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サスティナブルを“楽しむ” 継続を思う故の言葉

サスティナブルは「楽しむ」
最近、「サスティナブル」という言葉が一人歩きしているけど、大事なのは「それを継続していくこと」。特に女性は未来に向かって大事なことだから「本能的に」それをわかってやっているのかもしれないなと思った。

最近、岡山にある「くらしきぬ」というブランドの話を聞いて、それは「はらぱん」というお腹からお尻までをカバーするインナーに関する話だった。職人のこだわりがあるから品質基準が高く、それが逆に規格外品を生んでしまうのだという。

規格外品なので、それらは売ることはできず廃棄される。しかしこのブランドは敢えてそれを定価で売りはじめた。ただ勿論、定価にするために付加価値をつけているわけだけど、それはダーニング用品を添えて販売したのである。

素材を労わる気持ちが連鎖する
ダーニング?そう思った人もいるだろうが、これは靴下や衣類の穴あきを修繕することだ。ダーニングマッシュルームという商品も存在し、彼らはその規格外商品となった「はらぱん」とそれを一緒に入れて、定価で販売する。

なにも「はらぱん」をそれで補修するというわけではなく「はらぱん」自体は規格外と言いながらそのまま、使える仕様。彼らが意図しているのは、家にあるそういう穴あき靴下などを直してくださいね、というメッセージなのである。

僕が注目したのは、広報 佐藤文子さんの言葉で「サスティナブルは『楽しく』やらなければいけない」という言葉。『楽しく?』正直、地球が抱える深刻な問題と言った雰囲気はまるでなくて「なぜ?楽しく」と聞くと「そうでなければ継続できないですよね」と笑う。

鉛筆を楽しく見せてサスティナブル
実は同じことを言っていたのが、レトロバンク代表取締役 中村真衣子さん。彼女は鉛筆を販売していて、その鉛筆というのは先にカプセルがついている。なんと、この中に種子がはいっているのだ。

だから、この鉛筆のカプセル部分を下に植木鉢に植えると、そのまま、バジルやひまわりなどの花が咲き、鉛筆部分はそのまま、土に帰っていくという商品。今や世界80カ国以上、3000万本売れているそう。

奇しくも同じことを言っていて、それが「楽しく」。だから鉛筆が植木鉢に刺さっているという違和感にこそ、人の興味を惹く大事な要素がある。「子供などはすごく深い関心を持って眺めていますよ」と。

余談だが、鉛筆は「木」と「粘土」と「グラファイト(黒鉛)」しか使っていなくプラスチックの類は一切使っていないので、実はエコ商材。しかしながら短くなると捨ててしまうので、そうはさせまいとこの商品が生まれたというわけなのだ。

自社ECで気づきを与えて企画を生み出す
サスティナブルがだからこそ嫌味がなく一緒にやっていこうという気持ちになる。この辺の感覚は、ショッピングモール慣れした商売人と、今のD2Cと言われる文脈とでの違いに通じるところではないかとも思う。

以前、若干25歳の加藤ジーナさんが「miss♡gina」という通販を展開していて、話を聞かせてもらったが、彼女もまた、カーテンなどの素材で余ったものをベースに様々な廃材を掛け合わせ、エコバッグにするなどのアイデアを発揮している。捨てられるはずだった価値を生まれ変えさせたわけだ。

元々ジーナさんがタレントとしてテレビ出演経験もあって、自分で通販をやってみたほうが良いという後押しを受けた。ただ、これも「売る」ことよりもメッセージを伝えるために通販を「手段」としていることに注目したい。

今、通販に必要なのはそういう商品を通したコミュニケーションなのではないかと思うし、もしサスティナブルを謳うなら普段からそれができているかが大事ではないか。

新たな企画も過去の企画の伏線の上に
 図らずもさきほどの「くらしきぬ」の場合では、そもそも「ひえとり靴下」で脚光を浴びた会社である。冷え性の女性を意識して、重ね履きの靴下を作ったわけだけど、世の中にはいいものがないと言って、中身の素材にシルクとウールをメインに据え、それが支持された。

 シルクは一般的ではあるけど、ウールが珍しい。でも彼らがこだわったのは、シルクは汗を吸い込む素材だから、ウールの特性で足から出た汗などを外に送り出そうという発想。それを交互に重ねることで素材の価値を生かす、それを切々と説いたのである。

 結果、その姿勢は約10年の時を経て、さきほどの「はらぱん」の規格外商品の企画にも通じていて、素材への想いがあるから、その素材の価値を無駄にしない、という部分で一致している。だから、お客様もこの規格外商品での姿勢に理解があるわけで、直結している。

 女性の「無理なく」商品を通してお客様とその価値観を育んでいく姿勢。これは本質的で、実はすごく学ぶべきであるようにも思う。「楽しく」ではないが、長く繋がれることを前提とした価値観こそが大事で、売ろうとするほど、売れなくなる時代かもしれない。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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