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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㊻ 正しいペルソナの作り方

ターゲットをリアル化するペルソナとは?
ペルソナ、あるいはペルソナ分析という言葉を聞いた方は多いと思います。マーケティングで使っているペルソナとは、自社が狙うターゲットを、あたかも実際に存在する人物かのように「具体的人物として定義したもの」を指します。
ペルソナの語源はラテン語で「仮面」を意味します。ペルソナ分析は実際の人物が居るかの如く「架空の人物を設定」して、ターゲットをリアル化するマーケティングのフレームワークです。

ターゲットを「属性」で捉える時代は終わつた!
皆さんは自社のモノやサービスを売りたいターゲットを決める際に、「20代OL」とか「40代主婦」とか、性別・年齢別といった属性で決めていないでしょうか?ここ数年、特に男女格差の是正、いわゆるジェンダーレス問題がよく取り上げられています。そして次は年齢格差、エイジレスです。
モノやサービスが満たされた今の日本をはじめとした先進諸国は、性別や年齢を超えて、支持されるモノやサービスは支持される時代です。
では「何で支持されるのか?」、その答えが「ニーズ」です。

改めて振り返る「ニーズ」の意味とは?
当連載の最初の頃に、「正しいニーズ」の意味をお話ししました。私は今まで数多くのマーケティング研修や公開セミナーで「ニーズの意味」を最初に問いかけてきました。
「砂漠をさまよう汗だくの一人の男性が居ます。さて彼のニーズは何ですか?」と問いかけると、殆どの人が「水」と回答します。マーケティング部の経験20年というようなベテランの方も「水」と答えます。
答えは「水」はニーズではありません。ニーズとは「欲求」を指します。欲求とは「現状と理想的な状態のギャップ」を意味します。先の砂漠をさまよう男性の場合であれば「一刻も早く喉の渇きを潤したい!」がニーズであり、それを満たすモノやサービスを「ウォンツ」と言って、「水はウォンツ」に該当します。つまり「ニーズ」が目的、「ウォンツ」は手段なんですね。
この正しいニーズの理解がないと、ウォンツである自社のモノやサービスの特徴を伝えることに繋がり、ターゲットも今までの固定観念から、属性で勝手に決めつけてしまい、売れない結果を招きます。

ターゲットは先ずニーズで括る!
売れるターゲット設定を行う際には、先ずはターゲットのニーズから捉えて下さい。ニーズがあるところ、特に顕在ニーズには必ず「不の時」があります。先の砂漠をさまよう男であれば、喉が渇いて「不快」であり、このままだと死んでしまうかもしれないという「不安」があります。遠方のお店に買いに行くのは「不便」だからEコマースを使う。最近化粧品のお肌へのノリが悪い気がして「不満」だから化粧品を変える。膝の具合が「不調」だからグルコサミンを買う。と言うように、全て「不の字」があります。
従って、ターゲットを設定する際には、自社のモノやサービスが「どんな人の不の字」を解決するのか?を洞察し、先ずはターゲットをニーズで捉えて下さい。
自社の強みが最も発揮出来る市場のターゲットを発見し、どんなニーズを持つ顧客像かを明確化します。そして次にそのニーズを持つ顧客像は、主にどのような属性が比較的多いのかを決めます。つまり属性は後から付ける訳です。

ペルソナの文章には「ニーズとKBF」を明確に書き記す!
よくありがちなペルソナ作成は、自社にとって都合の良い属性ターゲットのライフスタイルを作文して、いかにもリアリティあるターゲット像に見せることです。ライフスタイルを細かく記し、写真を使って見せる方法です。この方法は間違いではありませんが、次の2つの要素を先に明確にした上で、リアリティあるペルソナを作成して頂きたいと思います。
その2つの要素が「ニーズとKBF」です。KBFとはマーケティング用語では「Key Buying Factor」の略で「購買決定要因」と訳します。つまりあるニーズを持つ顧客が、実際に購入する段階において、「何を決め手として購入するか?」といった要因です。「機能・価格・デザイン・ブランド・利便性・アフターサービス・・等々」いろいろ考えられます。
この2つの要素を「ペルソナの言葉」として、架空人物が「どんなニーズを持ち、購入時に重要視している決定理由は何か?」を、分かりやすく言葉にします。その上でペルソナの詳細を付け加えていきます。「ペルソナの言葉」が作文することが出来れば、ペルソナの概要となる根幹は完成したと言っても過言ではありません。

現実・現場からペルソナをブラッシュアップ!
リアリティのあるペルソナを作成するために大切な要素は、「顧客を見る、顧客の声を聞く」ことにつきると思います。
最初のニーズは、「何故この商品が売れるのか?何故このお店が流行るのか?」自分が現場を見て、体験して、人間の欲求を洞察してみることです。
そして顧客の声は、フォーマルな市場調査でなくても、先ずは「半径5mの市場調査」として周囲の人に聞いてみる。そしてVOC(Voice Of Customer)、データを活かして顧客の生の声を反映させる。顧客データから、比較的多く買われている属性を割り出し、どんなニーズを満たしているのか、そして購入時のKBFは何だったのか、ヒアリングをかけることでターゲットを深堀することが可能となります。
自身が「顧客を見る」、そしてデータから「顧客の声を聞く」、こうした現実現場主義は普遍的ですね。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント

マーケティングコミュニケーションコンサルタント。「顧客視点でのマーケティング」を信条とし、生活者の価値提供を最重要視したマーケティングコミュニケーション領域の、コンサルティング&プランニングを手掛ける。


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