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僕らはまだデジタルの“使い道”を知らない

ライブコマースの“使い道”って何?
デジタルを取り入れて、躍進する企業が多い中、それでも僕らはまだその使い道を知らないのかもしれません。昨今、ライブコマースが脚光を浴び始めていて、それを実感したのです。

良い意味でイメージを覆してくれたのが、協和という会社が運営する「fracora(フラコラ)」という美容ブランドでした。このブランドは、20年前、コラーゲンドリンクのヒットをきっかけに、美容における存在感を確立しました。美容に関するサプリメントやアンチエイジングの美容液など、美に関する全般を扱っています。

案内されたライブ配信の現場は、社内の一角を使ったもので、少しも派手さはありませんでした。でも、ライブ配信のそのやりとりを見ていて、説明しきれぬ美容の価値を表現していることに気づきました。

それは「HITOKAN」というシリーズの美容液を手にした時のことです。パッケージを含め、どれも似た形状のものが複数あって一体何が違うのだろうと思いました。でも「そこなんですよ」と同社のスタッフに言われて、それこそが、ライブ配信によって見つけた金脈だったのでした。

伝えきれなかった価値が伝わり広がる
通常、美容系のメーカーは極力、素材を絞り、単価を抑えて、ピンポイントで商品を提供します。それは、お客様の悩みにきめ細やかにアプローチすることで、より実感を得やすくするためで、メーカーとしては当然の姿勢です。

ところが、その一方で、お客様は自分の悩みが何に起因するものなのかがわからない。だから、それだけの品揃えを前にして、一層悩んでしまいます。

そこにライブコマースが合致したのです。お客様は、企業との双方向でのやり取りによって個々の悩みが可視化され、なぜそのブランドがそれだけのラインナップを揃えているのかを、自然に理解することができたのです。それがブランドの信頼になって、わずか半年で視聴者数は13倍、購入者数は14倍にまで膨れ上がりました。

ファッションでも活用が広がるライブ配信
ファッション系のブランドでも、ライブコマースを実績につなげたケースが出始めています。「アーバンリサーチ」では、ライブコマース関連の売上だけで、数千万円単位だと言い、その力の入れようがわかります。でも、「ライブコマース以外」に打ち込むことで、ライブコマースで成果を出しているのがミソで、学ぶべきところです。

昨今、コロナ禍となり、リアル店舗にお客様が来てくれないことで、それまでの不特定多数のお客様を「待ち受ける」姿勢を一新しました。来てもらうお客様を絞り込んで、そのお客様にとって満足のいくアプローチをしたのです。

するとKPIも変わってきます。例えば、売上が上がっても、合わせて利益率を見ます。それぞれの成長率を比較して、成長率が売上の方に偏っていた場合、見直しを検討します。単純に安売りの乱発で、お客様を絞り込めていない状態に陥っていないかという意味で、です。

そして、一人のお客様が継続するために、各々できることを横断的に考える組織に作り替えたのです。具体的な例を挙げると、デザイン担当はデザインだけではなく、Googleアナリティクスを見る様になりました。すると、自分達のデザインがお客様に継続的な購入を促すために、どうあるべきだろうと考えるようになります。

他にも、どこの企業にもPCのメンテナンスの部署がありますが、そこを各部署から一括でデータを集めるよう依頼したと言います。そして、各部署との接点を活かし、それぞれの部署に有益なものをフィードバックする部隊へと変えていったのです。

顧客満足度を高めた上での双方向に光明
そのなかで、ライブコマースに注力するのです。お客様は既にファンとなり、固定客となっており、自分の気になる点を解決するために、ライブ配信を見るわけです。だから、購買率は格段に向上するというのです。

結果、サイト全体の購入率とそれとの比較では、サイト全体の購入率(CVR)が1.13%に対して、ライブ閲覧者のCVRは3.33%にも膨れ上がりました。

もっと驚くのはライブコマースのアーカイブに関しての数値で、その閲覧者のCVR 5.0%となっています。つまり、商品を購入する際の最後のダメ押しに、ライブコマース(アーカイブ)が機能しています。

ライブコマースだけを見ていたら、その本質は見えません。一度、その企業における強みと弱みを考慮して、そのボトルネックを解決するための手段として、ライブコマースを位置づければ、世間的に言われるライブコマースの使い道とは違った形で、成果を出せるというわけです。

デジタル手段が増える中で、導入が先に立ってしまい、デジタルの使い道をまだ理解しきれていないまま、判断してはいないでしょうか。デジタル化が叫ばれる世の中ですが、見るべきは、今こそ、最新鋭のデジタルツールのありようではなく、自分達だと思います。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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