前回は、「ネットショップだけを磨かない」というテーマで、商いの構造を見直す必要性について整理しました。売場を磨くことは、間違いではありません。しかし、売場だけを磨いても成長が続く時代ではなくなっています。
ECの相談を受けていると、多くの事業者が同じような改善を考えます。広告、SNS、AIなどの新しい施策です。もちろんそれらも重要です。しかし現場を見ると、もっと手前で止まっていることが少なくありません。それが「接客」です。ネットショップでも接客は存在します。むしろECとは、接客をテキストとコンテンツで再現するビジネスです。対面で説明できないからこそ、接客の質は売上に直結しますし、関係性構築の基礎となります。
選び方を伝えているか、商品の理解を助けているか、買った後にフォローしているか。もしここができていないなら、まずはここから始めてください。これは基本ですが、最も効果の出る改善の一つです。
今回はその接客について一緒に考えていきます。
専門家だから書けること
ある高額専門商材を扱う店舗さんでは、商品ページ、カテゴリページでの離脱が多いという課題がありました。商品自体の評価は高く、ブランドの信頼もあります。それでも購入まで進まない。理由は単純で、高額商品故に選び方に不安があるからでした。
多くのECサイトには商品説明ページはありますが、選び方を専門家の視点で説明するページはほとんどありません。そこで行ったのは、商品を売るページではなく「選び方を解説するコンテンツ」の作成でした。素材の違い、用途による選び分け、ライフスタイル別のおすすめなどを整理し、あえて、カテゴリページからコンテンツページに導線を設置しました。
するとコンテンツを読んだお客様は、滞在時間が長くなり、回遊が深くなり、離脱が減るという行動に明らかな変化が見られました。その結果、購入率も+2%を超えるように明確に改善しました。
ポイントは、売ろうとしたのではないことです。お客様が「この専門店は信頼できる」という状態を作っただけです。専門店が持つ商品知識は、そのまま接客になります。
買った後の接客
接客は購入前だけではありません。購入後も続きます。もっと言うと購入後の接客の方が効きます。
ある家具を取り扱いの店舗さんでは、商品購入後に使い方やお手入れ方法を紹介するフォローメールを送るようにしました。目的は販売ではなく、商品を長く使ってもらうこと、困ったときの参考にしてもらうことです。いわばアフター接客です。
このメールは通常のメルマガよりも高い反応を得ました。通常のメルマガは40%程度の開封率ですが、このフォローメールは80%近いです。さらにフォローメールの中でレビュー投稿を案内することで、前年同月のレビュー数が1−2件の投稿だったのに対し、40件近い、大幅な投稿数の増加につながりました。
売るためのメールではなく、役に立つメールだったからです。
関係を作る最初の一歩
ここで大事なのは、特別な施策ではないということです。選び方を伝えること、使い方を説明すること、購入後にフォローすること。どれも商売の基本です。
しかしこれらはすべて、「この人、この店と関係を持ちたい」と思ってもらうきっかけになります。関係性は広告では作れません。接客でしか作れません。
まずはここから
繰り返しになりますが、ECの改善というと、広告、SNS、AI、CRMといった施策が話題になりがちです。しかしその前に確認してほしいことがあります。
基本の接客が、設計されていますか。
- 商品は、「説明」ではなく「選べる状態」になっているか
- カテゴリページは「比較」ではなく「理解」を助けているか
- 購入後に「売り切り」で終わっていないか
接客は意識しないと設計されません。多くの場合、自然にできているのではなく、抜け落ちています。もしここができていないなら、まずはここから始めてください。
新しい施策よりも先に、接客を整える。それだけで、売上の質は確実に変わります。
まとめ
商売の基本は昔から変わっていません。お客様の理解を助けること。つまり接客です。
ネットショップでも接客は存在します。むしろ対面できない分、接客はコンテンツやフォロー、情報提供という形で表れます。いろいろな施策を始める前に、まずは接客を磨く。それがEC改善の基本中の基本です。