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ECコンサルタントとしての視点(1) ヒントを引き出すアプローチ

「ウチはこれから何をすれば儲かりますか?」

最近、こんなメチャクチャな質問をしてくるクライアントさんが増えてきました。(笑)笹本は「それを考えるのが社長/マネージャーであるアナタの仕事でしょっ」などと言いながら、アクセスログや売上構成の“変化”など各種資料を手元においてコーヒーを飲みながら“楽しく”おしゃべり。場合によっては一応資料などを持って近くの昭和系喫茶店でおしゃべり。
専門知識や分析、具体的なDoプランなど従来型のコンサルティングよりも、笹本の場合はこんな感じの“雑談型”(?)のコンサルティングが増えてきています。先に補足させて頂くと一般的なコンサルティングとはかなり異なるスタイルであり、長年のお付き合いの中で別段資料を見なくてもおおよそ分かるという環境があって初めて成立している形でもあります。この点は誤解なき様、ある意味での「特例」としてお考え頂ければと思います。

 このスタイルのコンサルティングは楽と言えば楽なのですが、逆に言えば笹本としては一番厳しいスキルを求められているコンサルティングです。
“雑談型“のコンサルティングスタイルを求めるクライアントさんは、その多くが既に「業種一番店」であり、コンサルタントになれるぐらいECについて「かなり深く」勉強されていて、地元の商工会などでは「講師」として登壇することも少なからず。地元の大学で臨時講師を務めている人などもいます。かつ、人事&組織づくりの面でも成功を収めている人です。その多くは実践力が伴ったスタッフが社内に揃っていて、(re:一部のクライアントさんは外注先が優秀で・・・。)(笑)コンテンツ制作や受注/発送業務のみならず一定レベルのデータ分析から導き出されるSEMやCRM関連のPUSH型のプロモーションも「任せて安心」と言えるレベルまで”組織“が練りあがっているのです。
ECのコミュニティーなどで積極的に情報交換を行い、各種の勉強会などにも参加して知識を深め、これをDo Planに移して行き、現状として必要と思われる課題は一通り全て「形にした」状態になっています。また一定規模を持つクライアントさんは各種のツールやサービスなどについて“提案”という形の売り込みを受けながらさらに知識を深めています。課題の一部については“現在進行中”の場合も多々ありますが、多くの場合「少なくとも既に着手している段階」になっています。ご承知の通り 課題の着手に至るまでには様々な情報収集や試行錯誤が伴いますが、これらのステップは既に消化しているわけです。着手とは充分な情報収集ができた結果、GO or Dropの判断に至ることができたという意味でもあります。

クライアントさん自身が勉強を重ねつつさらには実践もしているわけで、「情報や知識」という部分については敢えて私が言う必要がないレベルにいる経営者の方々です。諸々の課題について「既に」「やることはやった」状態に達したこの様な“優秀な”EC経営者の方々が報酬を払ってまで笹本に求めているものは情報や知識よりも「次の成長を生み出すためのヒント=気づき」です。 
求められているものは「着想力」。正直に言えばコンサルタントとしてはこれが一番厳しいご要望です。実際、雑談スタイルのコンサルティングの際には、情報や知識の部分は多くの場合「情報交換」程度の扱いになっているかと思います。もちろん情報や知識の面でも充分に準備をしていますが、勉強させて頂くこともしばしばです。特にex.ウチの地域で集中的に宅配某社が値上げ要請を活発に行っている様で、実勢の料金はこれぐらい・・・など、諸々の「動向の察知」についてはEC現場の方々ならではのアンテナを持たれているかと思います。

多くの優秀なEC経営者の方々は、小さな気づきが「すぐに」「現金化」して行く現実を何度も経験されています。ECにおいては「すぐに」のスピードがリアルとは桁違いに早いので、現金化した体験が多い経営者ほど “気づき”に対しての投資を積極的に行う傾向にある様に思えます。すぐに現金化=投資回収の期間が桁違いに短いからこそ コンサルタントに報酬を払ってまでも新しい気づきを求めたり、飛行機に乗ってまで勉強会に出かけたりすることができると言えるかも知れません。検索広告のコンバージョンキーワード(=検索数は少ないが、買っていただける可能性が高い検索キーワード)をひとつ見つけてこれが売上に繋がった、文字フォントを吟味して変更したら購買率が向上したなど・・・etc.それぞれはそれほど大きな効果ではなくとも様々な「すぐに」「現金化」の体験を積み重ねて来た結果、今の状態があるという意識を持たれているのではないでしょうか。現在では経営者の指示を迅速に具体化&実践するスタッフ=組織は既に手元に整っており、その気づきから引き出されるおおよその効果などについても理解できるレベルにあります。気づきがあれば、これを即座に現金化できるシクミができあがっているのです。
稀なケースではありますが雑談型のコンサルティングの際、午前中に気づいたことをスタッフに指示してサイトに反映させたらその日の午後には前月月商の約半分の受注があった様な例もあります。この例の場合、スタッフが行った作業は全ページ共通のトップバナーにコピーを追加しただけなのですが、これだけの現金化体験となった次第。守秘義務の関係上コピーの内容をここに書くことはできませんが、この会社の暗黙律=日々「アタリマエのこと」として昔から徹底されていた“隠れた大きな価値”に自ら気づき、これを照れや謙遜なくお客様にも伝えるべくコピーとして表現をして頂いたものです。

なお、ここで言う「気づき」とは私の着想だけではないことを申し添えたいと思います。優秀なEC経営者の方々は雑談型のコンサルティングを通じて「ご自身で」新しいヒントに気づくことも大変多いのです。どちらかと言えば自分で気づきを得る「機会づくり」のために笹本を呼んだと言う方が正しいケースも少なからず。それぞれのご商売について一番深い知識と経験を持っているのはECコンサルタントではなく経営者/権限者ご自身なのでこれも当然の話かも知れません。
前述の“コピー“の例で言えば、その価値に改めて気づいたのはクライアントさんご自身だったのですが、これをサイトで表現すること自体にはまだ「ためらい」があった様なのです。この照れや謙遜あるいはある種のプライドからくるためらいを外す“小さな勇気”を少しだけ応援させて頂いたのが“雑談”の話し相手であるECコンサルタントであったという感じでしょうか。

私がいじわるな/あるいは中途半端な「知ったかぶりの」ごとくの質問をすると強い反論が返ってきます。特に製造ポリシーや原材料、ショップコンセプトなど商売の“根幹”に関わる部分の“テキトーな質問”については怒りのごとくの反論が返ってくるのですが、ここだけはコンサルティングのテクニックとして「ワザと」行っています。反論が始まったら「シメシメ♪」なのです。(笑)
実は「サイト内」で充分に「表現されていること」と「表現されていないこと」を瞬時に照らし合わせながら“反論“を聞いています。その「表現されていないこと」の中に、お客様に伝えるべき価値ある暗黙律が含まれていることが大変多いのです。怒りのごとくの度合いが強ければ強いほど、そここそが価値ある暗黙律。ご当人としては一番熱を入れているところにも関わらず、これが充分には(笹本に=サイト閲覧者に)伝わっていない/誤解されている/安くみられているetc.・・・からこそ反論するわけです。反論を引き出せたタイミングで「今話して頂いたことを笹本に語っても売上にはつながらないですよね~♪お客さんに・・」このあたりで気づかれたクライアントさんが即座にスタッフに指示を出して・・・という感じでしょうか。

もう一つ「敢えてやっていない/敢えて〇〇は扱っていない」ごとくの話は、かなりの確率で価値ある暗黙律を引き出せる切り口になると思っています。元々“やっていない“わけですからサイトに表現されているはずがなく、当然ながら見える化も明文化もされていない部分です。敢えてやっていない”理由”を見つけ出せれば、その多くは商品やサービスの付加価値を高める物語や場合によってはキャンペーンぐらいまでに展開できるネタとなるのですが、同業他社への批判とは紙一重の部分も少なからずなので「表現の方法や度合い」については「要検討」として頂く方が無難かと思います。

雑談型のコンサルティングは基本的には芸人さんのフリートークと同様に、ほとんど全てが「現場でのアドリブ」となります。コンサルタントとして一番厳しいスキルを求められていると申し上げた理由もここにあります。前述では「売上向上策への気づき」を例にしましたが、業務改善系の話であれば「ex.売上は商品A群が2割なのに在庫は5割ぐらいありそうだ」とか、検索広告のも売上2割のA群が広告費の5割を占めているとか、先月入ったバイト君が商品ページを見ながら何か社員に聞いている・・・たぶんお客様にも分かりにくい箇所ではないだろうとか、出荷作業中にスタッフが何度も行ったり来たりしているのを見て、出荷作業のスペースにPCモニターを置けば在庫数の確認もできるし類似品名などのピッキングミスも減るのに・・・とか、
サイトのかなり見にくい所にしか電話番号が載っていないにも関わらずジャンジャン電話が鳴っている・・・電話で問い合わせの回答をサイトで表現すれば購買率があがりそうだとか、とにかく様々なところに目を配る必要があります。このスキルを磨くためには、習字の「まずは沢山書くべし」のごとく、理論の勉強よりもまずは量稽古かと思います。

クライアントさんにはまだ見えていない儲かるヒントに「現場で」「アドリブで」気づくためには、まずは「おおよその」サイトの内容や諸処のデータを頭に入れた上で、(re:正確な内容/データよりも“おおよそ”の方をお勧めします。不正確だからこそ質問や疑問の機会が生まれますので。)これを現場の状態や経営者の話と照合してゆくと、かなりの確率で「次の成長を生み出すためのヒント」が見えてくるのではないでしょうか。是非お試し下さい。(^o^)v

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 笹本 克

全国各地で有名ネットショップを輩出。自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。


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