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2023年 年頭所感 本谷知彦

新年あけましておめでとうございます。
当協会に携わられている全ての方々に新年のご挨拶を申し上げます。

2022年を振り返れば安倍元首相の銃撃というショッキングな事件がありましたが、それ以外にもロシアによるウクライナ侵攻、急激な円安、エネルギーコスト上昇、中国のゼロコロナ政策による混乱等、暗いニュースばかりが目立ちました。そしてそれらに起因する物価上昇が消費市場を直撃し、経済面においては企業による相次ぐ値上げが世間の大きな関心を呼んだ年でした。しかしながら日本は諸外国よりも物価上昇率は低く、小売業や卸売業がショックアブゾーバーになっていると見られます。ただしそのことはデフレという副作用をもたらします。

このような昨年の消費者市場の動きや状況を見ていると、日本に限らず諸外国も含め、外的変化に対するマクロ経済の受け身的な脆さを感じずに得ません。そもそもマクロ経済とは本来的にそういうものだと言ってしまえばそれでおしまいでしょう。とはいえ外的変化に適切に対応するためには既存のスキームを柔軟に変化させていかなければなりません。そしてそのスキームとは既存の流通構造を意味するものと私は捉えています。

メーカー、卸、小売、消費者といった順に製品が供給される形で流通構造が形成されます。日本の流通構造は①小売の実店舗網の充実、②W/R比率(小売市場規模を分母、卸の市場規模を分子とした値)が2.6と卸の存在感が強いという特徴があります。これは長年時間をかけて最適化されたものです。しかし一度作り上げた最適化の世界は永遠に継続するものではないでしょう。昨年の物価上昇はもとより長年続くデフレの状況に鑑みれば、これまで築き上げてきた流通構造が疲弊しているのではないでしょうか。

流通構造の根本的な変革こそがデフレ脱却のキーと私は考えています。かつその主役がECだと確信を持っています。2021年のEC化率は8.78%ですが、2022年は9.2~9.3%あたりと私は見ています。EC化率が低く留まっていることからオムニチャネルやOMOの議論が活発化しています。しかし流通構造に大きな変革が生じるには、もう2段階3段階上のレベルにEC化率が引き上げられることが理想と思っています。それにより有能な人材のさらなる流入、投下資本の増加、テクノロジーの発展、ビジネスモデルの進化、商材の進化等が期待できます。

EC業界にはまだできることが多く残されており、潜在的な成長の可能性を秘めていると私は信じています。ですがコロナ禍特需の反動をみると、このまま市場規模が近い将来ピークを迎えてしまうことを危惧しています。ECであってもリアルであっても売れればいいじゃないという見解がありますが、もう少しECには頑張って欲しい、そういう想いを抱いています。そのような想いを胸に、本年もEC市場の活性化に向けて微力ながら貢献できる活動を目指す所存です。

本年も皆様にとって輝かしい一年となりますことを心より願い、新年のご挨拶に代えさせて頂きます。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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