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買わない事で収益を上げる?

お試し需要で躍進するレンティオ
人が興味を持てば、皆、全員、買うというわけではありません。でも、商取引が多様化していて、そこに躊躇する人を取り込んで収益につなげる企業が出てきました。

先日、僕が話を聞いたのが「レンティオ」です。要は、家電のレンタルですが、そこには名だたるメーカーが名を連ねています。レンタルだからこそ、それだけのブランド価値ある商品を「低価格で」提案しています。

例えば、何万円もするような家電用品も、数千円でレンタルしましょうと。結果、レンタルという形を取りながら、「買うに至らない層」を発掘することに成功しました。サブスクリプションの形態を取ることで、それが継続利用に繋がるほど、ちゃんと元が取れる仕組みにしています。

初期費用が抑えられ手を出しやすい
例え月額費用が安くても払い続ければ、いずれ仕入れ価格もペイできるというわけです。つまり、リスクヘッジをしながら、お客様と自分達、お互いニーズを分け合うというところに価値があります。

レンティオは同時にお客様が継続しなかった時の備えもしていて、それが返品時におけるメンテナンスの強化です。返品されたとしても、新品さながらの状態にまで戻せる独自のノウハウがあります。

だから、他のお客様に提供すれば、いいのです。一つの商品で、その耐久年数に至るまでフルに使い続けることができれば、元が取れるどころか、その分、利益率が高くなるということですよね。

倉庫の回転率を高めて土台を盤石に
彼らは最初、創業時、二人からこの事業を始めました。最初こそ、通販で自ら商品を定価で購入していたそうです。要は、その定価を上回るだけ、レンタルされれば、彼らの意図する収益が成り立ちます。地道にその仕組みを検証するうち、彼らが利益を確保するのに大事なのは、倉庫の回転率だと気づきました。

倉庫に商品が残れば、その倉庫代がかかりますから、彼らとしては倉庫に残っている商品を軸にして、キャンペーンをかけます。回転数が増えるほど、その生産性は高く、また、継続利用が増えるほど、色々な商品が仕入れられます。

初動ではなく、継続度合いの高いレンタル商品は何かに意識を向け、商品を見極めます。一方で、先ほど触れたメンテナンスの質の高さは彼らの真骨頂で、一度使われた商品を、新品同様にまで戻す状態の知見は、個々のメーカーにすらありません。

ここまでくると、メーカーの方から問い合わせが来ます。また、複数のメーカーを扱うほどに、お客様が増えて、お客様が増えるほど、レンタルが増えていって、彼らの独壇場です。見事だなと思います。

大手寝具メーカーでサブスク?
そういう着眼点が生まれると、企業も「売る」事だけにこだわらなくなります。寝具の大手メーカー「西川」が最近、動き出しました。寝具は高価で、自分に合っているかどうかがわかりづらい。だから、彼らはそこでサブスクリプションにより、定額で、それらの寝具をレンタルすることを思いついたわけです。

このレンタルで扱う商品の単価を見れば一目瞭然。 [エアー01]マットレス ベーシック・ハード(44,000円) [エアーSI]マットレス レギュラー(88,000円) [エアーSI]マットレス ハード(104,500円)。()の中身は定価ですけど、自分に合うのかどうかわからないのに、それだけの価格を払うのは抵抗があるでしょう。

また、寝具は肌に触れますから、それを踏まえ、新品とリユースを最初からコースで分けているのが彼らなりの付加価値となっています。当然、リユースの方は新品よりもレンタルの金額をやや抑えています。だから、そこにお客様のニーズが生まれて、それを選んでもらうことで、使ってもらえる寝具の幅が広がります。

表側だけではなく、裏側も投資して本腰
バックヤード側も彼らはそれ用にリソースを割いており、クリーニングを行う企業と連携して、そこに返品商品を預けるようにしていると言います。つまり、新品でレンタルをして、そこで返品されても、今度はそのリユースのコースを通じて、それを提案できるわけです。これでお客様は買いやすくなり、また、仮に返品されてもそれが再利用されることで有効活用されて、より多くの人に使ってもらえるのではないか、という仮説です。

まだ、始まったばかりなので、なんともいえません。ただ「GMOクラウドEC」が、フルスクラッチでその仕組みをサポートしたと耳にしました。つまり、それらの仕組みを0から立ち上げてでも、やりたいと思えるほど、メーカーが本腰入れることを窺い知れ、ここに時代の流れを感じます。

商品に対してのお客様のアプローチの仕方は変わっていくでしょう。興味を持てば、皆、買うという選択肢だけではなくなります。商品を扱い、販売しているお店にとってみれば、「売る」人たちだけが競合ではなくなりつつあるのかもしれません。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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