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大手ECモールを使う様子をアイトラッキング
– Vol.2 戸惑いっぱなしのスリッポンを探すテック系女子

前回(Vol.1)のお米を探すシーンに引き続き、大手ECモールのアイトラッキングのレポートをお届けします。今回はVol.2になります。
Vol.1をご覧になっていない方は、是非最初(お米を探すママは検索結果で商品を決めている)からご覧ください。

・Vol.1 お米を探すママは検索結果で商品を決めている
・Vol.2 Vol.2 戸惑いっぱなし、スリッポンを探すテック系女子
・Vol.3 Amazon.co.jpに敵なし…メトロノームを探す企画系女子の視線
・Vol.4(まとめ) 大手ECモールを利用する際の視線に関する4つのポイント

2回目の今回は、『20代前半のテック系女子』に協力いただきました。調査概要は下記の通り。

・20代前半の新卒2年目、テック系事業部に所属する女性
・普段使うECモールはYahoo!ショッピング、本はAmazon.co.jp
・シチュエーションは、実際に本人が思っていた『TOMSのスリッポンが欲しいと思っている』
・タスクは『買っても良いと思える商品を探し、買い物かごに追加する』

買い物をしたことがない楽天市場、送料を見つけられず断念

まずは楽天市場です。気になる商品を見つけられたものの、送料が分からずタスク完了となりませんでした。

・トップページの左を辿り、TOMSのカテゴリを探す
・見つけられないので、検索フォームにキーワードを入力
・検索結果を閲覧し、並び替えなどしながら幾つかの商品をチェック
・気になった商品があったが、送料が分からず必死に探す
・送料がわかるかもしれないと思い商品を買い物かごに追加するが、結局分からずショップから離脱
・別のショップでも同様の商品を見つけるが、やはり送料が分からないためタスク達成とならず

※買い物かごに商品を追加してはいますが、送料が分からないから追加してみただけなので、タスク達成とはなりません。

どこを見ていたのか

それでは、ゲイズプロットを見てみましょう。

まずは、楽天市場トップから1階層下がったカテゴリのページです。欲しい商品のブランドが決まっていたので、キーワード入力ではなくカテゴリを辿って探す方法を選択したようです。
結局、目当てのカテゴリが見つけられずにキーワード検索をすることになるのですが、動画内では『TOMS』というバナーが表示されていますが、そこには気付いていません。

商品検索結果のページです。ここでは検索結果1ページ目の商品を一度上から下まで眺めたのち、再び上から見直すという行動が取られていました。最も視線が集まっているのは6位の商品ですね。
1位〜5位の商品は、あまり興味を持たれていないようです。

次は、送料がわからないということで離脱してしまった商品ページです。もちろん、セオリー的に作られたグローバルナビよりリンクを辿れば、送料の案内は確認可能なのですが…。

使い慣れているYahoo!ショッピング、オマケの有無が分からず断念

続いてはYahoo!ショッピングですが、使い慣れているにも関わらずタスクが完了できないという結果になってしまいました。

・トップページの検索フォームよりキーワード検索
・検索キーワードの追加や並び替えなどしながらいくつかの商品ページをチェック
・過去に買い物をしたことのあるショップで気になる商品を発見
・そのショップで買い物をした際に付いてくることのあるオマケが、この商品に付属するのか分からない
・他の商品も探してみるが、ピンと来ない
・結局元のショップに戻ってくるが、オマケの有無が分からないため断念

どこを見ていたのか

こちらのゲイズプロットでは最上位の商品に最も視線が集まっていますが、他の商品については写真の他に支払い方法を確認していることが分かります。
カードで決済したいので、支払い方法をチェックしていたそうです。


検索結果で興味を持ったこの商品は利用経験のあるショップだったようです。このショップで購入すると靴を入れるお店オリジナルの袋が付属するそうなのですが、以前価格の安い商品で付属しなかったとのこと。
この商品にそれが付属するか確認すべく、ページ内のあちこちをチェックしています(結局、袋についての情報は見つかりませんでした)。

本の購入に利用するAmazon.co.jp、意図したように絞り込まれない検索結果に翻弄される

前回お米を探してもらった際に、最速タイムでタスクが完了したAmazon.co.jpです。型番商品である靴なら今回も…?と思ったのですが、どうもそんな単純な話ではないようです。

・トップページの検索フォームよりキーワード検索
・並び替えをして一つの商品ページをチェックするが、検索結果へ戻る
・並び順を変更してみるが、イメージの違う商品が表示されてしまう
・暫く検索結果の並び替えに苦労した後、一つの商品ページへ
・靴のサイズを選択したら想定外の価格となってしまったので、検索結果へ戻る
・別の商品も探してみるが、面倒になり断念

どこを見ていたのか

検索結果ページのゲイズプロットを見てみましょう。

検索結果が表示された直後、「(楽天市場・Yahoo!ショッピングと比較し)見やすい」と漏らしていました。
実際の視線の動きは、前回よりもさらに不規則です。見やすいと感じることと視線移動の規則性には関係性がないのでしょうか。

検索結果ページとしばらく格闘した後、ようやく3,980円〜と書かれたお手頃価格の商品を見つけました。しかし、商品ページでサイズを選択したら価格は9,980円に。
この価格への期待外れっぷりはショックが大きかったようで、他の商品を探す気力も起きずタスク完了となりませんでした。

初めて利用するポンパレモール、良い商品を見つけられず…

最後はポンパレモールですが、やはり残念な結果に。

・トップページの検索フォームよりキーワード検索
・検索結果で、何度も条件や並び順、キーワードの変更を繰り返す
・一つの商品ページをチェックするが、気に入るものではないようで、検索結果へ戻る
・デザインが気になる商品はあったが、購入するための条件を満たさない
・探す気力を失い、断念

どこを見ていたのか

ポンパレモールでは、検索条件の変更を頻繁に行っており、商品を探すのに苦労していました。
どこかの商品に注目するというよりも、パッと眺めて欲しいと思える商品が並んで居そうかどうかを確認しているようです。

幾つかチェックしていた商品も、若干価格が高めだったりして、どれも買って良いと思えるほどではなかったようです。
しかし、下記のようにUSサイズと日本サイズの比較表については便利だったそう。

まとめ

なんと、今回の調査ではどのサイトでも商品を選ぶことができないという結果になってしまいました。
ヒヤリングやテスト中の思考発話の内容によると、下記のようなことがその要因となったようです。

・送料がわからない
・気に入る商品を見つけ出すのに苦労する
・オマケの有無が分からない(オマケが付くことが逆効果となった)
・価格への期待外れ

視線に関する点では、送料に関する案内やTOMSのバナーなど、ページ内に存在していても気付かれない物があることが分かります。

なお、各サイトで断念するまでの時間は下記の通り。

・楽天市場 約9分で断念
・Yahoo!ショッピング 約9分で断念
・Amazon.co.jp 約4分で断念
・ポンパレモール 約5分で断念

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