ホリデーシーズンにおけるEコマースの大躍進

Adobe Analyticsによりますと、今年のサイバーマンデー(11月30日)の売上は、昨年の94億ドルから15.1パーセント増加の108億ドルに達し、アメリカ史上最大のオンラインショッピング日となったそうです。
また、11月27日のブラックフライデーは、Eコマースの売上が2019年の74億ドルから21.6パーセント増加の90億ドルとなり、ブラックフライデーにおける過去最高のEコマース売上を記録しました。
11月1日以降のいわゆるホリデーシーズンにおけますEコマース売上は2019年より9日早く1,000億ドルを超えています。ただし、Adobeが10月に発表したレポートでは、サイバーマンデーは前年比35.3パーセント増の127億ドル、ブラックフライデーは前年比39.2パーセント増の103億ドルと予測していましたので、両日とも当初の予測より低い実績となってしまったのは新型コロナウィルス感染の第三波の影響があったと思われます。
また、ホリデーシーズン全体(11月1日から12月31日)の売上予測も、当初の1,891億ドルから1,840億ドルに下方修正されていますが、グラフにあるとおり、それでも前年比30パーセント近くの上昇で、過去と比較してもほぼ倍の伸び率となっています。

(11月1日～12月31日のオンライン売上高、Adobe Analyticsのデータをもとに作成)

ところで、新型コロナウィルスのパンデミックによるロックダウンの影響で、今年の春以降、オンラインで注文し、店舗の外で受け取るカーブサイドピックアップサービスの利用者が急増していることは今までのレポートでも何度かご紹介しておりますが、その傾向はホリデーシーズンでも続き、大手ショッピングモールでもピックアップ専用の駐車スペースが広く設置されています。今後も、地域的なロックダウンによるさらなる混雑や潜在的な出荷や配送の遅れを回避するため、この傾向はさらに継続すると思われます。

今年の傾向としてもう一点言えることは、ブラックフライデーがより概念的な意味合いになってなってきている点があげられます。もともと、11月第４木曜日のサンクスギビング祝日を家族ですごし、翌日の金曜日早朝から各店舗で行われる大型セールに大勢の買い物客が繰り出すことからブラックフライデーと名付けられているのですが、この数年に渡り前日のサンクスギビングから店舗をオープンしてセールが行われていましたのですでに年々形骸化してきてはいましたが、今年はパンデミックの影響でサンクスギビングは実店舗を完全に閉め、オンラインにフォーカスする小売が増加し、さらにセールも数週間前から行われています。SensormaticSolutionsのレポートによりますと、今年のブラックフライデーは、実店舗のトラフィックが昨年と比較して52パーセント減少したということです。また、調査会社Global Data Retailの推定によりますと、9月からサンクスギビングの週末までの総小売売上は前年比2.1パーセント増の625億ドル、Eコマースの売上は48.3パーセントの増加であったのに対し、実店舗での売上は8.6パーセント減少しています。Eコマースの全体の売上に占める割合も、前年の18.7パーセントから27.2パーセントへと上昇しています。

最後にAmazonに関して見ますと、Adobeの推定では、サンクスギビング 51億ドル (前年比22％増)、ブラックフライデー 90億ドル (前年とほぼ同)、サイバーマンデー 108億ドル (前年比15％増)の売上となっており、相変わらず好調です。パンデミックでは特に中小小売への打撃が大きいと言われていますが、Amazonのプラットフォームを使用する中小企業のブラックフライデーとサイバーマンデーの期間の売上が前年比60パーセント増の50億ドル近くとなっており、Amazonの貢献度大と言えます。