リアクティブブランディングがもたらすブランドの民主化
コロナ禍において、DXというキーワードとD2Cというキーワードは多くの方に興味・関心を持たれるようになりました。それらのキーワードと関連して、ECというキーワードの存在感も大きくなっていると感じます。
私たちが考える、日本のD2Cを支える3つのキーワードはリアクティブブランディングと、ブランドDX、そしてカスタマーサクセスです。
リアクティブブランディングとは何か?
それはD2C時代だからこそ重要な、顧客との対話によってレスポンシブに進化を遂げるブランド活動フレームワークと考えます。
「教典を作っていく作業」ではなく「やらないこと」を定義し、DiSCモデルをベースとした「実在するであろう」人格を定義することで「共感できる」ブランドの人としての存在感を生み出し、磨き続けること。テクノロジーを活用した素早い改善と「外部に依存しない顧客コミュニケーションチャネルの確立」を目指す。その上で「波の発生点」となるコミュニケーション設計、実装を行いながら「象徴的な体験」を取り決め、そこからクリエイティブコミュニケーションを広げていく。
ブランディングは言葉の通り、現在進行形(ing)
顧客との対話、大量のデータ、社会にもたらす価値を元に、テクノロジーを駆使しながら。オンライン、オフラインの境界線を排除し、ブランドと顧客の間のコミュニケーション距離を限りなくゼロにすることで圧倒的な「ライブ感」を生み出すことが重要になります。
ECに世界ではこれらはライブコマースという形でのチャレンジが始まっていますし、一方でclubhouseの台頭もこの「ライブ感」が多くの需要を満たしたからこその成長だとも言えます。
ライブ感によるコントロールされない故の感動や喜び、楽しさ。それらをブランドの象徴的な体験をリンクさせ、圧倒的な「プロダクトを中心とした体験」を提供することが、リアクティブブランディングのゴールと言えます。
• レスポンシブであること。
ブランドは顧客に対して常に適切にコミュニケーションの門戸を開き、応答を返し、商品開発などへの反映、コミュニケーションへの反映をできるかぎり少ない遅延で実現できる。
• 弾性であること。
ブランドは商品製造の一部分が障害を起こしたり、販売チャネルの一部に障害が発生したとしても、ダウンタイムを最小限にする。(コロナ禍においても最適な対応ができたブランドを参考)
• しなやかさを持つこと。
つまり、負荷の上昇(製造、販売、物流、EC)に対して必要なスケールアップをし、負荷が下がれば、スケールダウンする。効率的なリソースの使用を実現する組織設計。
• 世界観駆動連携が可能であること
異なるブランドの間で同じ世界観を共有できる場合はメッセージをやりとりし、双方の顧客にとって最適な体験をブランドの垣根を超えて実現する。
• サービスドミナントロジックであること
事業や商品(製品)を、すべて「サービス」として捉えて見る
これらの条件を備えたブランドはいま次々と発生しており、規模の大小や所在地に関係なく、多くの熱狂的なファンを生み出しています。
ECは、単なるネット販売のツールではなく、今後はリアクティブブランディングの起点になっていくのではないかと思います。
JECCICA客員講師 河野 貴伸
株式会社フラクタ 代表取締役
EC-CUBEエバンジェリスト
Eコマースに関わる人材育成とブランディングに重点を置き、業界の発展とEC-CUBEの普及、デジタルイノベーションの推進支援をメインに全国でセミナー及び執筆活動中。