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シニア50代でも20代の自分越え!「50代からの働き方革命」2

■「インプット」なら簡単にスピードアップできる
老眼も進み、そろそろ体力の無理も効かなくなってきた・・・、それでも昔以上にバリバリ仕事がしたい。そんな50代以上のナイス・シニアにお届けする本連載「50代からの働き方革命」第2回目です。

前回は、いわばシニアのための「音声コンピューティング入門:アウトプットの基礎編」といった内容でお届け致しました。タッチタイピング絶頂期だった20代の自分をも凌ぐハイスピードで、もっと大量に、もっと正確にコンピュータに文字入力してゆく、老眼世代でも絶対できる方法をご紹介しました。

要(かなめ)となるのは「音声入力」と「リアルタイム・テキスト化」です。つまり自分の声で発した言葉を、いかにリアルタイムで次々と正確にテキスト化するかに焦点をあてました。今回の記事は、さらにパワーアップしてほぼ70%近くは音声入力そのままの文面になっています。

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〆切間近になっても本稿の推敲で悩みながら、徹夜明けの日の出の元、散歩しながら音声入力にいそしむ筆者

ちなみにこの記事の内容にご興味を持たれた大学の先生がいらして、飲み会の席で実際に実演させていただいたところ「知ってはいたけど、こんなに速くて正確だったとは・・・執筆がはかどりそうです」とのお声もいただき、まだまだお役に立てそうな情報なんだな、と実感した次第です。

■インターネット上の文字を、音声で『読み上げ』させるには
今回は、音声による「情報のインプット」基礎編です。大量に、正確に、かつ、短時間で、インターネット上の情報を音声で収集してゆきます。
私たちの頭を悩ませている日々のPCワークのひとつに、大量の「メール処理」があるはずです。最近では、メールだけでなく、「Facebookグループ」「メッセンジャー」「チャットワーク」「Slack」「LINEグループ」などなど、情報ソースはあちらこちらに分散し、複数の情報メディアを横断的に読みこなし、適切に返信する必要があります。
ただ頻繁なメールチェックは「作業の中断」を引き起こしますし、かといって、ミーティングで数時間メールチェックしなかっただけで、あっというまに「未読のヤマ」発生です。

図:voiceEntry.JPG

筆者のiPhone画面に居座る大量の未読メール

まず、この未読のヤマを片っ端から「音声」で読み上げさせます。かといって、全メールを片っ端から読み上げるのではなく、重要なメールだけ、受信したらリアルタイムに「耳でチェック」しておくわけです。返信するのはそのアトでも良いでしょう。

■現段階での最強読み上げツール「Zeeny」
スマホに届いたメールやメッセージを「音声読み上げします」と謳った商品は、過去いくつかありましたが、スリープ状態では通知しなかったり、実際には日本語環境では動かない、など、看板に偽り「あり」といった商品も多かったため、挫折された方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ナイス・シニア現役化プロジェクトとして、へこたれずにチャレンジした結果、現時点でオススメできるのが、ネイン社の「Zeeny」シリーズです。 

図:voiceEntry.JPG

本原稿の提出直前に発表された新タイプ:Zeeny TWS

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「歩きスマホ、さようなら」で2018年に発売された 初代Zeeny 

もともと、ネイン社の創業者である 山本 健太郎 氏はオンキヨーグループのパイオニア社出身の技術者ということもあってか、パイオニアとの共同開発したとされているので、パイオニアブンランドのヘッドフォンもいくつか対応しているようです。筆者も、いくつか購入して比較してみましたが、トータルバランスでは、ビジネス向けといえるのは、ネイン社の製品に軍配があがります。ソフトウェア自体はほぼ同じ構造のようです。

ちょうど2019年6月26日、本原稿の提出直前に、新タイプ:Zeeny TWS が発表されたので、まだ手に取っていませんが、旧タイプの不満を払拭してくれそうで期待しています。マイク精度がやや不安ですが追って又レポートして行きたいと思います。

この製品は、現時点で唯一、スマホがスリープ状態でも、メールやメッセージが着信したと同時に、件名と本文を読み上げてくれる日本語環境に対応した製品です。
とかく、文字と画像は、可処分時間を拘束されがちですが、音声読み上げなら、作業しながらチェックができます。

特にメールに関しては、Gmail、独自ドメインならGsuiteを使っておけば、面倒なメール仕分けルールに時間を割かなくても、機械学習が自分にとって重要なメールだけを区分して受信してくれます。このような設定を活用して、メールボックスを整理しておけば、あとは必要なメールだけが読み上げられる、というワケです。

その他のメッセージアプリ、たとえば、チャットワークなどは本文を読み上げてくれないので、一見すると正直使い物になりませんが、次回ご紹介する方法を使えば、自分宛に届いたチャットワークを、ほぼリアルタイムに本文を読み上げてくれます。

■音声読み上げなら、アップル一択
ここで問題になるのが、アップル(iOS)かグーグルか(アンドロイド)という選択肢です。結論から言うと、Zeenyでメール本文を読み上げたいなら、アップル一択です。筆者の手元のアンドロイド機では、本文を読み上げることはできませんでした。ここはもう少し機材を取り寄せて研究してみます。
補足しておくと、音声入力については、古くからBaido(バイドゥ)のクラウド変換サービス「Simeji(しめじ)日本語入力」というアンドロイド向けアプリが若年層を中心に普及したため、巷ではアンドロイドのほうが音声コンピューティングに向いている、というような記事も多く見かけますが、2019年に入ってからはアップルが、日本語環境でも猛攻を見せ始めています。筆者も、アンドロイドとiOSの比較検証を定期的に行っていますが、2019年6月現在では、完全にiOS一択となりました。

■10年続いた「マゴセイギ問題」が改善
そのひとつには、マゴセイギ問題があります。iPhoneでは二本指で上から下になぞると、画面上のテキストを音声で読み上げてくれる「スピーチ」という機能があります。これでKindleやメール一覧なども「一定の箇所まで」は停止すること無く読み続けてくれるのですが、問題がひとつありました。日本語読み上げの精度です。個人的に当初から残念に思っているのが「孫正義」を「マゴセイギ」をiPhoneが読み続けてきたことです。孫さんと言えば、日本にiPhoneを持ち込み普及させた立役者といっても過言ではありません。アップル公式ニュースの履歴から、iPhoneに音声読み上げが実装されたのが2009年6月9日以降なので、約10年間、この「マゴセイギ」状態は放置されてきたことになります。

もちろん、特定の文字の「読み」を単語登録して読み上げさせる設定を使えば良いのですが、日本語環境の優先度や、辞書そのものの精度を推しはかる一つの指標として、筆者は毎月チェックして「いつ、マゴセイギ問題が解決するのか」とずっと心待ちにしていました。

一方で、音声入力や読み上げツールの中でも、GoogleドキュメントやShimeji の変換精度が高い、と評価されている理由の一つに「ソーシャルIME」や「クラウド変換」というしくみがあります。どういうことかというと、ユーザが音声で入力した内容は、インターネット上に送信され蓄積されており、そうして集まった豊富なデータを元に機械学習などによって精度を高めているわけです。自分のスマホやPC内で変換されているわけではありません。

アップルは2019年6月に開催された開発者向けイベントのWWDCでも、繰り返し「私たちはユーザの情報を取得していない」ことを強調していました。GDPRなどプライバシー保護に配慮した発言だとは思いますが、この日も私のiPhoneは「マゴセイギ」と読み上げていました。

ところが、WWDCから数日経ったある日、いつものように「マゴセイギ・チェック」を行っていたところ、「ソンマサヨシ」と読み上げるでは無いですか。もちろん、音声読み上げ辞書にはいつものとおり敢えて登録していません。これでマゴセイギ問題も終焉です。

一事が万事、とまでは言い切れませんが、実際の使用感でもアップルの音声コンピューティングの日本語環境での使い勝手は指数関数的に向上しています。前回ご紹介したiOSで動く音声メモアプリ「Speechy」も、改行や句読点の精度も上がってきました。

少なくとも、「大量の未読メールを読むのがつらい」という日々にはサヨナラできていますので、ぜひ皆さんも、ナイス・シニアのワーク環境にトライされてみて下さい。
次回はさらに快適な環境を整える「中級編2」へと続きます。

JECCICA客員講師

株式会社ISSUN 代表取締役 宮松利博

1993年、独自に開発した顧客管理システムで営業業績を伸ばし、1997年システム売却。1998年、インターネットに公開したフリーウェアがヒット。そのヒット要因を解析するツールを開発(現在のGoogleアナリティクスの簡易版)し、2000年からECで活用。EC立上げ初年度で月商1億円に急成長するも数年後に上場失敗。2003年、学校前のパン屋を拠点とした新たなECを3年で年商20億円に成長させ(現ライザップ)、2006年株式上場と同時に保有株を売却、海外視察の後、2011年「小よく”巨”を制す」を掲げ、株式会社ISSUN立上げ。WEB/ECの運営・制作・コンサルティングで、業界No.1に成長するクライアントを多数抱える。2017年には、EC業界と大学との連携強化を目指した JASEC 日本イーコマース学会を数名で立ち上げ奮闘中。


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