で、今のテクノロジーを使いこなして生産性高く、生き残れない企業を、合理的に“整理”していく風でもある。
 その証拠に、打撃を受けているのは百貨店であり、例えば、百貨店の中では外出自粛で店を休業するのはわかるとして、ネット通販も休業している事態は時代が変化しているのに、その変化に自分達を合わせて来なかったことの象徴ではないか。

これからは顧客とどう向き合うかが迫られている
 では何をすればいいのだろうか。やはりヒントは顧客主義なのではないかと思う。どの企業にもお客様がいるからこそ、自分達の価値を理解してもらい、また自分達自身も、そのお客様のおかげで、立ち位置を知って、何をすればいいかを気づかせてもらえている。
 ただこれまでで言えば、その接点は「実際に会う」ということでしか生み出せなかったのが、今はテクノロジーの進化のおかげで、会わずともその役目を果たすことができるのである。ネット通販はその際たるものだ。
 ただ、ネットの中でも、お客様の置かれているシーンに合わせて、様々なチャネルを用意することが大事になってきていることを、それを象徴する出来事があって気づかされた。

ショッピングモールすらも自社通販サイトを応援
 それは、ヤフーの関連する企業で、B-SLASHが、自社のオンライン通販サイトを簡単に作れるサービスを提供する、というもので、説明によればYahoo!ショッピングに出店していれば、その登録情報をそのまま、利用して作れるというのだ。ショッピングモールが、自社のオンラインサイトを応援する不思議な格好となっているのだ。
 でも、これこそが顧客主義である。ショッピングモールや自社のオンラインサイトでは購入するシチュエーションが違うことを意味しており、そのそれぞれで違った顧客の顔を知ることが大事になってきていることを思う。おそらくヤフーはショッピングモール、自社のオンラインサイト、リアルなお店をひっくるめて顧客の行動を追いかけていくつもりなのではないか。
 現に、違う例ではあるけれど、実店舗をやっていて自社のオンラインショップもやっている店が、顧客IDを一つで管理したことで相乗効果が生まれ、どちらか一方を利用していた時よりも売上が上がったという例が多く聞かれる。いわゆるオムニチャネルと言われるものだけど、単純な在庫連動の話ではなく、大事なのは一人の顧客を忠実に追いかけ続けているという事実なのである。

顧客とは寸断されてはいない。自分の意識の問題
 何が言いたいかというと、中盤で話した、現在はコロナ禍において、お客様との関係が寸断されたところもあるけど、この状況はテクノロジーを持ってすれば、それすらも乗り越えられるのだという、天からの声のようにも思える。
 例えば、その被害は大きく、補償の声も聞かれるのも事実で、一時的には、その企業にとって補償が意味をなすかも知れないけれど、その補償を受ける間に、根本的に変貌を遂げなければいけない時を迎えているのだと思う。今回のコロナ禍は、もはや企業の大きいか小さいかではなく、都会か地方かでもなくて、それらに関係なく、今の時代に即した、生産性の高い健全な経営へと強制的に促している、そんな風にも見えなくはないのだ。
 今ネット通販をやっているところすらも、そのお客様との向き合い方が本当に社内の体制、構造も含めて適切なのかを検証し、変化をするべき時に来ているように思える。今は成長できるチャンスなのだ。

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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