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サッカーに見る世界の変化

私は今年の4月、サッカーJ2「徳島ヴォルティス」の取締役を退任しました。J2リーグに昇格した2005年から6期12年間、取締役を務めさせていただきました。
昇格年の2005年は9位だったものの、2006年から三年連続で最下位という苦しいシーズンを経験しつつも2014年には四国初のJ1昇格を果たし、私も晴れてJ1チームの取締役となったのでありました。
が、夢は長く続かず、J1でまったく勝てず翌年にはJ2に降格したのでありました。
J1で戦う準備ができてなかったことを経営陣の一人として後悔しています。
監督と選手はプロなのに経営陣がアマチュアではダメだよな・・という思いから今回退任させていただきました。

ヒトのグローバル化

さてJリーグですがヒトもメディアもどんどんとグローバル化が進んでいます。

Jリーグはアジア全体を大きなプロサッカーマーケットと捉え、アジア戦略室を設置しアジア全体にプロサッカー経済圏を作りその真ん中にJリーグがあるという戦略を実施しています。
例えばJリーグは、2012年のタイプロリーグとのパートナーシップ協定の締結を皮切りに、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、シンガポール、インドネシア、イランの7か国とパートナーシップ協定を締結しています。またメディアにあまり出ませんが、多くの選手やコーチがアジア(主にタイ)のプロチームで活躍しています。

イタリア、ドイツ、イギリス、スペインで日本選手が活躍しているのは言うまでもありませんが、新人類もどんどんと現れています。
例えば先般日本代表に選出された加藤恒平選手は一度もJ1チームを経験せず、大学卒業後アルゼンチン→モンテネグロ→ポーランド→ブルガリアとプロサッカー選手としてのキャリアを積み、自分の活躍できるところなら世界中どこにでも行くという「新人類」。そういう選手が出て来たこと、そして世界中どこかで活躍していれば日本代表に呼ばれるという新しい可能性を切り開いたパイオニアが現れたことをうれしく思います。
本田圭佑選手のメキシコリーグ移籍もACミランからの都落ちなどではなく、新しい活躍の場を開く挑戦だと拍手を送りたい。本田選手の活躍を通してメキシコという国のメディア露出が増え、多くの人がメキシコをぐっと身近に感じられるようになるでしょう。
ECにもメキシコブームが来るかも知れませんよ。

メディアのグローバル化

メディアではイギリスの大手スポーツネット配信会社「DZN」と10年2100億円にわたる巨額な放映権料契約が話題となりました。スカパーは2007年から2016年までJ1、J2の全試合を中継していました。
地上波に比べて「多」チャンネルの衛星放送ですが、「多」であって「無限」ではありません。故に全試合生中継を謳っている限りJ1J2計20試合を同時中継するチャネルは確保できず、日程や時間をずらしての試合開催となっていました。ある意味、スカパーの中継の都合で試合開催日・時間は決まっていたと言っても良いでしょう。
昨年までは原則J1は土曜日、J2は日曜日と振り分けられていましたが、日曜のナイトゲームは集客面では厳しいものがありました。
DAZNは無限にチャネルがある、いや、もはやチャネルという概念が古いか・・なので試合日程もチームが自由に組めるようになりました。今年はJ1、J2ともにほとんどの試合が土曜日に行われるようになりました。見る方としては忙しいですがね。

DAZNになって放送品質がネット環境に左右されること、録画、録画予約ができないことなどから戸惑いも感じます。
しかし、そういったデメリットを飛び越えスポーツとメディアのあり方が大きく変わって行く予感がします。
キックオフ時間にテレビの前に座っている必要はなく、帰宅途中はスマホで観戦、家に帰ればご飯食べながらiPadで観戦、家族と一緒にスマートテレビの前に座って観戦とマルチデバイス(マルチスクリーン)でいつでもどこでも試合観戦ができるようになりました。

Jリーグでは今年に入って観客動員も増えているようです、単にDAZNが広告を打ったお陰かも知れませんが、DAZNによって新たな顧客を掘り起こしたと見て良いでしょう。

サッカーを通して見たヒトとメディアのグローバル化。
加藤恒平選手のように新人類の選手がどんどん出てくるでしょう。Jリーグはアジアのチームとの提携が増えています。タイ人選手がコンサドーレ札幌でプレーしています。
ビジネスの世界も同じような流れになって行くのではないでしょうか。

はたしてプロ野球ではどうでしょうか。
球団数は2005年に楽天が新規参入した以降、セパ12球団は固定されたまま。(運営会社は変わったところはありますが)。
試合の中継は地上波からBSに移行していますがネット中継はまだまだです。パ・リーグはソフトバンクを中心にネット配信「パ・リーグTV」をやっていますが、全中継をネットだけに変えるというJリーグほどのドラスティックさはありません。
海外で活躍する=アメリカ・メジャーリーグしかありません。

サッカー的変革を積極的に受け入れるか、野球的な硬直した世界に生きるか・・・サッカー大好き人間の偏った意見ではありますが、まさにサッカーで起きているグローバル化やメディアの変質が私たちの生活にも起こる日は近いのです。

JECCICA客員講師 斎藤賢治

JECCICA客員講師 斎藤賢治

斎藤賢治
株式会社クオカプランニング取締役会長2001年にお菓子パンの材料道具販売「クオカcuoca」を立ち上げ、EC、リアル店舗、卸販売、レッスンスタジオとオムニチャネルを実践し最大32億円まで成長させる。
食品の商品開発からプロモーションなどを得意とする。

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