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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol③ 市場環境分析がリアルタイムで行えるダイレクトマーケティングの魅力

市場環境分析は「仮説」を持つ事が先ずは第一歩
マーケティングを実行する事、つまりマーケティングマネジメントを行う際のスタートは、市場環境分析を行い現状把握する事である。市場環境分析を行う事とは、言い換えれば市場調査を行う事である。調査対象とは大きく2つに分類出来る。一つは自社を取り巻く「①外部環境」として、自社に関係があるマクロ的な世の中の流れ、市場や顧客の動きと競合の動きである。もう一つは自社の現状となる「②内部環境」である。このような各項目の事実を明確にすることが市場環境分析と言う名の市場調査であるが、こうした調査を行う際の第一歩であり鉄則は「仮説」を持つ事である。昨今はマクロ環境(政治・経済・社会・最新技術の動向)や市場環境(市場規模や市場伸長率)、そして競合環境(競合の事業戦略やヒット商品要因など)に関しては、インターネットのデスクリサーチで、かなり把握することが出来る様になった。一方で顧客の動向である「顧客ニーズ・購買意向・購買理由・定性的な顧客プロフィール」は、なかなかデスクリサーチで明らかにならない場合が多い。こうした際には何らかの定量調査(Webアンケート等)や定性調査(グループインタビュー等)を行うことがある。この際には「必ず仮説を持って」効率的な調査設計を行う事が重要である。

仮説を持つ事とは「世の中や顧客への興味関心」を持つ事
仮説を持つと言うと、少々難しい事を伝えている印象があるが、仮説を持つ事とは「世の中の動き流れや、生活者そして自社が対象とする顧客に興味関心を持ち」、例えばある社会現象は何故起こっているのか?あるヒット商品が何故売れたのか?逆に売れない商品は何故売れないのか?など、自分自身で推測する習慣付けをし、出来れば「勝手分析」を行うと良い。勝手分析とは、自分の仮説で様々な成功及び失敗要因を考えて答えを出す、つまり自分がアナリストになることを意味する。仮説を持つ習慣は、ビジネスパーソンやマーケターには極めて必要な思考と作業であると考えている。これまで筆者の経験から言えることは、「仕事が早い人は自分自身で仮説を絶えず持っている」ので、仮説を検証すると言う立ち位置で実務を行うためスピードが早い。またその経験が蓄積されると、自分自身の仮説が正しい確率は更に高まるため、ますますスピードが速まると言う好循環を生む。

VOCによる「顧客の生々しい声」がリアルタイムで収集
ECサイト事業を行う際に基軸となる、ダイレクトマーケティングと言う販売手法。その魅力は「双方向性と効果測定」である。つまりレスポンスを通じて、様々なプロモーションの投資対効果が明確になること。そしてもう一つはVOC(Voice Of Customer)、つまり顧客の声を通じて、事実関係を把握出来る事である。筆者は元々マスマーケティングの世界で仕事をしてきたが、市場環境の中でも顧客の声を知ることは容易では無かった。卸売店から小売店を介して販売している商品は、誰が買っているか特定出来ないので、どんなニーズを持った顧客が、何を基準に購入するのか、購入した後の満足度は、等々をコストと時間をかけて定量調査や定性調査を行っていた。これに対してダイレクトマーケティングでは、「双方向でコミュニケーション」を図ることで顧客が特定出来るので、VOCを通じて「顧客の生々しい声」がすぐに収集できる。特に進化が著しいデジタルマーケティング関連ツールは、こうした情報蓄積や分析を機械的に、ある程度まで可能としている。5月号の会報誌コラムで「顧客ニーズの重要性」をお伝えしたが、こうしたニーズ探し(不の字探し)こそ、VOCから是非とも収集すると同時に、先ほどお伝えした自分自身の仮説検証にも有効に活かす事が出来る。これこそがダイレクトマーケティングの科学的魅力であり面白さである。

市場環境分析は「情報収集と整理で終わらず自分自身で必ず解釈」を加え結論を出すこと
環境分析で良く陥りがちな誤りは、デスクリサーチで検索したり、費用をかけて実態調査を行ったり、また過去のプロモーションのレスポンス結果、そしてVOCから事実関係だけを延々と調べて「情報収集と整理」だけを行い、資料を作成することである。環境分析は何故行うのか?それはマーケティング戦略を立案するため、自社ビジネスの市場機会(チャンス)を発見し、それを活かすための事業課題(解決すべき事柄)を発見する事を目的に行う訳である。そのためには情報収集と整理した事実を「どう解釈するのか?」、その結果から市場機会と事業課題が何であるのかを最終ゴールとして「結論を出す」ことで市場環境分析は終了する。またその際の留意点として、デジタルマーケティングの情報分析ツールに依存し過ぎない事を挙げたい。あくまでもツールは有効活用し、最後は人間自身が思考して結論を出すことが昨今は大きいと痛感している。こうした市場環境分析を終えて、次の工程であるマーケティング戦略「STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)」の立案が可能となる。

ダイレクトマーケティング(デジタルマーケティング)は「視界良好」のPDCAマネジメントが魅力
6月号のコラムで、ダイレクトマーケティングは効果測定を同時に行いながら、PDCAを素早く回す事に醍醐味があるとお伝えした。アメリカDMAのダイレクトマーケティングの定義で重要なキーワードは「双方向で効果測定が出来る」事である。つまりマーケティング戦略の策定から戦術を実施する際に、顧客と双方向でコミュニケーションを図り、同時にプロモーションの投資対効果やVOCを収集することは、即座に効果測定を行い、次期戦略や戦術を策定するための現状把握、つまり市場環境分析を同時に行っていることに繋がる。これは言い換えればビジネスを行う際に、どの方角に進めば良いのか、どうすれば良いのか、その回答が明確になり「視界が良好になる」事である。自分自身の仮説と双方向コミュニケーションから得られる、レスポンスや顧客の声による検証、こうした事実をあぶり出し「視界を良好」に出来るのが、ECビジネスの基盤であるダイレクトマーケティング、更にはダイレクトマーケティングを基軸とした、デジタルマーケティングの魅力であると、知れば知るほど実感する今日この頃である。

※次号Vol④は、「市場環境分析のフレームワークPEST分析と3C分析の使い方」と題して、フレームワークつまり「型」の分かりやすい活用方法、そして解釈への導き方をお伝えする。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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