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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㉓
「直感力」から始まる、オンリーワンの差別化とは?

【差別化の意味】
「差別化」という言葉は、ビジネスやマーケティングの世界で頻繁に使います。私もいままで長年、クライアントさんの依頼に対して、外部環境である「市場と競合」、そして内部環境である「自社」の現状を把握し、「市場機会と問題点」そして「課題」をひも解いて、基本戦略とコミュニケーション施策を提案してきました。つまり市場のニーズを満たし、競合と比較して優れている、自社の強みを活かせる「差別化のポイント」を導いていたのです。
しかし同一市場、いや、正確に言うのであれば「同一業界」の差別化は、特に日本のような成熟・飽和した市場では、意味をなさないと最近つくづく思います。

【カップラーメンの競合は?】
私は20代の頃、広告代理店の営業で、大手即席麺メーカーを担当していました。「即席麺業界」のシェア№1は当時も日清食品でした。従って「カップヌードル」に追いつけ追い越せと新製品開発を行い、市場導入の広告やプロモーション企画を考えていました。
当時カップ麺のメイン顧客は、高校生を始めとしたティーン・エージャーの男の子。彼らは放課後に晩御飯まで待てない小腹を満たすため、コンビニエンスストアでカップ麺を購入していました。そんな彼らは「小腹を満たしたい」と思った時に、カップ麺の他、おにぎりやサンドウィッチ、あるいはマクドナルドのハンバーガーと言った中から、その日の気分で選んで食べます。

【【市場の定義とニーズを満たすコンセプトの重要性】
カップ麺をメーカー視点で捉えると、「即席麺市場(即席麺業界)」として、同業の競合を捉えて他社と差別化を図り、シェア争いをしますが、顧客側から市場を定義すると「‪3時の小腹を満たす市場」であり、そこにはカップ麺以外に他業界のモノが競合として存在していたのです。つまり「真の市場」とは、顧客視点で捉えて考えることが非常に重要です。‬‬
このケースから分かるポイントは、以前お伝えした顧客ニーズである「不の字探し」と、「何を求めてどうなりたいのか?」という、顧客の本当のニーズ把握が、先ずは大切であると整理出来ます。その上で、同一ニーズを持つ顧客を特定して、どんな顧客の価値を満たすのか。つまり「どんなコンセプトを提供するのか?」が重要であることが伺えます。

【オリジナリティのある差別化とは?】
基本的にマーケティングは差別化が必要です。しかし、それは同業他社との差別化では、冒頭にお話しした「成熟・飽和市場」の日本国内では、意味をなさなくなっています。
顧客視点、このケースであれば「‪3時の小腹を満たす市場」での差別化であり、もっとわかりやすく言うのであれば、「オリジナリティ」を提供することです。‬‬
同一業界だけを見て、僅かな「顕在ニーズ」しか読めない調査やデータから、論理的にマーケティングで差別化を実行しても、その結果は「金太郎飴」のように、顧客から見ると同じような商品が世の中に出回ることになります。更に言えば、売り手視点で過剰な差別化を行うと、顧客が使いこなせない、分からない、技術力優先の「オーバースペック」な商品になってしまいます。それらを繰り返すうち、同一ニーズを満たす代替品に顧客を奪われることは多々あります。

【固定観念に捉われないマーケティングを実践】
こう考えると、これからのマーケティングは、固定観念に捉われた「顕在ニーズ」の範囲内では何も変わりません。特にライフシフト人生100時代と言われ、社会の流れや人間の価値観が変化しようとしているこれからは、今までにない「潜在ニーズ」喚起による市場創造が必要です。
そのためには、社会環境の流れやテクノロジーの進化を踏まえ、マーケティングを行う当事者の「直観力」を活かすことが重要であり、そこから「同一業界での差別化」ではない、新たな顧客視点と切り口のコンセプトで、「世の中のオンリーワンを提供する差別化」を行うべきです。
そこで「直観力」で思い出すのは、私が親しくさせて頂いている、日本文化ジャーナリストの中谷比佐子先生から聞いた話で、日本人のDNAとも言われる「あなうれし、あなおかし、あなたのし」です。
つまり「嬉しくて、可笑しくて(興味深くて)、楽しい」とマーケター自身が思えて、顧客に提案できる。こうした右脳ベースの発想、あるいは妄想が、ますます大切な時代であり、それが競争相手のいない、未開拓の市場創造につながると思います。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント

マーケティングコミュニケーションコンサルタント。「顧客視点でのマーケティング」を信条とし、生活者の価値提供を最重要視したマーケティングコミュニケーション領域の、コンサルティング&プランニングを手掛ける。


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