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リユースに見る消費者とメーカーの変化

再販が脚光を浴びている
今、リユースのマーケットが多様性を持っていて、それによって企業の事業のあり方に変化が必要なことを実感しました。それは、ヴェスティエール・コレクティブ 日本カントリーマネージャー佐藤丈彦さんが「再販」の話をしていたのがきっかけでした。

再販。メーカー自体がお客様から商品を回収して、それを再度、別のお客様に販売するというわけです。多くの企業が生産して、プロモーションをかけて、お店に並べるというところまでで、その思考をストップしていたのが、そうではなくなっているという事実です

ちなみにこのヴェスティエール・コレクティブは、主にヨーロッパをメインにリユースのプラットフォームを持っている会社です。彼らは様々な調査データをあげてこう言います。

「ブランドの再販プログラム数の推移を見ると、2022年の段階で、前年比3倍ほど、増加しています」と。それもH&M、トミーヒルフィガーなど僕らにとってお馴染みのブランドばかり。でも、その要因はなぜでしょう。

思うに、これも、ネットがもたらした変革の予兆。キーワードは「世界は一つ」と「多様性」ということではないでしょうか。

越境ECは身近なものになりつつある
そもそも越境ECに関しては日本においても円安の影響で、急激に伸びています。ただ、それはプラットフォームの敷居がそこまで高くなくなったということがあるでしょう。

BEENOSの直井社長は、世界は一つと強調しています。東京の人が、地方の人に商品を販売する感覚とそれほど違いはないと。彼らの場合で言えば、言語、物流という部分を主にケアすることで、それほど手間をかけずに、海外の人とのやりとりを可能にしています。

つまり、全く新しい市場を求めて、越境ECをするのではなく、最初から、世界が一つなんだという認識です。そうすると、そもそものパイが大きくなるから、やれることの幅が大きくなります。例えば、中古品を集めるといっても世界に目を向ければ、かなりの数量を集めることだって、可能になるわけです。

消費者のものに対しての考え方
それに加えて、昨今、SDGsに見られるように、消費者の意識も変わりました。やはりこれまでは、右肩上がりの急成長を牽引してきたのは、画一的な情報発信でした。多くの人を集め、その分、商品は大量生産をして、コストを抑えることで、ビジネスが成り立っていたわけです。ただ、それが多くの廃棄を産み、地球や人にとって優しくないと気づき始めたというわけです。

しかも、ネットにより多くの「多様性」を持った価値観に触れることが可能となりました。

だから、敢えて大量生産することなく、必要数、その人たちに売ればいい環境が生まれたわけです。すでにそれは推進されていたけど、さらに、販売したものについても責任を考える、というフェーズを迎えて、メーカーはまた違う局面を迎えたわけです。

ネットが浸透することで、昨今のフリマなどのリユースの重要性が高まって、自然とそれを認める風潮も生まれました。ただ、フリマなどはどちらかというと、売主がそれを売ることによって得をするという構造です。

しかし、再販は、世の中を良くしていこうという気持ちと、ブランドへの信頼がなせる技です。全く違うベクトルでマネタイズが成り立っているのが注目です。ここが、リユースも多様性を持つようになったと思う所以です。

ライフタイムバリューを考えて構造を変える
さて、少し話がそれますが、先日、wasabiの大久保社長に勧められたイベントで、「0円服の交換会」という催しがありました。服を一着持っていけば、その一着で別の一着と0円で交換する、というものです。

まだ、これに関しては、文化の裾野を広げる段階で、マネタイズにはなっていません。ただ、将来的には、この交換の回転率の高さを踏まえて、サブスクリプションを考えていますという話を、仕掛けたワンピースという会社の久本社長が言っていました。

これも多様性ですよね。お客様が環境を考え、サブスクして、自らもその服のサイクルを早めて、自分のカラーを出していく。つまり、それだけ消費者の意識が変わっています。そうであれば、そこに企業はどう答えられるか。そういう流れで、先ほどのメーカーの「再販」という話が出てくるのかなと思います。

それは企業にとっても利点があります。一度買ったものを消費者から集めて、そして、また同じブランドで違う中古品を提供していく。ブランドのその姿勢と世界観を消費者が理解していなければ、それはなしえないし、それだけ絆は強固なものになります。

つまり、再販はライフタイムバリューに直結すると考えて、ビジネスのあり方を再定義しているということになります。適量、作るだけではなく、作ったものを回収しながら、どうやってマネタイズするか。

必要なお客様に付加価値のあるサービスを提供できるか、ということと並行して、多くの企業が継続的な関係を、型にとらわれず考える時代。そういう時代へと移り変わってきていることを、そろそろ多くの企業が気づかないといけないのだと思います。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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