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日本人よ海外から攻め込まれるぞ(ECの話です)

日本人が売るのではなく買うことを想定
海外と商売のやり取りをする。そういうと殆どが、海外のお客様が日本のECサイトにやってきた時のことを考えます。つまり「越境EC」を思い浮かべることでしょう。でも、ボトルシップコンサルティングという会社は、その逆をいっていて面白い。代表取締役 佐山陽介さんに聞かされて「なるほど」と思ったんです。

まず、それを考える上で「越境EC」を改めて定義しましょう。
皆さんには釈迦に説法でしょうが、「越境EC」は「販売者」が日本の企業であり「購入者」が海外の方々です。しかし、佐山さんたちがやっているのは、繰り返しますがその逆です。つまり「販売者」が海外企業で「購入者」が日本人だというのです。

要は、海外の企業は日本で事務所を立ち上げ、そこで日本人を対象に○○ジャパンという形で、国内でECサイトを立ち上げる動きがあって、彼らはその支援をしています。

日本のマーケットは魅力的?
「それって利点があるのでしょうか?」
思わず、僕は聞いたのです。なぜなら、日本はご存知の通り、経済的にも貧しくなり、人口が減少しているからです。マーケットとしてそんなに魅力的だと言えるのでしょうか。しかし、そこが盲点なのです。

見るべきところは日本の「物流」だそうです。日本人はこの点、無意識だと思います。海外では想像以上に、盗難が多いのです。佐山さんの話によれば、海外企業は、少なくとも売れた分の3割程度、盗難の覚悟をしているのが当たり前だと言います。

というのも「置き配」が前提となっているからです。それも日本のように宅配ボックスなどが完備されているとは限らない。庭に放り投げたりすることもあるから、当たり前に盗難が生まれやすくなっているというわけです。

日本ではまず、そのようなことは考えられませんよね?そう佐山さんは言います。つまり、海外企業にとってみれば日本のマーケットは「費用対効果が高い」という意味で魅力的なのです。商品を買ってさえくれれば確実にお客様のもとに届いて、それが売上になります。

日本を熟知する日本人に委ねて挑む本格進出
そういう着眼点で彼らは、早くから支援をしていたのです。そこにコロナ禍がきて、そのオファーに拍車がかかることになります。

そもそも海外の事業者が日本にいないし、事務所やECサイトを立ち上げることができません。最近は大使館などからその事業の中身を知って、問い合わせを受けるそうです。かくして彼らがやりとりしている海外の企業数は右肩上がりです。

改めてよくできた仕組みだと思うのは、海外の人にとって「結局、日本のことがわからない」ということです。例えば、ボトルシップコンサルティングは海外企業に対して日本企業と同様に、検索ボリュームなどを提示します。ところが日頃、海外企業の人たちは日本語を使っていない以上、敏感にそれを感じ取れないのです。

一方で、佐山さんたちは英語を使いこなしますからやりとりはできます。英語を使って、日本の実態を踏まえ戦略を立てて、共有していくうちに信頼度が高くなって、任される度合いも大きくなる。日本人であることの強みが、英語を話せることによって最大化されているわけです。

日本人が危機感を持たなければいけない理由
さてこの動きを通して僕が思うことは、日本のECサイトが危機感を持たなければならないということです。ボトルシップの取引先にはスポーツ用品メーカーがいて、例えるならサポーターなどを展開しています。

サポーターであれば、日本でも出しているじゃないですか?

つまり、うっかりすると日本で普段売られているものと似たようなジャンルで展開されて、日本のメーカー品よりも大ヒットする可能性があるということなんです。

ルクセンブルグなどはものづくりで定評のある国だといいます。

しかもそれらの人たちには、国に垣根があるという概念がありません。ヨーロッパを見れば分かる通り、国と国とが同じ大陸で一続きですから、日本にもその感覚で“攻め込んでくる”わけです。

それに対して日本企業はどうでしょう。日本の中での争いに終始していませんか?島国ゆえに海外とは垣根があると勝手に思い込んでいます。その差が命取りになるでしょう。

佐山さんは言います。海外企業であっても日本と同じ土俵で、ローカライズをして戦略を徹底すれば、間違いなく良い商品であれば売れます。世界は一つなんですと。だから今一度、日本企業も、たとえ売り先が国内マーケットであったとしても、その意識が必要です。もう少し踏み込めば、海外で売れる戦略を組み立てる必要性があります。

なぜなら、本当にボーダレスに良い商品が飛び交う時代がすぐそこまできているからです。その備えをしないと間違いなく“攻め込まれて”自分たちの立場を失うことになるでしょう。備えあれば憂いなし。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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