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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.53 ブランドとは何か?②

ブランドの重要性と利点
前回に続き、今回もブランドのお話です。前回コラムで顧客が得られる価値とは、商品本来の「機能価値=有形価値」と、機能プラスαの「情緒価値=無形価値」であるとお話ししました。また今日の成熟社会では機能が良いのは当たり前であり、機能面だけで比較をすると顧客は同じように見えてしまうため、機能プラスαの顧客にとって価値ある印象が必要だからブランドが重要とお伝えしました。では、ブランドは何が利点なのか?これを「買い手側の利点」、「売り手側の利点」で見てみましょう。

買い手側2つの利点
一つ目は「満足感や優越感」を得られることです。移動手段として自動車を考えた場合、軽自動車が経済的ですが、高額ブランドの輸入車を買うニーズ(欲求)は、そのブランドのイメージ(印象)を通じて自己アピールを図り、自分らしさを得たいからです。こうした気持ちは所有する満足感や、利用することで他人に対しての優越感に繋がります。

二つ目は「安心感」による時間削減です。ブランドの機能面は担保されていることの安心感に加えて、顧客自身の好むイメージが既にあるので指名買いをします。指名買いの良さは、他社商品と比べないので時間的労力が軽減されるのと同時に、同じブランドの中から選ぶ楽しみ、買う楽しみがあります。この利点はモノや情報が溢れ、時間を大切にしたい顧客には大きな利点と言えます。

売り手側3つの利点
一つ目は「価格競争」に巻き込まれなくて済むことです。ブランド品は値引きをしません。何故なら顧客にとって、コストを掛けてでも得たい機能プラスαの価値ある印象があるからです。価格競争から脱却できることは利益率の向上につながり、売り手にとって一番大きな利点です。

二つ目は「広告費を抑えてファンを獲得できる」ことです。それはインフルエンサーの存在によって、価値あるブランドは顧客がSNS上で口コミ波及してくれるため、広告費を削減できます。昨今モノやサービスを検討、購入する際、広告を参考にしない顧客は若年層のみならず、50代~60代もそのような傾向が出ています。顧客にとって本当に価値あるモノやサービスは、ファンを形成して昔からあるように口コミで波及していく、それがインターネットに変わっただけです。

三つ目は「収益の安定性と従業員への効果」です。価格競争から脱却し、広告費を抑えてファンが増える訳ですから、安定した売り上げや利益に貢献します。その結果として従業員の満足度も高まります。働いていることに対してステータスを感じることは、働くモチベーションに大きく寄与します。それが会社の生産性向上へとつながる好循環を生み出します。また採用にも良い影響をもたらし、良い人材に恵まれ、更に強固な組織とブランドが形成されていきます。

ブランドを創るために!
「買い手・売り手」に嬉しいことばかりのブランドですが、ではどうしたらブランドを創ることが出来るか?が大きなテーマです。ブランドは、海外のラグジュアリーブランドや国内の大手企業の商品だけではなく、小企業や零細企業、更には個人でもブランドを創ることは可能です。そのためには、大きく5つの要素を整理する必要があります。図でご紹介したのは「ミッションステートメント」というフレームワークです。

一番上は「理念」です。そのベースはどんな人を笑顔にし、どのように持続可能な社会に貢献するかという背景のもと、「何故わが社が存在するのか?、何故この商品を作ったのか?売るのか?」と言った志や、社会における存在意義を明確にすることです。その対価として売上と利益がついて回るわけですから。二番目は理念のもとにどんな「特徴・個性」があるのか、企業の特徴、商品の特徴や個性を整理します。理念と特徴や個性が名言されると、3番目に「理想的な顧客」が整理されます。いわゆるターゲットです。理念と特徴や個性の恩恵を最も受けると考えられるターゲットが「どんなニーズを持つ?、どんな属性の人か?」を可視化します。そして最後に顧客に対して、どんな「機能的価値(左脳的)」と「情緒的価値(右脳的)」を提供することが出来るか?を整理します。特に「情緒的価値(右脳的)」が大きなポイントです。

ブランドは唯一無二の「印象=らしさ」
ブランドは端的に言えば「唯一無二の印象」です。人間関係に当てはめると分かりやすく、「○○と言えば〇〇さんが詳しい!」とか、「〇〇さんのこんなところが好感が持てる!」と言われる人は「その人らしさ、自分らしさ」がある訳で、その人は必ず人に対して唯一無二の価値を提供出来る人であり、対価が得られる人です。最近では「パーソナルブランディング」と言って、自分らしさをどう育成するか?が重要と言われていますが、企業や商品もまったく同じ。こう考えると、ブランドとかブランディングは、人間関係にウィンウィンをもたらすシンプルなことと同じであると理解できます。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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