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大手ECモールを使う様子をアイトラッキング – Vol.4(まとめ) 大手ECモールを利用する際の視線に関する3つのポイント

三回に分けて、お米・スリッポン・メトロノームを大手ECモールで探す際のアイトラッキング(視線移動)のレポートをお届けして来ました。最後は、デザイナーだった私の立場から感じたことをまとめてみたいと思います。

ユーザーテスト+アイトラッキングから見えた3つのポイント

1. 検索結果は上位を見るとは限らない

ネットショップページ制作の支援を行っていた頃の私は、ECモールの検索結果(いわゆる楽天サーチなど)で注目してもらうためには、兎にも角にも上位表示(5位以内など、ファーストビューに近いところ)が必要だと考えていました。
しかし私の予想に反し、これまで見てきたゲイズプロットでは、必ずしも上位だから見るわけではないという傾向が見て取れました。
もちろん1位や2位に表示された商品は殆どの場合注目を集めていましたが、期待に応えてくれそうな商品がそこに表示されていたからという理由であるように感じます。
また、全体の傾向として写真が優先的に見られていたことから、写真で目を引くことが非常に重要であるように見えます。

デフォルトの表示設定では、Amazon.co.jpの検索結果が最も大きく写真を表示していますね。
写真を優先的に見る傾向は、各モールのスマホアプリや旅行情報サイトを利用してもらった際にも見られましたから、目を引き多くの情報を伝えられる写真が重要であると言えるでしょう。

2. 目的が決まっていると不要な情報は目に入りにくい

今回は、欲しいと思っている商品を探すという目的ありきのテストを実施しました。
そのせいか、モールのトップや商品ページなどに散りばめられているバナー等、目的外の要素には殆ど視線が配られませんでした。
(被験者さん自身のアカウントや端末でないので、少なからずその影響もあると思われます)

つまり、今回のタスクで見られていた箇所にある情報が『商品を選ぶ・買う』という本質的な目的を達成するために本当に必要な情報であると言えます。
これらの情報をスムーズに読み取れるようなインターフェースの実現が、利用体験の高いサイト(インターフェース)の条件になってくるでしょう。

そう考えながら改めてAmazon.co.jpのレイアウトを見てみると、どう感じられるでしょうか?

3. 『送料が見つけられない』にびっくり…

個人的に最も驚いたのがこちら。
デザイナーだった頃の私は「グローバルナビに『支払い・送料』のリンクを置いておけば送料についての案内は問題ない」と考えていたからです。

ゲイズプロットを見てみると『支払い・送料』のリンクのある所まで視線は届いてはいるのですが、恐らく文字を読んでいないのでしょう。

これは、今回の被験者さんのうち1名だけが偶然迷ってしまったわけでは無く、多々起こり得るケースだと考えています。
他のユーザーテストを実施している中でも、送料についての案内は商品ページ内、特にカゴ周りに明記されていない場合「送料がかかるのかどうかも分からない」といった判断をされてしまうことがあります。例えば、ある商品は明確に『送料無料』と書いてあるのに、送料別の商品については送料の扱いについて記載が無いと、ちゃんと書いて欲しいと指摘されたりします。運用の課題はあるかと思いますが、特別な理由がない限り商品ページ内に送料の扱いについて明記することが理想ではないでしょうか。

今回のユーザーテストについて

今回お届けしたユーザーテスト+アイトラッキングのレポートは、動画内から読み取れる情報の全てをレポートできているわけではありません。
アイトラッキングではない純粋なユーザーテストとして見てみると、あまり良くないレビューも参考にしていること、商品ページのコンテンツの重要度が低かったことなど
他にも読み取れることがあります。

そういった事を考慮いただいた上で今回のコラムをご覧いただき、大手ECモールで勝つための戦略、サイトのインターフェースを改善するためにヒントとして頂けたら幸いです。

新規訪問者を想定しとにかく手軽に実施する(リモートユーザーテスト)

最も簡単なのは、リモートユーザーテストという方法です。国内でもいくつかのリモートユーザーテストを提供するサービスが存在します。
サービス内で日本中の被験者さんの候補を集めているので、『楽天市場でお米を購入したことがある人』などの条件で被験者さんを募集し、年齢や居住地などからテストを依頼したい被験者さんを任意で選べます。

その方に、

1. 家のお米がなくなってきたためネットで購入したいと思っているとして、自由に商品を探してください

2. その中でこのサイト(自サイト)を見つけたとして、このサイトの中から良いと思える商品を探してくださいといったタスクをこなしてもらうことで、なぜその時にその行動を取ったのかという定性的な情報を得ることができます。

手軽さでは、リモートユーザーテストが一番です。

新規訪問者を想定しとにかく手軽に実施する(リモートユーザーテスト)

実際のお客様(リピーターさんなど)に協力して頂くと、新規訪問の方とは全く違う行動が取られる可能性があります。
リピート率の高いサイトであれば、LTVを高めるためにリピーターさんに特化したテストを視野に入れてみましょう。
実際にお客様がサイトを利用する環境(自宅など)で確認できるのが理想ですが、難しい場合はオフィスに来ていただくなどしましょう。
対面式ユーザーテストの実施方法については、【実践編】ユーザー心理とサイト課題を明らかに。ユーザーテストの進め方と観察のポイント – UIDEAL by NYLE(https://uideal.net/blog/02/349/)にてとても詳しく解説されています。
実際のユーザーと対面してテストを実施する必要がある貯めリモートユーザーテストよりも手間はかかりますが、得られる情報量は多いです。

最後に

ユーザーテストというと、百万円単位の費用をかけて大規模なプロジェクトにて実施するようなイメージがありますが、上記のように簡単にユーザーテストが実施できるサービスが充実してきていたり、
ユーザーテストの実施方法そのものもインターネット上に多く公開されるようになってきました。

ほんの少しだけ時間を割いてユーザーテストをしてみると、思いがけない課題を発見できる可能性があります。
離脱率や直帰率など、定量的なデータだけではその理由が分からない課題をユーザーテストで解決していきネットショップ業界で共有していくことで、
もっとネットショップの存在価値を高めていくことが出来る、と考えています。

今回のコラムの中で少しでも興味を持って頂けるポイントがあれば、ぜひユーザーテストを実施してみましょう。

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