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Eコマースにおいてのデザインのあり方

Eコマースサイトにおいて、デザインは一体どこまでこだわるべきでしょうか?
デザインが良くないと売れない?
それともデザインは関係ない?

サイトスピードを優先すべきで、デザインはその次、という意見もあるでしょう。大前提として、答えは一つではありません。全てが正しい可能性もあり、間違っている可能性もあります。ただそう言ってしまうとこのコラムはここで終わってしまうので、ここではECのデザインを行う上で考えるべき「顧客理解」についてお話ししていきたいと思います。

あなたのお店のお客様はどんな人ですか?
私がECのコンサルティングを行う上で、必ず最初に聞く質問です。リアルのお店がある場合は、お店に訪問してお客様の様子を観察します。どんな方がどんな思いで訪れているのか。オンラインはデータは見れますが、訪れたお客様の表情や姿は見ることができません。リアルだとどんな表情でお買い物をされているかを垣間見ることができ、顧客理解が深まります。

そんな中で感じることは、オンラインのみの場合はお客様の理解が十分でない可能性があるということです。

デザインの良し悪しには、デザインそのものが持つ絶対的な美しさ(論理的にある程度説明できる人間という存在が普遍的に美しいと感じられるルール、表現)と、それぞれが持つ文化的背景や環境背景、趣味嗜好による傾向、時代のトレンド、慣れによって得られる心地よさといった「可変的」な要素が存在します。絶対的な美しさはデザインを学ぶことによってある程度までは習得可能です。しっかりとした情報整理や人間が心地よいと思う色彩やバランスは長い歴史の中で体系化されているからです。しかし可変的要素や、ある一線をこえるレベルの絶対的な美しさの表現は、デザインを見る対象となる人物の理解と表現すべき内容を解像度高く実現するために習慣的にデザインを行う修練、そして定常的なインプットが必要不可欠となります。特に後者2つはデザインのプロフェッショナルが持つ専門的な領域になるため、デザインを生業としていない限り、なかなか習得は難しいと言えます。

しかし前者の「デザインを見る対象となる人物の理解」は、コマースにおける顧客理解と結びつくものがあるため、デザインが本業ではない方も習得が可能です。

そして、この顧客理解が適正なデザインの提供を実現可能にしてくれます。

なぜ顧客理解がデザインにとって重要なのでしょうか?

これは大きく二つの理由があります。
一つは、現代におけるデザインの良し悪しは「可変的」要素が強く反映され、顧客それぞれの価値観の多様化により、良いと感じられるデザイン自体も多様化した点です。これはすなわち、人によって良いと感じられるデザインが大きく差があるとということです。つまり顧客を理解しないと、顧客が望むデザインを提供できない、ということにつながってきます。

レストランに例えてみましょう。
Aさんは、ファーストフードが大好きで毎日ファーストフードを食べても飽きません。期間限定で発売されるメニューは必ず並んででも食べに行きます。一方でBさんは高級フレンチが大の好物。そんなに頻繁には行けないけど、月1回は必ずミシュランの星を取ったフレンチでディナーを楽しむのが最高の喜びです。

この二人に、逆の提案をしたらどうなるでしょうか?おそらく興味を全く持たずスルーされてしまいます。もしかするとお互いにネガティブな感覚を持っているかもしれません。しかし、実際のECではこのような逆の提案をおこなっているサイトを数多くみます。

実際のECの例で言えば、楽天さんの長いLPを、わかりやすい、みやすいと思う人に、シンプルかつ整理されたミニマルデザインのLPを提示しても、興味は湧きません。その逆も然りです。

EC運用側が良いと思うデザインを押し付けてもお客様の心は動きません。お客様を理解することによって、この「勘違い」を最小限にすることが可能です。

二つは、ECのコンテンツやデザインは「消費」される、ということです。
ECは一度作って終わりではありません。継続的なデザインアップデートやコンテンツの追加が必要不可欠です。そのため、顧客との対話を経て、常に改善を加えていく必要があります。そのため、顧客を理解し、顧客の継続的な要望に応えていく設計が重要になるのです。

以上の前提により、ECのデザインを行うには、まずは顧客理解が大前提であると言えます。

結果的に、顧客があまり「デザイン」を重要視しないということであれば、そこに過剰な投資はせず、むしろサイトスピードや使いやすさに投資すべきです。一方で「デザイン」を重要視する顧客なのであれば、細部まで徹底的にチューニングしておかないと、顧客からの「信頼」を毀損してしまう可能性もあります。

Eコマースサイトにおいて、デザインはとても大切ではありますが、顧客を理解しない、一方的なこだわり、押し付けは長期的な視点で必ずマイナス要因となり得ますので、デザインを進める上で必ず顧客理解の機会を設けるようにしましょう。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 河野 貴伸

株式会社フラクタ 代表取締役
EC-CUBEエバンジェリスト
Eコマースに関わる人材育成とブランディングに重点を置き、業界の発展とEC-CUBEの普及、デジタルイノベーションの推進支援をメインに全国でセミナー及び執筆活動中。


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