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事業成長と同じくらい魅力的で、そして難しいこと

今日は人と採用にまつわるお話をさせていただきたいと思い、今年に入り密度が高く、数多くのITやECそしてスタートアップ企業の創業者や役員陣と普段より話す機会に恵まれてそこで感じたことです。

僕は事業を立案したりグロースさせるサービスサイドの人間ですが、人事に関しても同じくらいのウェイトで関わってきています。事業は人が創るのでその入り口になる人事(採用)は特に気にかけています。

各社のボードメンバーと話をしていると、手がけている事業のジャンルを問わず「優秀な人の採用がとても難しい」と語ってくれました。

エンジニアは長年争奪戦ですが昨今、転職市場自体もバブルです。特にミドル層の市場が熱く、経験豊富ないい人が市場に多く出て報酬も上がる傾向にあり、採用される側はチャンスに恵まれています。逆に企業側も現状を打開したり次のフェーズに進むためにいい人を探しているので、マッチングできれば強力な人材を確保できます。名だたる日本企業も中途採用を精力的に続けています。

ただ、この”いい人”の基準が難しい。

前職で優秀だった人が今回も優秀とは限らないのです。逆に過去にパフォーマンスを発揮できなかった人が今回は優秀な人材になる。これは本当によく起こります。
この判断基準が難しい。

優秀な人を招き入れても企業がまだそのレベルに達していない、いわゆるオーバースペックになり逆にお互いの損失になる場合もあるし、前職ではパフォーマンスを発揮できなくても、今回は企業とのフェーズ感がシンクロし生き生きと企業の中心人物にのし上がる場合もある。

僕は性善説的に”活躍できない人はいない”と思っています。自分の釣竿を垂らす位置と社風さえ合えば誰でも花開く場所はあるはずです。

中途採用方法は登録制、エージェント、そしてリファラルが主になるかと思いますが、コロナ禍を経て面談する主な手段はzoomやmeetなどのオンライン。お互いだいぶこの環境に慣れてきているとはいえ、画面上で人の判断をするのは難しいですよね。でもこの初期段階が肝心です。

今回EC企業を中心に色々な方達との対話中で一番多く話したのは、
①担当エージェントとのコミュニケーション
②人を判断するときの自分達の立ち位置
この2つでした。

①については意外とないがしろにしている企業が多いです。採用に関して任せすぎだったり、報連相が少なすぎていたりする事がわかりました。

WEBだけの情報だとなかなか全体像をイメージしにくく、エージェント紹介で「◯◯の会社」とだけ聞かされているとせっかく素敵な企業でも小さくまとまって見えてしまう。特にスタートアップは激務の割に知名度が低いので外部の広報活動は頼りになる存在です。

エージェント側も担当する企業のサマリーは分かっていても、課題がイメージが出来ないと応募者に対して魅力的に語りきれない。彼らはプロです。大体のことは上手くこなしてくれますが人間なので好き嫌いもあります。自分達に一生懸命説明してくれる企業はより応援したくなりますし、連絡が早ければ信頼度も増します。逆に、せっかくいい人をアサインしても面談決定まで時間がかかったり、その後のフィードバックが遅れると、エージェント側でも応募者との間で信用性のリスクが高まります。自分達が出来ない領域をせっかく任せているなら日々忙しくても報連相は大切にしたいものです。

②については、優秀さが絶対条件ではないという話をした時に「確かに・・」という声が上がりました。

どんなに採用に力を入れていても、”今の企業フェーズだとオーバースペックが集まって期間の損失に繋がるリスクが高い”という時があります。特にオープンポジションでの募集に多いですが、成果を期待し高い報酬で雇ったものの、実力を発揮し活躍してもらう場がなく、短期間で会社を去る事になる事例をたくさん見てきました。なので、優秀な人より ”事業理解度がそれなりに早くコミュニケーション豊かな人の採用” が合ってる場合も多々あります。

実績優秀な方は即効性と実現性が高いので、過去の経験と自信により即日剛腕をふるうケースがありますが、ハレーションが起こる可能性もあります。

”過去と今のスタッフとサービスをリスペクトしつつ、人が付いてきて、いいタイミングで腕をふるえる人”。創業数年を経たベンチャー企業においてはこれができる人が採用に最適なケースがほとんでです。僕も過去にポートフォリオの高さから即剛腕をふるう人材を雇い入れましたが、会社全体が壊れ大失敗した苦い経験があります。

個人的には、エージェントが事業ミッションとカルチャーを丁寧に繋ぎつつ最適な人材をアサインし、組織の骨子がしっかりしてきたタイミングでリファラルで優秀な方を採用できるように進めるのが正解かなと感じています。ご参考の1つになれたら幸いです。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 恩蔵 優(おんぞう まさる)

得意分野 / 大中小規模コマース運営、事業創造、越境EC、グローバル物流、HRBP人事
1976年生まれ、日本大学法学部卒業。 起業やIPOを複数経験し、スタートアップから大企業まで第一線で戦い抜いてきながら小規模ながら個人投資家としての側面も持ち合わせる。
(株)ネットプライスをきっかけに2005年からEC界に入り、ITに物販の知識を組み込み、バイヤー及びマーチャンダイザーとして注目される。
その後広告代理店・アパレル・EC・グローバルSNS企業等のMGR・CxOを歴任。
オンライン・オフライン関わらず20年以上モノに関わり、国内仕入れから越境ECまで熟知するマルチプレイヤー。


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