堅調なアパレルEコマース
以前は食料品とアパレルがEコマースでの売上比率が低いと言われていましたが、今ではアパレルのEコマース売上は、小売Eコマース全体の約20パーセント近くを占めると見られるほど成長しています。次の表にあるとおり、アメリカのインターネットユーザーがアパレルを購入する可能性が最も高い場所は、相変わらずデパートなどの物理店舗が一番となっていますが、若い世代ほどその比率は低く、特に35歳未満の年齢層ではAmazonがもっとも高い購入場所となっています。また、Amazon + ブランドのオンライン + 他のオンラインの合計は、35歳未満では全体の50パーセントを超えており、この世代ではアパレルをEコマースで購入することにもはや抵抗はないようです。
アメリカのインターネットユーザーがアパレルを購入するだろうチャネル/場所
このように、消費者はアパレルをオンラインで購入することに慣れてきており、今後もEコマースでのアパレルの売上は年々成長するとみられます。アクセサリーも含んだ数字ですが、今年の売上高は1,184億1,000万ドル、2022年までに1,715億4,000万ドルに達するだろうと予測されています。アパレルに関しては、”実際に商品を見て、試してから購入する”というのが今までのパターンでしたが、多くのアパレル小売業者が無料発送に加えて、簡易な返品条件を提供してきていることが一つの要因と考えられます。
この返品に関してですが、Eコマースで購入した商品を簡単に返品できるユニークなサービスを提供するスタートアップがあります。2015年にサンタモニカで創業したHappy Returnsは、ショッピングモールなどにあるカスタマーサービスや店舗などと提携し、Eコマースで購入したアイテムを梱包する必要なくそのままカウンターに持っていくだけで、返品手続きを行い、さらにその場で返金もすぐに行ってくれます。実店舗をもたないEコマース専門の小売にとっても、Happy Returnsの価値は高いでしょう。
(写真はStanford Shopping Centerにある看板)
また、アパレルではサイズの不一致が返品の大きな理由となっていることから、より返品の可能性を少なくするソリューションを提供するスタートアップもあります。2015年にニューヨークで創業したPerfitlyは、モバイルデバイスや店舗でのボディスキャナーにより、適正なるボディサイズのアバターを作成し、ARと3Dを利用し、消費者がより身体にフィットした衣服の購入が可能なソリューションをアパレル小売に提供しています。
(イメージは、Perfitlyのホームページより抜粋)
JECCICA客員講師 渡辺 泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。