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リアル店舗はECのために、ECはリアル店舗のために ~オムニチャネル時代の到来〜

JECCICA特別講師 唐笠 亮

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お客様が変わった

「メルマガも従来通り送っているし、FacebookページなどのSNSも運用している。ECサイト上ではモチベーションに合わせた特集や企画を打ち出しているし、リスティングなどネット広告も運用しているのに…。」

EC事業者は、こうした地道な努力の積み重ねで、これまでECの顧客・売上を増やしてきました。しかし、なぜ今、思うように売れなくなってしまったのでしょうか?

お客様の情報収集行動・購買行動は劇的に変わりました。

今はスマホがあります。いつでもどこでも、思い立った時に、「都合の良いチャネルで有益な買い物をするための、強力な手助け」があります。

 

商品に興味を持った瞬間か、ふと思い出した時か、必要に迫られた時か…。

通勤途中の駅ビル内の店舗か、はたまた大手ECモール内の格安店か…。

 

おそらくどこかで、その商品を購入していることでしょう。そしてその「購入する先」が、皆さんの自社ECサイトではなくなってきたのではないでしょうか。

 

オムニチャネルとは?

オムニチャネル化の狙い

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チャネルとしての自社ECがやや頭打ち傾向にある今、リアル店舗とECの連動によって「リアル店舗もECも、都合に合わせてどちらも利用したい、そうしたオムニチャネル化するお客様」を確実にどちらかに取り込み、EC単体ではなくリアル店舗も含め、事業全体をスケールさせようという戦略が、オムニチャネルです。

リアル店舗でもECでも同じ商品が買えるというだけではなく、例えば「マーケティングの統合や顧客接点の多チャネル化」といったアプローチで、これまで分断されがちだったリアル店舗とECとの結び付きを強化し、結果として自分たちのブランドや店舗とお客様との結び付きを強化する。

つまりお客様の購買行動やマインドシェアに積極的に働きかけるのが、オムニチャネルの本来の狙いと言えます。

リアル店舗で買ってもらってもECで買ってもらってもどちらでもよいが、自分たちのブランドや店舗のファンになってもらい、自分たちから買っていただくということです。

 

カギを握るのは、リアル店舗

これまで、小売業・専門店企業の中にあって、EC事業は新たなチャネルとして独自の進化を遂げてきました。

多くの場合、リアル店舗の事業と分断され、ある意味それを望んでいた節もあるように思います。が、オムニチャネルを推進する上ではそうはいきません。

オムニチャネルは、これまでEC単体では実現できなかった「店頭リソースの活用」、ひいては「リアル店舗とECのシナジーの創出」を狙いとするだけに、

  • リアル店舗の「顧客」「在庫」や「接客接点」
  • リアル店舗の「販売スタッフの情報発信力」や「販売スタッフの接客力」

これらの活用がカギになることは間違いありません。

商材や業態にもよりますが、数%から10%程度のEC化率を考えると、ECは、単体事業というよりリアル店舗の拡張機能・支援機能として、事業全体の主軸であるリアル店舗に取り込まれる形かもしれません。

EC欠品商品の店頭在庫を使っての売り越しや、EC商品ページでの店頭在庫の表示と店頭送客、店頭でのタブレット接客、店頭欠品在庫のEC配送を使っての売り越し、リアル店舗とECのポイント統合など、店頭POSや顧客データベース、ポイントシステムといった基幹システムとECシステムの連携・同期による「EC単体ではない、ECの新たな役割の創出」は、ある程度の規模以上の企業・ECではすでにスタンダード化している流れと言えます。

 

リアル店舗はECのために、ECはリアル店舗のために

お客様がオムニチャネル化の一途を辿る中、やれリアル店舗だ、ECだと言っていても、お客様を囲い込むことは難しいでしょう。

実際にここ1年ほど、「オムニチャネル担当」「オムニチャネル推進室」といった、社内横断的な新設部署のお名刺を頂戴する機会が増えました。

 

ECを「インフラ的」に活用し、リアル店舗の「顧客」「在庫」「接客接点」「情報発信力・接客力」を掛け合わせ、積極的なオムニチャネルを推し進めていくためには、リアル店舗とECの成果(や因果関係)をめぐる壁を取っ払い、互いに在庫提供をしたり、送客をしたり、情報発信や接客活動の成果を按分できる仕組みや組織作り、意識付けが不可欠です。その実現には、多分にトップダウンの力も必要でしょう。

 

オムニチャネル時代は、顧客至上主義とも言われます。

「便利で快適である限り、リアル店舗もECも都合に合わせて利用したい」お客様に対し、どこまで対応できるか。オムニチャネルの成功方程式は、まだ定まっておらず、また一つではないと思います。

リアル店舗はECのために、ECはリアル店舗のために、互いの強みや財産を活かして、今できることは何か、何をすべきかを真剣に考え、実践することこそが重要です。

 

JECCICA特別講師 唐笠 亮

karakasa

株式会社パルコ・シティ シニア・コンサルタント。数々の専門店・ショッピングセンター等を背景とした大規模ECの構築やシステム連携のプロジェクトマネージャーを務める。

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