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Eコマースとブラックフライデー

11月も後半となり、小売業界にとって1年でもっとも繁忙な時期が始まっています。ただし、近年のホリデーシーズンの様相は、この10数年で見たきたものとは明らかに異なっています。新型コロナウィルスによるパンデミックの影響も大きいですが、一番の理由は言うまでもなくEコマースの浸透です。

11月のイベントといえば、第4木曜日の感謝祭、翌日のブラックフライデー、翌週月曜日のサイバーマンデーとあります。以前のおおまかな傾向として、感謝祭は基本的に休暇日、ブラックフライデーは店舗で早朝からのセールにより店舗での売上が一番高くなる日、サイバーマンデーはオンラインでの売上が一番高くなる日となっており、さらにセールの加熱化とともに感謝祭の夕方や夜から店舗を開いたりしていましたが、消費者の購入チャネルがオンラインへシフトしていることにより、このような傾向に変化が見られます。

次のグラフは、デロイトが2022年10月にアメリカ成人1,200名を対象に行った調査から、感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間で、買い物をする曜日および実店舗/オンラインでの購入チャネルに関する質問に対する回答データを表しています。(グラフでは土曜、日曜を省略しています。)

特に2021年はパンデミックの影響もありますが、この5年間でブラックフライデーにおける実店舗での購入が減少していることがわかります。サイバーマンデーは引き続きオンラインでの売上が圧倒的に多いですが、感謝祭に始まりサイバーマンデーまでは、チャネルにとらわれない買い物意欲の高い5日間という位置付けになってきていると言えそうです。

興味深い話として、アウトドア用衣料および用品のREIでは、ブラックフライデーは従業員に休日を与えるために過去7年間にわたり実店舗を閉めていましたが、今年からその事業のすべての部分(178店舗すべて、流通拠点、コールセンター、本社)の従業員に、毎年ブラックフライデーは有給休日にすることを発表しました。ブラックフライデーでも同社のウェブサイトで注文はできますが、注文処理や発送は翌日まで開始されません。

小売業界にとって、1年でもっとも繁忙なこの時期に、実店舗のみならずほぼすべての事業を停止するのはとても異例のことと思います。感謝祭の翌日の夜明けから店の外に立ち何時間も並んでセール品を購入するというスタイルが、ミレニアル世代やZ世代の若い消費者の間で関心が薄れていること、およびEコマースの浸透により小売業側もより早い段階からシーズンセールを行なうようになってきていることが背景にあると言えます。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


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