同梱物の考え方①
JECCICA客員講師 長山 衛
ネットショップの同梱物をどれくらい意識されているでしょうか。
弊社でコンサルティングをする場合、一番最初の改善点とするくらいに重視しております。
なぜ集客や接客よりも重視するのか、その理由を前編と後編の2部に分けて実例を元にお伝え致します。
ネットショップの成功サイクルで「集客→参客→接客→増客」があります。
同梱物は増客施策に広義では含まれますが、私の考える同梱物は「接客→増客」の中間に存在します。
行動フローで言えば「接客→期待客→増客」と期待客を間に含めて考えています。
接客
商品ページで商品を実際に購入してもらうネットショップ上の訴求。
期待客
お客様とリアルで繋がる接触点。期待値コントロールの要(かなめ)。
増客
商品使用したお客様への引き上げ、LTV施策。
期待客とは弊社提唱AFLAR理論 の取得段階に発生します。
期待値コントロールの要と記載した通り、次の行動フローである増客に繋がるか否かは、全て期待客によって決まると言って過言ではありません。
そして期待客は「ネットショップで一番最初にリアル接触する」タイミングになります。 (※商品問合せ等もありますが一般的な注文フローで考えます)
期待客を細分化しますと、
- 商品購入
- 商品お届け期間
- 商品開封
- 同梱物確認
- 商品確認
という一連の行動を包括しています。
今からお客様の気持ちで想像してみてください。
《購入》
ネットショップで欲しい商品を見つけて購入
↓
《お届け期間》
商品が届くまでのワクワク感
↓
《開封》
商品が届いて、いざ開封!
↓
《同梱物、商品確認》
開封した瞬間、目に飛び込んで来たのは…
最初に目に飛び込んで来たものが「納品書」だったら、ガッカリしませんか?
もし、「心のこもった挨拶状」であればどうでしょうか?
少なくとも味気ない納品書より人間味を感じて嬉しくなると思います。
全てが機械であれば、納品書のみでも良いかもしれません。
しかし、ネットショップ販売はショッピングカートを利用した自動システムでも、販売そのものは人が対応しているわけです。
システム化するべきところ、システム化してはいけないところが店舗差別化に繋がります。
まして、一番最初のお客様との接触が「温度感も何もなければ」期待値は下がることこそあれ、上がることは絶対にあり得ません。
リアル店舗で例えれば、お店に入ったのに「いらっしゃいませ」の挨拶もない店舗と元気よく笑顔で「いらっしゃいませ」と声をかけてもらえる店舗のどちらが気持ち良いでしょうか。
人の第一印象は3秒で決まる言われますが、人に限らず第一印象は即座に決まりますので、最初の接触が非常に重要になるわけです。
さて、この話で気付いて頂きたい点は、納品書の代わりに挨拶状を例に挙げただけで、実際にどの順番で同梱物を封入するかと言う点です。
同梱物にこだわっている店舗なのに、何故か順番はルール化されていなかったりすることもあります。
順番については、店舗毎に同梱物は異なりますので、「お客様の気持ち」で店舗のスタッフ一同でぜひ考えて実行頂ければと存じます。
その際、ABテストでリピート割合等の数値計測を必ずして、有効性の高い内容をさらに高める施策に繋げてください。
ここまでのお話で、同梱物が重要な理由は「期待客」に影響を与え、結果として増客にも関連するからとご理解頂けたでしょうか。
成功店舗の店長さんにお話を伺うと、期待客という言葉はさておき概念として「期待値コントロール」を非常に意識されていました。
期待値コントロールは必ずしも接客時点で高くする必要はありません。
むしろ、接客時に商品ページデザインをハイクオリティにして期待値を高めすぎたために、「実際の商品とは異なるではないか」というクレームに繋がった失敗経験があります。
それよりも、あえて接客段階では期待値を下げておき、期待客で跳ね上げる方が結果として増客に繋がります。
期待客を上げる同梱物の成功事例は次回お話します。
総括
期待客は、顧客関係の重要ポイントになります。
これからのEC業界は、オムニチャネルと言われるようにリアルやネットという垣根を越えた商売が発展していきます。
その時に何が重要かと言えば、真っ先に顧客関係作りと言えます。
商売の基本ですが、改めて原点に立ち返る必要があります。
もし、今の店舗がお客様との関係作りが希薄であれば、近い将来淘汰される可能性は否めません。
大手のような企業体力のあるところが参入してきた今、勝負していくには、いかに「あなたに必要なお店」になれるかです。
弊社でも本当に実感しているところです。
改めて以下のポイントを頭に入れて、顧客関係作りの一歩先を進んでください。
- 同梱物は一番最初に見直すべきである
- ネットショップの1stリアル接触は、 開封時である
- 期待客を満足させる事が成功サイクルの要となる
JECCICA客員講師 長山 衛
過去12年で商品ページ作り込みを5,000ページ以上経験。そこから累計250億円以上の売り上げ樹立。ECデザイナーとして撮影からデザイン制作を前線で行う。