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二次流通がコモディティ化した今、消費者とブランドの関係性

皆さんは自分が持っている洋服の数を把握していますか。「50かな?いや100?うーん200着?そんなに持っているかなぁ?」「50着は持っていそうだけど、100着なんてそんな大量な服は持っていないだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。ましてや200着なんてとても大きい数に聞こえますよね。数字とは不思議なもので、数値化すると非現実的に思えてくるものです。かく言う私も、毎日着ている服なのに、どのくらい持っているのかまったく想像がつきませんでした。先日私は、ふと自分が所持している服の数を数えてみたくなり、クローゼットの中身を全部出して、Google スプレッドシートでリスト化してみることにしました。やるからにはリストとして機能させたいので、「アイテム 大カテゴリ / アイテム 小カテゴリ / ブランド / おおよその購入時期 / ブランド / 今後着るのか / 二次流通で買取をお願いするのか」などの項目を持つ、一覧表を作成してみました。ここで私が定義する「服の所持数」は、全シーズンのアウターやトップス、ボトムス、スーツといった日常着や、パジャマなどの部屋着、ランニングウェアやヨガウェアといったトレーニングウェアといったすべてです。常に一定数が必要な下着類(ストッキング、タイツ、靴下も含む)はカウントから除きました。結果、私が持っている洋服は約120着で、「え…意外と少ない?」というのが私の感想でした。しかし、あくまでも私の感覚なので、この120着という数字が多いのか少ないのかは平均値がよく分からないので判断がつきません。インターネットで検索してみたところでは、女性の平均は200~400着という記述もあったので、その数字が定かだとしたら、私の所持数は比較的少ないと判断できます。

二次流通で洋服の買取で体感した市場の相場
洋服の所持数を数えた感想は「意外に少ないなぁ」でしたが、それでもまだ着用率が低いと感じる洋服があったので、1年ぶりくらいに二次流通サービス(フリマアプリの方が一般的かもしれませんが、今回はWebサービスだったのでこちらの呼び方にします)に買取をお願いすることにしました。二次流通サービスは、年に一回くらいの頻度で利用しているので、今回が初めてではありません。そのため、買取価格の相場感も把握しているつもりでした。いつも利用しているZOZOTOWNの「ブランド買取サービス」で完結させたかったのですが、普段購入している百貨店ブランドのアイテムが買取対象外だったため、今回はもう一社利用することにしました。ZOZOTOWN ブランド買取サービスは、買い取ったアイテムをZOZOUSEDで販売するので、当然ですがZOZOTOWNユーザーに人気のブランドを中心に買い取ります。そのため比較的高い価格で買取してくれるように感じます(私個人の感想です)。さてさて、気になる査定結果は…というと、ZOZOTOWNの方が、もう一方のサービスよりも単価あたり10倍の高値がつく結果となりました。実はもう一方のサービスで買取を依頼した百貨店ブランドの方が、生地や縫製等の質が良く、1枚あたりの元値もZOZOTOWNで買い取ってもらったブランドの服たちよりも1.5~2倍くらいだったので、この価格を見たときは「二次流通においての需要と供給というのはこういうことか…!」という妙な納得感と同時に、少し寂しい気持ちにもなりました。しかし、一方で「だったら今度からはその百貨店ブランドは購入せず、ZOZOTOWNで高く買ってくれるブランドを買おうかな」という考えも浮かんでしまいました。

「買ったあとに売れるかどうか」で判断する若年消費者
私が勤めている企業にはインターン生が多く在籍しているので、大学生と会話することが多く、よく彼らに消費行動について質問をするようにしています。その中で毎回する質問が一つあるのですが、それは「メルカリは売る方?買う方?両方?」という質問。私は、メルカリでは買い物はせず、不用品を売るだけなので、「メルカリは売る目的の人の方が多いだろう」と決めつけていました(彼らに言わせると“売り専”らしいです)。しかし、彼らは私とは逆に「ものは売ったことはない」「買うだけ」の人の方が多いらしいのです。また驚くのは「一次流通で購入する際にも、二次流通で売れるかどうかを考慮して購入する」ということ。新品を購入し、数回着用し、フリマアプリなどで売る、そんなエコシステムが機能しているというのです。「二次流通で購入すること、古着を着ることへの精神的ハードルの低さ、抵抗のなさ」というのも彼らの世代の特徴だと言えるでしょう。私が大学生のときは、「古着は下北系のカジュアルな人が敢えて着るものであって、普通の人は新品を買うし、リユース品だとバレたくない」といった新品信仰のような考え方がまだまだ強かったように記憶しています。このような消費行動の変化が見受けられるようになったのも、二次流通サービスやフリマアプリが普及し、二次流通のプラットフォームが拡大した結果だなと、大学生とのジェネレーションギャップを常々感じながら、勉強しています。今の消費者は本当にお買い物が上手ですよね。

一方でブロックチェーンで追跡したいブランド
先日、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが、ブロックチェーン技術によって原材料や製造工程といった、流通の初段階だけでなく、いつ二次流通に出品されたのかといった、一次流通後の流通経路・過程まで追えるプラットフォームを導入するというニュースがありました。この技術によって、二次流通品であっても、商品の真贋を見分けられるようになるそうです。私は、ブランドと二次流通の関係は、対立でもあり共存でもあるのではないかと考えています。対立と表現しているのは、その製品を製造した企業ではない二次流通品を販売する企業が、その商品を売ることによって利益を得ており、その製造企業に直接的に利益を還元していないからです。また、共存と表現しているのは、二次流通市場でブランド製品の価格が上昇することにより、希少性や価値が増し、ブランド全体のブランドエクイティを高められ、結果、二次流通以外での市場=一次流通市場での利益が拡大するのでは、と考えるからです。将来、このようなブロックチェーン技術の導入が当たり前になった時、二次流通市場とサービス形態がどのように変わるのかが気になるところです。

より一層賢くなる消費者に対応するためにアパレルブランドはどうしたら良いのか
上述したように、シェアリングエコノミー市場や二次流通市場が拡大すればするほど、消費者はどんどん賢くなり、その商品をわざわざ新品で購入する価値があるかどうか、という視点がシビアになっていくと考えられます。そうすれば、「安価な値段で入手し、飽きたり不要になったら二次流通で売る一過性のブランド」と、「高価で入手困難だけど長期的関係を維持したいブランド」との二極化がますます強まるのではないでしょうか。そのうえ、フリマアプリ内で売買すれば、モノに対してお金を使っている、という感覚が薄らぐ可能性もあります。このような消費者たちと、ブランドはどう対話していけば良いのでしょうか。消費者との対話の方針を明確に打ち出せたブランドこそ、真のブランドになっていくのではと考えます。

muraishi

JECCICA客員講師 村石怜菜

株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。

日本女子大学被服学科卒。大手専門店企業で接客販売・店舗運営を経験した後、Eコマース支援企業で数々のファッションブランドのECサイトの構築や運用に携わる。現在は、ファッション専門店や商業施設へのECコンサルティングを得意としている。また、クライアント企業のオムニチャネル戦略の計画・実行を支えている。


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