現時点でまだ申請が間に合う! IT導入補助金について
4月公募開始の補助金が12月なっても公募しているのです。
平成29年度補正予算の補助金の1つが「IT導入補助金」です。
この補助金はITツールを導入する経費の一部を補助することで、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とした制度で、最大で50万円の補助金が受けられます。
4月20日から公募を始めたこの補助金ですが、なんと、この原稿を書いている11月16日現在でまだ公募中なのです。最終公募締切は12月18日までです。事業実施期間及び事業報告最終日は1月31日までです。
年末年始を挟んで事業期間は短いですか、当初公募期間は11月19日締切だったのを
ここまで延長して公募を行っている「IT導入補助金」について解説したいと思います。
詳細情報 : https://www.it-hojo.jp/
この補助金予算は500億円! 未だ消化不良を起こしている??
この補助金は、導入費用に対する補助率は今年から補助率が1/2になっております。しかし予算は昨年度のなんと5倍の500億円も用意されております。補助金の上限は50万円なので単純計算で考えると、申請した企業は10万件まで採択されるという計算になります。
しかし、現実は簡単なITシステムやソフト導入等で、補助金上限まで使い切らない案件や
不採択になる案件もあると思います。現時点(11月16日13時)での申請数は約8万件
なので、おそらくまだ2万5千~3万件は採択枠があるのではないか?と思います。
そうなのです。この補助金は完全に消化不良を起こしているのです。私の予想は100億円以上予算を残すのでは?と考えております。来期に繰り越してくれれば良いのですが。
法人で2期以上の決算書があれば大赤字でも採択される??
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合った
ITツール(ソフトウエア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、中小企業の生産性向上による業務効率化・売上アップをサポートするものです。
来年は消費税増税が決まっており、中小企業にとっては非常に厳しい年になります。
政府としてはその前にIT関係の先行投資を行って欲しいという意味もあります。
私は、この補助金の交付申請を行う「IT導入事業者」の立場でITツールの供給を行いながら、認定支援機関として財務指標や今後の生産性向上計画の立案に着手しました。
何件か着手しているうちに分かったことがあるので、皆様と共有したいと思います。
一つは、個人事業主は採択される確率は低いということです。
WEB上で経営分析を実行しIDを獲得、また財務指標を2期分入力する項目があります。2期以上の決算書があれば問題ないのですが、個人事業主の場合は、財務指標はほとんどが税務申告書だけなのでここが空欄だらけになります。これは大変厳しいです。
また法人でも決算書が2期以上無いと空欄の項目があるので採択率は低いと考えます。
逆に決算が赤字の企業はどうでしょう?かつての補助金は決算が赤字だと採択される確率が低いと言われていました。しかしこの補助金はあくまで生産性向上計画、つまり企業としての経営体質改善に繋がる計画を立案すれば、よほどのことがない限り採択されます。
実際私も2期連続大幅赤字の企業の申請を行いましたが採択されました。
つまり、現状の決算書の中身を鑑み、体質改善や生産性向上になる計画数値を提出すれば
問題ないということなのです。申請には「導入したいITツール」と「ITツール導入後の事業計画」の2つが必要です。また、この補助金は事前に登録されたIT導入事業者を補助事業者が自社のニーズに合ったものを選び、選ばれたIT導入事業者が今回導入する商品・サービスに関する申請書の内容の殆どを記入するスタイルです。サイト内に登録されているIT導入事業者のサービス内容は、事前に事務局の審査を受けて認定された内容となります。
しかし実際はIT導入事業者が補助事業者にITツールのプレゼンを行い、実施決定になるケースが殆どです。
ECコンサルタントはこの補助金をどのように活用すればよいのか?
さて、ECコンサルタントとしてこの補助金をどのようにお客様にプレゼンすべきか?
「IT導入」が前提なので何らかのシステムの導入は必要です。
ホームページの新規制作は申請対象(リニューアルだけではNG)なので、企業サイトであればオウンドメディアの活用と考え、企業商品のノウハウ集のサイトやポータルサイトの構築を行い、販促の幅を広げるための施策提案が可能かと思います。
また、この補助金だけではすべての構築ができないサイトの一部をこの補助金で制作したという申請も可能です。よくある例がショッピングカートといったシステム新規導入です。
導入に関わるソフトウェアやサービス利用料(1年間)・導入費用・サポート費用などのすべてが補助金の対象でも。もちろんサイト構築のコンサルティングや運営コンサルティングも対象です。
ただし、導入費用やサポート費は、何らかのツールを導入しないと対象になりません。
そこで、そういったITツールを持つ会社様とコンソーシアムを締結するのも良いかと思います。この場合だとITツール会社様は販売促進に繋がりますし、ECコンサルタントは活躍の機会を増やすきっかけになるかもしれません。また取扱ツールを増やす格好の機会だと思います。
今期のIT導入補助金は、コンソーシアムの締結受付は10月で終了しましたが、もし来期もこの補助金が今期と同じスタイルで実行されるのであれば、コンサルタントとして自分が得意な分野のITツール会社とコンソーシアムを組んで、営業活動を行ってみてはいかがでしょうか?
JECCICA客員講師 渡辺 太志
(株)アイズモーション経営企画部長 プロフィットシステム常務取締役 コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。 SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。