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2021年 年頭所感 笹本克

不謹慎な物言いかと思いますが、私は少しワクワクしています。明らかに世の中の価値観が変わりました。ビジネスのルールが変わりました。“変わり始めました“ではなく、既に「変わった」はずです。ただ、どの様に/どの方向に変わったのかについては、まだ誰も「はっきりとは」気づいていないはずです。どちらの方向にどのように動けば良いのか全員が模索中。そんな状態の真っただ中にいると思います。
同時に今年は最高レベルのチャンスであり危機であると思います。感覚値では危機が8でチャンスが2ぐらいの感。ヤバさとワクワクが同居しています。従い、今まで通り「おめでとうございます」とは言ってはいられないのです。もしかすると明治維新レベルの変化を経験しているのではないかと思うぐらいです。

つぶれないはずの大店や両替商があっさりとつぶれ、藩もなくなり経済価値の基準が米から通貨にかわる。武士の身分を売り渡してしまった家に生まれた岩崎弥太郎が/あるいは豪農の家に生まれた渋沢栄一が/政府を動かすほどの経済人への成長し・・・etc.これが明治維新です。私も皆さんも世界中の人が、たった今体験している新型コロナパンデミック。明治維新並みの変化というのは言い過ぎでしょうか。つぶれないはずの〇〇があっさりつぶれ・・という点から見れば、同じぐらいかと。ちなみに55兆円ぐらいの税収しかないのにコロナ対策などで3次までの補正予算を含めると175.5兆円使うことになります。日銀が国債を無尽蔵に買う=政府の借金を無制限に日銀が引き受けることで、このお金を生み出している形は第二次世界大戦時の戦費調達と同じ手法。コロナと叫べば借金ができるのでオイシイ。借金を返すのは菅さんや二階さんたちの寿命が終わった後。普通はハイパーインフレーションになるレベル。日本円が藩札みたいになっちゃうかも・・・。

【変身】ができない人は(法人というヒトも含めて)どれだけ大きくても、ごく簡単に淘汰されてしまうというドラマを何回も見てきました。たとえばボクが小学生の頃、石炭から石油へのエネルギー転換がありました。その時仮に、アナタが活気ある炭鉱町の映画館の経営者であったなら、たぶん最良の事業計画は「撤退」であり、「同じ立地で業種転換」や「借り入れして粘る」などの道を選べば傷を大きくするばかりかも知れません。もちろんシュリンクマーケットにおいてもサバイバル後に最後の1社となれば、事業の存続確率はかなり高まることも事実だと思いますし、事業がex.味噌や醤油の醸造元などであれば物流などが発達するにつれて新しい売り先が見つかるなど、“変身”ならずとも「粘り」という事業計画が最良となる場合もあります。
何が正解かはまだ分かりません。ただ、高度経済成長期やバブル経済などもそうでしたが、始まる「兆し」と終わる「兆し」に気づいて、さらに「変身」「または転身」か「創業」できた人は大きな成功を手に入れているかと思います。あるいはパソコン通信とインターネットの違いがあまり良くわかっていなかった二十数年前に、その「兆し」を感じて「行動に移した人=会社を辞めちゃったり/先代社長に逆らっても?etc./変身したヒト(法人も含めて)」が今のEC業界を創り上げたはずなのですが・・・。

でも時を経て気がつけば「寄らば大樹の陰」が進み、そしてプラットフォームの一人勝ち。公取委の介入を待つ以外に何もできず、SNSやら番組タイアップやら・・・etc.消費者への新しいリーチ手法を探すことだけがECの主題みたいになってしまっているのが残念です。1㎏は1000g。味噌をグラム単位で売って楽天の販売数ランキングに載せて集客を図っていたのも、今、エモイ/バズるを探し続けているのも、あまり変わらないような・・。マツコ・デラックスが絶賛してヤフーのサーバーが落ちた菊水堂のポテトチップスも、今は普通に買える様になりました。最近では幻と言われた数々のお酒も近所のスーパーで売っています。獺祭も久保田も栗焼酎ダバダ火振も買えちゃうんです。菊水堂さんはどんなに生産がタイトな状況でも「地元の小売店」への供給は切らさなかったことを申し添えます。本質を見失わないとは、たぶんこういうことを言うのでしょう。

そういえばアメリカのレポートで、コロナ禍においても一定の業績を収めた企業は近江商人ごとくの「売り手良し買い手よし」的なカルチャーを持っているという話がありましたが、EC業界はこの辺りのテーマを本気で考える必要があるかと思います。感染への恐怖、ステイホームの強要、テレワークの推進、マイナンバーポイントに各種電子通貨など電子化&非接触決済の推進、さらには国民全員へ10万円。これだけの環境が「整っていて」ネット通販がたったの3割しか伸びなかったとすれば、あと何が足りないのでしょうか。個人消費の7%が3割伸びて9%になったとしても全体としては誤差の範囲。「HPを見て電話で予約」などリアルとの区別が難しいEC分の減少を鑑みれば、本当にECが伸びたと言えるかどうか疑問の余地さえあります。

ネットの非接触は大きなアドバンテージではありますが、成功の鍵は「オキシトシン」の分泌が見込めない“非接触”と分泌が見込める“非接触”の違いに気がつくかどうかだと思っています。特に流通から不動産販売などまで店頭での接客を必要とする業種は熟考する必要がありそうです。平成以降のアイドルは、マス媒体で創られるよりも握手会だったかと・・。電話の肉声はオキシトシンの分泌を促しますが、テレワーク/リモートだとなぜか今一つ。雑談の盛り上がりやアイデアの広がりも今一つ。とすればリモート接客はどの程度お客様へ届くのでしょうか。PCでもカメラ目線が必要?いろいろなコトが始まったばかりなので、そのまま使えるとは言い難いシクミも少なくありませんが、否定論としてではなく、それぞれが発展途上であり発展途上がゆえに大きなチャンスも含んでいるとも思います。

中国でお札を消毒している映像がTVで流れまくっていた時期にコンビニやスーパーに行く毎にレジのお姉さんに電子決済の比率を聞いていたのですが、どこもかしこも「恥ずかしながらウチはまだ大半が現金で・・・」と言っていました。ちなみに、ウチの国はモバイル決済や行政関連のデジタル化を進めるための大前提となる議論が整っていないので、どれだけ旗を強く振っても中途半端な普及度に終わってしまうと思うのです。
議論が必要な“大前提”とは?を簡単に言っちゃうと、たとえば中国や韓国では「国が発行する身分証明書」を【常時携帯】していないとスパイと間違われて逮捕されても文句は言えない国。つまり国民総背番号制は是であり、議論さえ不要。これが無ければex.反政府主義の少数民族が、北朝鮮のスパイが、暗躍するとも限らないので、ペーパーで管理している時代から万全なるセキュリティーを「体制として堅持」しています。この背番号制度=IDに銀行口座や信用情報などを結び付けることで、決済などにおけるオーソライズ(信用照会)も安全に行われている次第。今年は大前提を改めて顧みる必要があると思います。ホントに。
例えばリアル店舗の回転率や単位面積当たり売上などのKPIが、人や(お客もスタッフも作業も)モノを「さらに集中させての効率化は是」という“大前提”に基づいているとすれば、大前提そのものが変化した場合には もう的確な指標にはなり得ないのかも知れません。だからECにおいても、売上=来訪者数x購買率x顧客単価という基本の基本の概念さえも、今年ぐらいからは疑った方がいいかも知れません。SNSでバズるなどの形態が来訪者の多くを占める様になれば、「〇〇を買う」という決心は「ECサイトの外」で行われます。つまりECサイト内のコンテンツ(訴求)は購買率には何ら影響を与えず、そこにはカートだけが存在すればいい。この様な事象にCVRがKPIになるはずはないワケで・・・。

今現在を見てみると世の中のほとんどが、まだ「なんとなく」新型コロナパンデミック以前のビジネスモデルに基づいて、あるいは生活スタイルに基づいて、「前の様に戻って欲しいなぁ」的な願望を抱いている様に思えます。廃坑の炭鉱町の人通りの回復を待っているごとくかも。駅の乗降客数が2割減ったら昼飯を食べる総数も2割減ります。つまり2割の店が廃業して初めて以前同様の需給バランスが保たれるということになります。 
席数が半分になったら、面積当たりの売上も半分になります。売上に対する採算分岐点も半分になります。売り場の回転率を倍にすれば以前同様の採算がとれることになりますが、それでも消毒や非接触を図るための様々なコトに労力を費やす分、採算はさらに厳しくなるわけです。
とすれば令和3年、今後の最良の事業計画とは何ぞや? 英断としての撤退や事業転換までも視野に入れて今年は皆でこれを探し続けることになりそうです。興味を持っているのはex.ベビーテックや食品ロスを減らすなどの「社会貢献」的であり、かつビジネスにもなる辺りなのですが。コロナはSDGsの練習に過ぎないのかもと思いつつ。ワクチンや特効薬などの効果で世界が元に戻れば嬉しいのだけど、どうなることやらっ♪。本年も宜しくお願いします。

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 笹本 克

全国各地で有名ネットショップを輩出。自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。


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