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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.67「間違いだらけ」のシニアマーケティング⑥ 【気分が若返るメタバースのコミュニティ】

【ユートピアを創造するゲームのヒット】
今回も引き続き「コミュニティマーケティング」をテーマにした第三回目の寄稿です。
今から3年前の2000年春、新型コロナウイルスまん延で、欧米はロックダウンにみまわれ、日本も緊急事態宣言が発令されたました。そして同時期に偶然発売された任天堂ゲームソフト、「あつまれどうぶつの森(あつ森)」が世界中で大ヒットしたことは記憶に新しいと思います。
ヒット要因はステイホームの「巣ごもり消費」にマッチしたこともありますが、それ以上に人間の基本的な欲求を満たす要素が面白く提案されているところにあります。

それは「帰属欲求(コミュニティに属する)」、「承認欲求(誰かの役にたち笑顔で認められる)」、「自己実現欲求(唯一無二の自分らしさを発見して確信する)」が、あの「無人島」で満たされるからです。現実社会は人間関係をはじめ、様々な要因でこうした欲求を十分満たせない現代人の「不満・不足・不自由(不の字=顕在ニーズ)」を、ゲームという架空の世界でユートピアを創造することにより、ワクワクした時間を過ごせるところにヒット要因があります。ゲーム中の「アバター」は、本来の「理想とする自分自身」を描写しているようです。

【「サード・プレイス」って何?】
人生100年時代と言われ、50歳を過ぎてからの後半戦の生きがいある暮らしを行うため、職場や家族というコミュニティに加えて、3番目のコミュニティとして「サード・プレイス」を持とうという提唱を、よくニュースなどで目にします。サード・プレイスとは、仕事や家族とは関係のない、自分個人のパーソナルティを生かすコミュニティで、例えば趣味の仲間、お店の常連客同士、学びの場の仲間、同窓生などが該当します。つまり、その人の巣の人間性を出せる、利害関係のないコミュニティです。

しかし、それまで長年仕事一筋だった人は、年齢とキャリアからくる経験値と表裏一体で、固定観念が形成されます。特に男性の場合は、「プライドや照れ」が、どうしても新たな行動の妨げになります。

ちょうどコロナ禍の2000年に当コラムでも、メタバースと言われるネットワーク上の仮想空間の分身「アバター」を活用して新たな気づきを得る、SNSを軸として様々なモノやサービスをECで販売するビジネスアイデアを提案しました。タイトルは「あつまれおとなの放課後!」です。メタバースは5G等の技術の発達・普及を後押しに、今後の成長が見込まれ、これまでのゲームを中心とした利用以外での活用事例も増えてきています。

【学生時代のクラブ活動を再現!】
「あつまれおとなの放課後!」は、学生時代のクラブ活動や部室、サークル仲間と同じような体験と世界観を味わうことが出来るメタバースです。同じ興味関心があるテーマのもとに自分のアバターが入り、コミュニティを形成して、先ほどの承認欲求や自己実現欲求を満たします。

50歳を過ぎて、今となってはリアルでいきなり出来ない、無邪気な行動をメタバースで体験して童心に帰ることで、自分自身を再発見、やりたかったことを思い起こして、後半戦人生の「やる気スイッチ」を入れることが目的です。

面白さのキーワードは、アバターを介しての「〇〇ごっこ」遊び。メタバースの時間と空間から得られるドキドキ・ワクワク感が、セロトニンやオキシトシンといった「ハッピーホルモン」が分泌され、脳や細胞の活性化から老化の進行を遅らせることも期待出来そうです。

令和4年の通信利用動向調査によると、60代のSNS利用率は73.4%、50代は81.9%と高く、これまでのシニアのような、インターネットリテラシーの問題もまったくありません。

【テクノロジーの進化は著しい】
あれから早3年が経過しますが、三菱総合研究所が2022年に発表したリポートによれば、メタバースの日本国内市場は2025年に4兆円程度となり、2030年には約24兆円にまで拡大するとのことです。

テクノロジーの進化で、これまでのオンラインコミュニケーションで言われた「感情やニュアンスが伝わりづらい」「一体感が感じられない」などの課題や、Web会議の「発言のタイミングが掴みづらい」「相手の表情を読み取りづらい」といった不満も解決し、より没入感のある体験が可能となるでしょう。

またメタバースは、現実には物理的に不可能や、高額なコストがかかる世界観の演出も可能ですし、リアルな時間や空間とは大きく異なる体験も出来るでしょう。

何よりも、インターネット環境があれば、距離や移動手段、そしてコストで諦めていたイベントや買い物体験が可能という「物理的な制約」を解消してくれます。

そして、この「物理的な制約」に加えて、50歳を過ぎて「ちょっと恥ずかしい、動くのは面倒」と言ったような「年齢からくる心理的な制約」も解消してくれそうです。

こうしたニーズを満たすアイデアが具現化するのも、テクノロジーの進化がなせる業。「夢を形に出来る、ドラえもんのポケット」と思える今日この頃です。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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