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消費者直結ビジネス

製造ブランドと消費者の接点は、従来は小売業者をはさむ間接型が中心でしたが、インターネットおよびソーシャルメディアの普及により、Eコマースを通して製造ブランドが消費者に直接販売やマーケティングを行う”Direct to Consumer-DTCもしくはD2C”が 普及してきています。このことは、以下IABのレポートから抜粋した各商品や業界にお けるこの数年間でのデータからも明確です。

– 髭剃り:
アメリカの男性用髭剃りのマーケットシェアは、Gilletteが2010年の70パーセントから2016年には54パーセントへと減少。一方、DTCで有名なDollar Shave ClubとHarry’sの合計シェアは2015年の7.2パーセントから2016年は12.2パーセントに上昇。

– コンタクトレンズ:
J&J Accuvueが対前年比8パーセント上昇、Baush & Lambが6パー セントの上昇であるのに対し、DTCのHubble Contactsは毎月20パーセント上昇。

– ペットフード:
アメリカのペットフード市場は2018年4.4パーセントの上昇と推定され ているが、DTCのFarmers Dogの売上は毎月平均40-50パーセント上昇。

– マットレス:
DTCオンラインブランドの市場シェアは2016年5パーセントから2017年は10%以上へと上昇。

DTCブランドの人気の高さの理由はさまざま考えられますが、
1 製品や商品の利便性の高さ
2 従来の有名ブランドよりも低コストによる低価格性
3 透明感のあるサプライチェーン
が消費者にとって大きな魅力となっているようです。利便性に関して、全体の27パーセントがDTCブランドを従来の店に行くよりも簡単に購入できると認識しており、主要な動機となっています。

特に、この考えは高齢者の間でより一般的で、DTC商品の購入動機に関してミレニアルズ世代の17パーセントが利便性をあげているのに対し、56歳以上は26パーセントとかなり高い数値となっています。

また、髭剃り、コンタクトレンズ、ペットフードなど使用サイクルが短かったり、リピート購入の高い商品をサブスクリプションタイプで提供するブランドも多く、ここでも購入の利便性を感じられます。

他に、ソーシャルメディアを利用したスマートな広告キャンペーン、オーガニックあるいは環境に優しい成分の使用、などもDTC人気の高さと考えられます。

DiffusionとYouGovが2018年8月に行ったDTCブランドに関する調査によりますと、アメリカのインターネットユーザーの81パーセントが、今後5年間にDTCブランドから少なくとも1品目を購入するだろうと回答していますので、DTCは今後も継続成長するものと思われます。

DTC

ただし、DTCブランドが今後改善すべき分野も考えられます。アメリカのインターネットユーザーの間では、DTCブランドは従来のブランドと比較してパーソナライゼーションと顧客サービスが劣ると考えている人も多く、これらが今後の改善項目と思われます。

ところで、多くのDTCブランドはEコマースでの成功の後、物理的な店舗への展開を行っています。メガネブランドのWarby Parkerは、消費者が直接メガネを試すことができるインタラクティブな店舗により、Eコマースの効率性が向上する可能性があると認識し、現在アメリカの29州とワシントンDCに89店舗、カナダに3店舗を展開しています。

また、Walmartは、The Limitedからスピンオフしたプラスサイズのファッションブ ランドEloquiiを昨年1億ドルほどで買収しました。EloquiiはEコマースからスタートし、デトロイト、シカゴ、マイアミ、ヒューストン、ワシントンDCに物理的な店舗も 持っており、Walmartによる買収は、伝統的な小売業者もDTCブランドの価値を認識し始めている証とも考えられるでしょう。


JECCICA客員講師 渡辺 泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


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