ソーシャルコマース
ソーシャルメディアプラットフォームのいずれかを介して商品やサービスの購入オプションを提供するソーシャルコマースの利用が増加しております。アメリカにおけるソーシャルコマースの売上は、次のグラフにあるとおり、対前年比約30パーセントの成長を続け、来年には500億ドルを超えると予想されています。この傾向は世界的なもので、ソーシャルコマースの世界における市場規模は2026年まで年間成長率29.4パーセントにより1兆9,485億ドルに達すると予想されています。
ショッピングの利便性やスマートフォンの利用拡大により、ソーシャルコマースの需要はより拡大が見込まれ、今では多くのEコマースベンダーが自社商品やサービスをソーシャルメディアプラットフォームで公開しています。ソーシャルメディアプラットフォームは、ソーシャルメディアの持つコミュニティにおいて、ユーザーが商品等に関連するフィードバック、感想、評価など他者にとって興味深い投稿をシェアすることから、ソーシャルメディアプラットフォームはEコマース企業が新しい顧客へのリーチや顧客との深いエンゲージメントを実現するのにも役立ちます。また、企業とユーザーの間に仲介者が関与することがありませんので、価格設定も柔軟です。その結果として、ソーシャルコマースは勢いを増しており、この傾向は今後も続く可能性が高いと思われます。
ところで次にあるとおり、この数年ソーシャルメディア企業による積極的な提携や買収が行われておりますが、これらもソーシャルコマースの成長を支える側面として考えられます。
• FacebookがオムニチャネルのSaaS CRMプラットフォームのKustomerを買収
• Etsyが新品、中古、ビンテージ音楽機器のオンラインマーケットプレイスであるReverbHoldingsを買収
• PinterestがShopifyと提携し、カタログの取り込み、タグのインストール、プロダクトの毎日の自動更新、広告購入インターフェースなど一連のショッピング機能をShopifyのPinterestアプリに搭載
• PinterestがSmartCommerceと提携し、Pinterestユーザーが商品をショッピングカートに容易に追加可能
• PayPalがInstagramと提携し、Instagram内で直接大手Eコマースプロダクトの購入、追跡、購入管理が可能
現在、1997年から2015年生まれの”Z世代”と言われる若い世代に圧倒的に人気のあるTikTokは、この世代にアプローチしたい企業にとっては無視できない存在となっていますが、そのTikTokも昨年12月にウォルマートと提携し、TikTokのクリエイターがウォルマートで見つけた服を試着し、フォロワーがイベント中に商品をタップしてカートに追加することができるライブストリームショッピングを行なっています。
JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。